ARRO(アロー)第1回 子どもの頃の色彩豊かな 記憶に導かれて | SOUQ ZINE スークジン

ARRO(アロー)第1回 子どもの頃の色彩豊かな 記憶に導かれて

ARRO(アロー)第1回 子どもの頃の色彩豊かな 記憶に導かれて
ものづくりの世界で活躍するクリエイターをご紹介する「ピックアップクリエイター」。今回、お話をお聞きするのは、機械刺繍で存在感たっぷりのアクセサリーをつくる〈ARRO〉のデザイナー・渡辺奈菜さん。個性的な色彩や形など、その発想の原点はどこにあるのでしょうか?お話をうかがいました。
SOUQ
〈ARRO〉のアイテムは、モチーフが植物だったり生き物だったりしますよね。その色鮮やかで個性的なフォルムにわくわくしてしまいます。
渡辺
テーマは、「架空の楽園」なんです。前回のコレクションは海がテーマで、今回は猛禽類でした。
SOUQ
も、もうきんるい……。
渡辺
あ、鳥類とかが代表的ですが、鋭い爪と嘴を持ち、他の動物を捕食する習性のある鳥類の事を猛禽類って言うんです。
ARRO
SOUQ
なるほど!確かに、羽根や翼のモチーフですね。これは翼を休めているようにも見えますし、動くと羽根が揺れるのも素敵です。
渡辺
ありがとうございます!
SOUQ
「架空の楽園」の中で、フォーカスが当たる場面が変わる感覚ですね。
渡辺
そうですね。アイテム1点ごとに見せていくというより、世界観で見せたいっていう思いがブランド立ち上げの頃からあったので、みなさんにも、「架空の楽園」っていう大きなテーマで〈ARRO〉を楽しんでいただけたらいいなと思っています。
ARRO

大自然の中で見た色鮮やかな生き物たち

SOUQ
ちなみに、「架空の楽園」をテーマで作品を作ろうと思ったのには、どんなきっかけがあったんですか?
渡辺
〈ARRO〉の立ち上げは約3年前になるのですが、このテーマ自体はその前からあって、イメージのストックはしていたんです。特に、具体的に想定している国があるわけでもなく、ただ、わたしの頭の中にある理想郷を表現したいなって思っていて。
ARRO
SOUQ
なるほど。そのベースになっている記憶や体験はあるんですか?
渡辺
私は、親が転勤族だったので、子どもの頃にいろいろな土地に住んでいたんです。中でも、青森と熊本で見たものはとても印象的で、わたしの創作のベースになっているような気がします。
SOUQ
北と南!それは、確かに違った自然のヴィヴィッドな風景に出会えそうですね。
渡辺
青森は、キツツキが巣を作っているのが見れたり、エゾリスが目の前を走っていたりしましたし、熊本は、虫が印象的でしたね。タマムシの鮮やかさとか。
SOUQ
タマムシって、ギラギラの虫ですよね!
渡辺
大自然の中で、そういうこの世のものとは思えない美しい造形に出会えたことは、わたしにとってとても衝撃的だったように記憶しています。
SOUQ
確かに、植物でも生き物でも、自然のもののデザインの緻密さと素晴らしさに驚かされることは、今でもありますね。
ARRO
渡辺
そうですよね。当時は、自然に囲まれて暮らしているとはいえ、休日は当たり前のように家族で街に出て、買い物をしたり映画を観たりしていたので、その街の風景と自然の中で出会うものが、すごくかけ離れているように感じたんですね。その動物や虫や植物がいるこの世界は果たして現実なんだろうか、って。
SOUQ
自然の中にいることを、非現実に感じると言うか。
渡辺
そうですね。学校の友達に、出会った虫のこととか見つけた植物のことを話していると、本当にこんなものあったかな?って自分でも不思議に思うくらい。
SOUQ
子どもの頃から、そういう感性をお持ちだったっていうのも、素敵ですね。

図鑑をめくりながら発想を広げてゆく

SOUQ
アイテムのデザインは、そういう記憶がベースになっていて、あとはオリジナルで創作している感じですか?
渡辺
すべて0から形を作るというよりは、やはり自然の植物や生き物の姿形を参考にすることが多いですね。
SOUQ
なるほど。日頃から調べたり勉強されたり?
渡辺
勉強というほどではないですが、今は植物の図鑑を見て参考にしたり、イマジネーションを広げることが多いですね。
ARRO
SOUQ
あ、これですか?
渡辺
はい、今日はよく見るものを持ってきてみました。
SOUQ
想像していた図鑑というのより、絵が多めですね。
渡辺
そうですね。特に影響を受けているのは、エルンスト・ヘッケルというドイツの生物学者の本。彼は、説明的に絵を残しているので、その人ならではの視点が入っているところが興味深くて。あとは、「ボタニカム」という本も好きでよく見ています。
SOUQ
これは見入ってしまいますね。絵がきれいですね。
渡辺
こういう本や図鑑のページをめくっていると、急に子どもの頃に見た生き物や植物を思い出したり、発想のヒントになることがあるんです。
SOUQ
こうしてみていると、確かに現実に存在しているものには思えないですね。
渡辺
そうですよね。このシダ類の造形からイメージを広げてできたアイテムもありますよ。
ARRO
SOUQ
植物からイメージを広げているからか、〈ARRO〉のアイテムって、生命力が宿っている気がしますね。身につけていると、元気になれるような感じもあります。
渡辺
そんなふうに感じていただけて嬉しいです!
SOUQ
ヴィヴィッドな色使いは、いろいろな国の民族衣装だったり、アフリカのカンガに通ずるものがある気もします。
渡辺
わたしも、世界の民族衣装やファブリックが好きなのですが、もしかしたら、そういうものと私の発想の原点て同じなんじゃないかなって思うことがあるんです。
SOUQ
発想の原点……自然物からの影響ですか?
渡辺
はい。そういう方たちも、大自然の中でいろいろな植物や生き物と共存していて、そういうものの美しさに魅せられてデザインしているんじゃないかって思っているんです。
ARRO
SOUQ
なるほど!
渡辺
プロセスが似ているから、通じるものを感じていただけるのかなって。
SOUQ
そういう感覚は、万国共通ですね。

取材・文/内海織加 写真/東泰秀

子どものころに見てきた色鮮やかな記憶と自然物の美しい造形にインスパイアされて、生み出されるユニークなデザイン。それは、まるで生き物のようにも見えます。次回は、彼女がどのようにして発想を形にしているのか、その創作のプロセスについて、お話をうかがいます。

Creator/Brand

ARRO(アロー)

デザイナー

ARRO(アロー)

架空の国の装身具をテーマに、世界中のテキスタイルをヒントに現代的な解釈で デザインし機械刺繍で製作。 豊かな色彩と立体感のある形は実際に存在するものではなく、空想上の楽園に存在するものを自由に表現。

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