nomuo(のむお)第3回 最高の革で、最低のモノをつくる | SOUQ ZINE スークジン

nomuo(のむお)第3回 最高の革で、最低のモノをつくる

nomuo(のむお)第3回 最高の革で、最低のモノをつくる
前回は数々の愛すべきキャラクターを紹介しましたが、ユニークなキャラクターというのは、ともすればファンシーになってしまいがち。でもnomuoさんの革雑貨は、その素材のクオリティもあって広く支持されています。今回は、実際の革雑貨づくりについて聞いて見ました。
SOUQ
nomuoワールドを雑貨にするとき、最初から、革を使ってつくりたいと思われていたのですか?
nomuo
母が布を使っているのを見てて、布は糸の始末とか難しいなあと思っていて。革だと切りっぱなし、縫いっぱなしでいけるので、すごいラク。だから革を使うことにしたんですけど、特に素材にこだわりがあったわけではなくて、ラクそうというのがいちばんの理由ですね。
SOUQ
革を使って、こういうモノをつくりたいという思いは、前々からあったんですか?
nomuo
うーん、よく訊かれるんですけど、それほど熱い思いというのはなくて。最初につくり始めた頃、「欲しい」と言ってくれる人が多かったんですよ。じゃあこれもつくってみよう、あれもつくってみようと。ウケ狙いという感覚かもしれません。あの人これ見たら笑うやろうなとか、あの人絶対ほしがるやろなとか。それぞれの好みのものをつくってきたら、なんとなくこうなったという感じです。
SOUQ
それが評判がよくて、口コミで広がっていったんですね。
nomuo
そうですね。わりと口コミだと思います。特に私のお客さんは、35歳~40歳ぐらいの女性で、わりとお金を持ってらっしゃる方が多くて。ヴィトンのバッグにレスラーくんを付けて、お友達に自慢したりするんですね。そうするとお友達が「欲しい」と言ってくれたり。
nomuo
SOUQ
キャラもいいけど、革がすごくいいですもんね。
nomuo
そうなんです。国産のやわらかい革を使っているんですけど、かなり特殊ななめし方をしています。
SOUQ
特殊ななめし方というのは、どういうものなんですか?
nomuo
いや、それが教えてもらってないんですよ。私が革を仕入れているのは、ヤクザみたいな大阪のおっちゃんからが多いのですが、「ウチはウチのレシピがあるから、人には言われへん」と。まともに会話が成り立たない人で、白い革をくれと言っても黒を送ってきたり。
SOUQ
それは確かに会話が成り立たない(笑)。そうやって苦労して手にしただけあって、この革、すごく手触りがいいです。
nomuo
そうなんですよ。すごくやわらかいんですよ。お客さんも手触りがいいとよく言ってくださります。ヤクザみたいなおっちゃん以外にも、浅草橋に行って掘り出し物を見つけることもありますね。カバンなんかは、カーフという子牛の革を主に使っていて、これが、やわらかくて軽くて、縫いやすい。カーフはいいものがあったら、お金に糸目をつけず買ってますね。
nomuo
SOUQ
nomuoさんのキャッチフレーズが、「最高の革で、最低のものをつくる」だと聞きましたが…。
nomuo
いやいや、そんなことは言ってません! ありがたいことに、SOUQの人がそう言って宣伝してくれてるみたいですけど(笑)。でも素材は本当にいいものを使っています。
SOUQ
部屋の一角で、それほど広いとは言えないスペースで作業をされているのですが、不自由はないですか?
nomuo
ないですないです。机の上で革を切って、たまにある大物の場合は、床で切ったりもしますけど。あとはすべて針で手縫いで。血まみれになるので、指ぬきもオリジナルでつくっていますが、これと針だけあれば、もうすべて縫えます。
nomuo
SOUQ
縫い方などは、どうやって覚えていかれました?
nomuo
自分で考えてですね。道具も自分で工夫して、糸なんかは本来はキルティング用のものを使ったりして。針も革用ではなく、布用の縫い針を使っていて、これの方が自分が思うように縫えるんです。かなり自己流ですけど。
SOUQ
革用と布用の針ではかなり違うんですかね?
nomuo
糸を通すところが、革用だとボコッとふくらんじゃうんですね。そうすると、つっかかって抜けなくなるんですよ。だから最初はずいぶん試行錯誤して、どうやったらうまく縫えるかというのを追求しました。綿を入れるので、ざっくりした縫い方だと中から出てきちゃうので、結構しっかり縫ってます。縫い目がダメになったとはこの7、8年聞いたことがないので、わりとイケてるんかなと思います。
nomuo
SOUQ
本当に手作業で、ひと針ひと針縫ってらっしゃるんですね。
nomuo
革は布よりかたいので、針を入れるときはいいけど抜きにくいんですよね。なので結構力がいる。握力は、いちばんよかったときは右手で50kgありましたね。
SOUQ
それは結構な握力! 作業するのはアトリエだけですか?
nomuo
飛行機の中で縫ったりもします。大きなハサミを持ち込むのはダメなんですが、4cm以下ならだいじょうぶみたいで、洋裁セットを持ち込んで、移動中もやってますね。
SOUQ
飛行機はそれほど揺れないから作業できるんですかね?
nomuo
まあ揺れますけどね。針は隣の人に刺さるぐらいで、私には刺さらないので(笑)。
SOUQ
機内でできるということは、あらゆるところでできそうですね。
nomuo
そうですね。海外に行くときも道具は持っていってますし。ホテルでもやります。
SOUQ
一つの作品を縫い上げるのに、だいたいどれぐらいの時間がかかるんですか?
nomuo
簡単なものだったら、40分もあればいけますね。メガネケースだと1時間半ぐらいかなあ。メガネを保護する綿が均一に収まるようにしなければなりませんからね。

取材・文/蔵均 写真/衛藤キヨコ

確固たる人気を築いてきたノムオさんの革雑貨。次回第4回は、これからの展望をどう描いているのか? そして、アイデアの源泉という酒の現場にもお邪魔しました。

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革雑貨 nomuo(のむお)

革作家

革雑貨 nomuo(のむお)

国産のやわらかい革を使った、手縫いで個性的な皮革ブランドです。

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