デコヴィーニャ(DECOvienya) 第2回 ウサギ・アクセサリーのデコです

出会いからすぐ、ウサギ・アクセサリーを誕生させた坂井さんと郡さん。デコヴィーニャ独特の動物モチーフは、どのようにして生まれたのか? ブランド創成期の苦労や楽しさなどについて、話をうかがいました。
- SOUQ
- 「デコヴィーニャ」といえば、ウサギやリス、モモンガなど動物モチーフのアクセサリーですよね。このようなアイテムをつくり始めたきっかけや思いをお教えください。
- 坂井
- 店は、オーダージュエリーから始めたんですけど、面白くないんですよね。お客さんの話を聞いて、言われた通りに形にする。だから自分のデザインという気がしない。下手するとミッキーマウスのリングをつくってくれって言われますから。
- 郡
- 「カルティエ」のリングを持ってきて、「これと同じものをつくってくれ」とかね。
- 坂井
- もちろん、さすがにそういうことはしないんですけど、似たものはつくらないといけない。せっかく独立したのに、どこかモヤモヤしてまして。そのとき、オリジナルのアクセサリーをつくろうと思ったんですよ。元々はクワガタとか蝶の昆虫のアクセをつくりたかった。周りは反対してたんですけど、絶対つくろうと思っていて。ところが、「トルクアータ」というブランドが半年違いぐらいで先に始めて。雑誌にも載り始めていたんですよ。

- SOUQ
- 一足先にいかれてしまってた。
- 坂井
- これはやられたなと。じゃあ、昆虫よりはもうちょっとみんなに好かれて、かっこいいというよりかわいいものは何かなと考えて。ウサギのアクセサリーはほかにないなって、思いついたんですよ。
- SOUQ
- では、最初はウサギモチーフをたくさんつくっていた?
- 坂井
- そうですね。ほとんどがウサギでした。
- 郡
- 最初は、なかなか名前も覚えてもらえなかったので、「ウサギ・アクセサリーのデコです」なんて名乗ってたぐらい。
- SOUQ
- 当初は、ブランド名は「デコヴィーニャ」ではなく「デコ」だったんですね。
- 郡
- そうです。法人化したときに、「デコヴィーニャ」と命名しました。
- 坂井
- 「デコ」だと、グーグルで検索しても、なかなか最初に出てこないんですよね。ほかにもいろんなデコがあるので。ケータイのデコレーションだったり、サッカーのデコ選手だったり。

- 郡
- それで「デコ」に何かをつけようということになって。ポルトガル語でえくぼのことをコビーニャというんですよ。で、みんなが笑顔になれますようにという願いを込めて、「デコヴィーニャ」にしました。
- SOUQ
- 素敵な名前ですね。そして“ウサギアクセサリーのデコ”は、そこからバリエーションが増えていったのですか?
- 郡
- 始めた当初は、坂井のこだわりも強くて、つくる動物の条件をすごく厳しくしてたんですよ。ヨーロッパに生息していて、野生で、大きさも家畜ぐらいまでで、というふうに。だから、ネコは家にいるイメージがあるからナシ、クマも大きすぎるからないよねとか。そうすると対照がかなり限られてきちゃって。
- 坂井
- 当初は、リスもあかんかったね。
- SOUQ
- えっ、リスは今たくさんあるじゃないですか。
- 郡
- シマリスをつくろうとしたんですけど、ヨーロッパに野生のシマリスっていないんですよね。坂井、ムダに動物に詳しいから、厳しくて(笑)
- 坂井
- 小難しいことを言ってたな。

- 郡
- それから、だんだん縛りを解禁していきまして。
- 坂井
- ただ今でも野生の小動物というのにはこだわりがあって、ライオンとかは絶対つくらないですね。
- 郡
- アイドル系の動物も絶対つくらないね。パンダとかコアラとか。
- 坂井
- 最近は、動物モチーフのブランドもかなり増えたのですが、うちに遠慮してくれてるのか、ウサギはやめておこうと考えてくれるみたい。
- 郡
- そのぶん、珍しい動物のものはどんどんつくってらっしゃいますね。アリクイとかアルマジロとか。
- SOUQ
- それほど厳しい縛りがあるとは想像できなかったのですが、なんとなく、げっ歯類のアイテムが多いなあと思っていました。
- 郡
- そうなんですよ。実はモモンガにも2種類あって、うちのは、げっ歯類のリス科のほうでつくっています。

- SOUQ
- モモンガは2種類あるんですか!は有袋類のフクロモモンガとかいて、ペットで飼われているんですけど、2つは生物学的にまったく違う種類で…。
- 郡
- という話が延々続きます(笑)。お客さんもキョトン…ってなりますよね。でも有袋類のモモンガを飼ってる人からすれば、ウチの子がほしいわけですから、そっちをつくってほしい。でもうちにはないんですよね。
- 坂井
- つくるつくらないの線引きは、実は郡のほうがうるさいんですよ。ボクは、つくってくださいと言われればつくっちゃうほうで。
- 郡
- やはりブランドとしては、死守したい部分があるんで、ディレクション的なことは私のほうでうるさくいいますね。オオカミとキツネまではいいけど、イヌはちょっと違うとか。

- SOUQ
- なるほど。なんとなくデコヴィーニャの世界がわかった気がします。
- 郡
- 私たちにとっては、あるなしは明確なんですけど、お客様にしてみればわからない部分が多いかもですね。「なんでカエルがないの?」って強烈に言ってくる方もいらっしゃったりします。
- SOUQ
- カエル好きって、一定層いますからね。
- 坂井
- カエルでも、襲われているカエルならありなんじゃないかとかね。
- 郡
- ちょっと残酷とか、そういう要素を入れていきたいという思いはありますね。
- SOUQ
- デコヴィーニャさんのアクセサリーって、単純にかわいいというよりは、怖い感じもありますもんね。
- 郡
- そこは、ウサギやリスのアクセサリーを、男性のお客様にも買っていただいている理由かもしれませんね。
取材・文/蔵均 写真/桑島薫
動物アクセサリーの誕生秘話を聞いたところで、リアルな毛並みや色は、どうやってつくられていくのか? 次回第3話は、「デコヴィーニャ」のアトリエにも潜入。リングやネックレスなどができていく過程も紹介します。
Creator/Brand

アクセサリーブランド
DECOvienya(デコヴィーニャ)
やわらかな毛並の表現や、語りかけるような表情。動物達の日常を切り取る独自の視点、時折覗くユーモア。他とは違うDECOvienyaだけのアクセサリーを作って行きたいと考えています。DECOvienyaを手した人が笑顔になれますように!