デコヴィーニャ(DECOvienya) 第3回 リアルをつくりだす色バリとは? | SOUQ ZINE スークジン

デコヴィーニャ(DECOvienya) 第3回 リアルをつくりだす色バリとは?

デコヴィーニャ(DECOvienya) 第3回 リアルをつくりだす色バリとは?
ウサギ・アクセサリーの人気の秘密の一つは、そのリアルな質感と色合い。今回は、デコヴィーニャのアトリエにもおじゃまして、作品がどのようにしてつくられていくかを実際に見させていただきました。
SOUQ
ウサギ・アクセサリーを始めた当初は、それほど動物モノは世には出てなかったのですか?
坂井
なかったですね。だから、かわいくて、生命感を感じさせて、アクセサリーとしてつくられていない、ということを考えたときに、ウサギに行きついたんですね。
シルバーは、まだピカピカが主流だったので、デコヴィーニャみたいに毛並みを入れるというのは、ほとんどなかったです。それに、目にルビーやサファイヤなど石をつけられるし。坂井は元々ジュエリーを手がけていたので、いい石を使いたいというこだわりがあって。そうすると、ウサギの目の色はピタッとくるねと。ガーネットを使ったほうがウサギの目の色っぽいんですが、ルビーやサファイヤへのこだわりはあります。
デコヴィーニャ
坂井
それにウサギは、色バリで白や黒に変化させるのにちょうどいいなあと思った。色バリは、当時技法としてはあったのですが、商品として広く流通させたハシリだったと思いますね。
SOUQ
色バリ?
シルバーの色のバリエーションです。今はやってらっしゃるところもありますが、私たちが始めた頃は、変色で色加工するのは、すごく少なかったですね。
SOUQ
変色というのは、どういうものなんですか?
シルバーを酸に漬けたり、硫黄で色を変えたりするんです。
SOUQ
そうすると色が変わる?
デコヴィーニャ
はい。他のブランドさんは、変色の色が安定しないので1点ものとして出している。そうすると、お客さんは「この色、出会いだ!」と喜ぶかもしれない。でもうちは卸もやっているので、そうはいかないんですね。たとえば、銀座のお店にはこの白色があって、梅田のお店には微妙に違う白があるとしますよね。お客さんは両方を見比べて選ぶということができないじゃないですか。だったら、コンスタントに同じ色を出したいという思いがあります。でもそれがなかなか難しい。
SOUQ
どのへんがいちばん難しいところですかね?
硫黄の温度と濃度を調節するんですけど、料理をするのといっしょで、感覚なんですね。だいたいこれぐらいというのは決まってるんですけど、最終的には勘どころが決め手になってくるんですよ。

[ここで、実際に変色の作業を見せてもらうために、アトリエへ移動]

デコヴィーニャ
SOUQ
いまスタッフさんは何人いるんですか?
坂井
ボクたち以外は4人ですね。
SOUQ
一人前になるまでには、やはり時間がかかりますか?
うちは他に比べてアイテム数が多いので、それを全部覚えてもらうのにも時間がかかりますね。
SOUQ
アイテム数はどれぐらいあるのですか?
100ぐらいはありますね。
坂井
それに色のバリエーションを加えると、300ぐらいになりますかね。
SOUQ
アトリエでは、どういう流れで作業してらっしゃるのですか?
坂井
ほかでは流れ作業でやるところも多いかもしれませんが、ウチは、一から十までひとりでやることになっています。鋳造は他にお願いしてるんですけど、そこから、磨いて、つや消しかけて、色をつけたりという工程が始まります。ボクがいまやっているのは、原型づくりですね。
デコヴィーニャ
SOUQ
原型というのは、どうやってつくるんですか?
坂井
ロウでつくります。ロウは削ったり盛ったりできますから。
ハンダをちっちゃくしたようなワックスペンというのがあって、先っちょが熱くなるんですよ。これで溶かしたり、盛ったりします。
坂井
ちょっとやってみましょうか。熱して溶かす。テクスチャーつけたりとか。これの繰り返しですね。毛並みなんかは、この段階で削りながらつけていきます。
デコヴィーニャ
SOUQ
ワックスペンは、長さや太さなどいろいろあるものなんですか?
坂井
ボクはあまり多くの道具は使わないほうですね。1種類か2種類。
道具をたくさん使う作家さんだと、歯医者のようにズラッと道具が机の上に並んでますよ。
坂井
たぶんボクおかしいんですよ。よく職人さんって、道具を大切に長く使えって言いますが、ボクはたった200円の道具を30分磨いて長持ちさせるぐらいなら、新しいの買っちゃえって主義ですね。
使っているのも、初心者が最初に買うような道具だもんね。
坂井
いい道具っていったらこれぐらいですかね。
それバナーやん!
坂井
これは水素バナーといって、酸素バナーより細い炎が出るんですね。これで30万円ぐらいするんですよ。
デコヴィーニャ
SOUQ
ホントに細いですね!
これでロウ付けといって、半田付けみたいにロウをつけていくんですよ。
坂井
火で炙ったあと、酸につけて白くしています。シルバーは火で炙ると白くなるのですが、それだけだと色が安定しないので、酸につけるんですね。
表面が荒れてる感じの風合いになります。つや消しともまた違うマットな感じ。独特な粉っぽい風合いになるんですよ。それを使い込むと表面がピカピカになってくるので、ウチのアクセは毛並みが美しくなります。経年変化を楽しんでもらえるのも「デコヴィーニャ」のいいところですね。
デコヴィーニャ
SOUQ
今度はシマリスの色付けですね。毛並みは茶色い。
坂井
この茶色くするやり方は、ウチ独特で、データを取ってやってます。温泉に入ると、シルバーって黒くなるんですが、黒くなる直前で止めると、茶色とか赤色に変化します。だから硫黄でできている燻液を塗ります。
硫黄液の濃度と温度、そして漬ける時間を変えて調整します。
坂井
この色を出せるようになると、シマリスのリアルな感じが出てきますね。
SOUQ
こうすると、こういう色に変わるというのは、どう発見されたんですか?
坂井
いろいろやっているうちにですね。季節によっても変化の度合いが違うんですよ。
デコヴィーニャ
真鍮は金の、シルバーはプラチナの代替え品として使われていたのですが、どちらも変色がネックと言われていました。それを逆に利用しちゃってますね。シルバーはピカピカ仕上げが定石で、当然、傷や変色はネックなんですよ。でも「デコヴィーニャ」のアクセは、傷は毛並みで気にならない。変色は最初からなので問題なし。
SOUQ
古い価値観を逆手に取りましたね。
メリット、デメリットはこちらの提案の仕方でずいぶん変わるなあと。最初は色が変わるのはクレームになるかもしれないと心配でしたけど。

取材・文/蔵均 写真/桑島薫

アトリエで実際にアクセサリーがつくられていく様子を見ていると、なるほどと思わされることばかり。次回最終回は、動物モチーフのデザインはどのようにして発想されるのか? アイデアの源やお二人のふだんの生活について聞いていきます。

Creator/Brand

DECOvienya(デコヴィーニャ)

アクセサリーブランド

DECOvienya(デコヴィーニャ)

「DECOvienya(デコヴィーニャ)」は、リアルだけど可愛く、少しブラックなユーモアを感じさせる動物達が特徴のアクセサリーブランドです。

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