潜入! アンティーク家具再生工場 | SOUQ ZINE スークジン

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潜入! アンティーク家具再生工場

潜入! アンティーク家具再生工場
うめだスークで行われるイベントの舞台裏を紹介する「プロジェクトストーリー」。今回は、9月25日(水)ー10月1日(火)まで開催される「スークな乙女蚤の市」に出店する、アンティーク・ヴィンテージ家具を扱う「at’s(アッツ)」と「Chronicle」をフィーチャー。その状態のよさに定評のある「at’s」のファクトリーを訪れました。

神戸にある「at’s」のファクトリーで出迎えてくれたのは、代表の津田睦司さんをはじめとする3人のたくましき男たち。みなさん服の上からでもわかる隆々とした筋肉が印象的です。

at’s代表の津田睦司さんを中心に、入社18年の牧田弘幸さん(左)とまだ十代の松岡岳志さん(右)。

「われわれの扱っている家具は、100kg以上のものもざらにありますからね。アメリカへの買い付けにも直接出向いて、トラックに荷物を積むのも下ろすのも自分たちでやりますから。うちの新入社員は半年もすると体型変わりますよ(笑)」。

津田さんがおっしゃるように、広い工場にはたくさんのアンティーク・ヴィンテージ家具が置かれていて、これを運ぶだけでも体は鍛えられそうです。

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20数年前、スキューバダイビングのインストラクターをしていた津田さんが、沖縄での生活で家財道具を揃えるために訪れた米軍放出品を扱うインテリアショップでの出会い。それが今にいたる第一歩でした。その店のオーナーが大阪出身で、同じ関西男子同士気が合い、「バイトに来ないか」という誘いから津田さんが家具の世界へ。のちに「at’s」をオープンし、アメリカ製のインテリアを販売するようになります。

「当時の米軍の家具は、いいものが多く、それを扱う店も沖縄にはたくさんありました。今はずいぶん減ってしまいましたけどね」と津田さん。

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時代の流れもあり、1999年に沖縄から神戸に移転して六甲アイランドに出店。そこで出会ったのが、昨年の春からうめだスーク北街区に店を構える「Chronicle」のオーナー・香川美穂さんです

at’s「Chronicle」のオーナー・香川美穂さん。

「私は六甲アイランドに住んでいて、素敵なお店ができたなって訪れたのが、津田社長との出会いですね。私がインテリアに興味を持ったのも『at’s』さんの影響が大きいです」。

神戸の海岸ビルヂングからスタートした「Chronicle」。香川さんがアメリカやヨーロッパから買い付けてきた雑貨と、「at’s」のアンティーク・ヴィンテージ家具を置く店ですが、香川さんは「『at’s』の家具なら、嘘をつかずに自信を持って販売できる」と言います。その間違いない信頼はどこからくるのか? 実際に家具のメンテナンスを見せてもらいましょう。

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生まれ変わるヴィンテージの椅子

「まずは一度剥離して、傷などをいったん消していきます」と津田さん。松岡さんが実際に研磨機で磨いていくと、濃い茶色だった木地が明るい色に変化していきます。

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at’s磨かれてきれいになった椅子の木地。

ところどころ濃い色が残っているところもありますが、牧田さんいわく「真っ白に研磨するより、黒いところが少し残っているほうが濃淡がついてアンティークの雰囲気は残りますね」。

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「椅子って意外と面がたくさんあるから、それをすべて剥離するのはとても時間がかかるんですよ」と津田さん。確かに言われてみると椅子の構造って多くの面が組み合わさって成り立っているのがわかります。

「剥離して傷をなくしたら、次に目地を整えます。これは高級家具を仕上げる工程と同じ。サンドペーパーできれいに磨きながら、木目をきれいに出していきます」。

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シートの生地も張り替えて

「アンティークやヴィンテージの椅子って、シートにベルトが張られている場合が多いんですが、それを板に変えてあげます。ベルトはどうしても劣化して切れたり、たわんだりするので」と牧田さん。

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シートを取り替える際には、クッションと生地も交換。こちらもアンティークの家具と相性が良いものを、海外の生地問屋からたくさん買い付けてくるそうで、あまり光沢感がなく柄の細かいものを選びます。

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at’sシートに板を張り、新たに生地を張り替えます。
at’s「キャビネットの背板にオリジナルの生地を張ってあげることもあります。明るくなってガラッと印象が変わりますね」と牧田さん。
at’s買い付けたアンティーク・ヴィンテージの家具が、左から右へいくにつれ、だんだんと蘇生されていくのがわかります。

アメリカのいい家具を買い付け

「at‘s」の家具は、アメリカからの輸入が6割、イギリスからが4割です。アメリカには、津田さんはじめスタッフが直接買い付けに行きます。大きなトラックで2ー3週間、アンティークショップやリサイクルショップ、オークションなど、さまざまなところで家具を探します。

「1回の買い付けで、2,000アイテムぐらいは持って帰りますね。トラックには猫が入る余地もないほど隙間を埋めて、びっちり積んでます(笑)」と津田さん。

膨大な数のアイテムを積むのも下ろすのも自分たちでやるというから、それは体も鍛えられます。その軽快な動きからか、アメリカでは“NINJA”と呼ばれている牧田さんは、「トラックにどれだけ詰めるかが勝負ですね。少々量が多くても、絶対積んだるってムキになりますね(笑)」。

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アメリカの家具では、1950年代から60年代にかけてのものを一番多く輸入するそうです。津田さん、その理由は?

「アンティークというと骨董的価値から古ければ古いほどいいという方もいらっしゃるんですけど、われわれは家具を一番いいクオリティでつくっている時代を追いかけるものですから、必然的にそうなりますね。アメリカでは、非常に贅沢な高級無垢材をふんだんに使っていたのがその時代なんです」。

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2,000点ものアイテムを日本に持ち帰り、基本的に木製のものはほとんど手をかけて蘇生させるという「at’s」の家具。「スークな乙女蚤の市」で出品される予定のものが、工場で生まれ変わるのを待っていました。

at’s高級無垢材を使ったロッキングチェア。
at’s子ども用のチェア。牧田さんが持つのはピアノスツール。「これはメイプル材。大リーガーが使うバットに用いられる木ですから、硬くて強いです」と津田さん。
at’sシートに革が張られた椅子。
at’s「ダムウェイター」というアメリカではポピュラーなジャンルの家具。「向こうでは“パイテーブル”なんて呼ばれ、ケーキを並べたりサイドテーブルとして使われたりもしていますね」と津田さん。

蘇生させる前の、少しばかりくたびれた家具が、「at’s」の手によってどのように生まれ変わるのか? 確かめたくなった人は、9月25日から開催される「スークな乙女蚤の市」へ足を運ぶべし!

「スークな乙女蚤の市」
9月25日(水)~10月1日(火) ※催し最終日は午後5時終了
阪急うめだ本店『うめだスーク』 中央街区

取材・文/蔵均 写真/桑島薫

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