Cabriolet (キャブリオレ) 前編 13年の時を経て 原点の靴に戻ってきた

靴づくりを実現させた運命の出会い
兵庫県神戸市。大森さんとの待ち合わせ場所は、和田岬駅からすぐのところにある靴工房「KNOCKS:BESPOKE(ノックス ビスポーク)」。今日はここで靴職人さんと打ち合わせがあるという。
現場にお邪魔すると目に飛び込んできたのは壁一面にかかった木型。少年心をくすぐられる秘密基地のような空間。

2017年にアクセサリーとバッグのブランド「La Bouquetiere Lola」を立ち上げた大森さんは、ポップアップショップや全国各地のイベントでお客様との交流を増やしてきた。そんな中でもずっと実現させたいと思っていたこと。それがオリジナルの靴をつくることだったという。

「元々、靴の販売をやっていて、靴はその頃から大好きなんです。だからいつか自分たちの靴をつくりたいとずっと思っていたんです」と大森さんは目を輝かせる。
「靴は工程が多く、高い技術も求められますので自分ではとても作れません。だからと言って自分が思う理想を形にしてくれる職人さんと出会うことがなかったので、どうしようかと考えていたところでした」

そんな時に運命的に出会ったのがここで働く靴職人、内尾暢志さん。そして山口祥弘さんだ。
「内尾さんは女性用のビスポークをやっていらしゃって、技術もセンスも抜群。お店に寄らせてもらって、一足自分の靴をオーダーして、その流れで、思い切って自分のショップにオリジナルの靴を作りたいんです!というお話をしました。それを快く引き受けてくださり、今に至っています」

オーダーメイドの靴を専門で作ってきた内尾さんたちにとっては、不特定多数のあらゆるお客様にフィットする靴づくりは初めての挑戦。そこでは、長年ショップでお客様と対話をしてきた大森さんの意見がとても新鮮で参考になったとのこと。
お客様は店頭でどんなことを気にされるのか。大森さんが日々接客をする中でつかむお客様の気持ちと、内尾さんたちの高い技術が融合しては靴づくりは順調に進んでいるという。
「ビスポークで靴をつくってきた方ですので、私がつくりたい理想の靴の姿を察してくださり、それを形にしてくれますので、さすがだなと尊敬しています」
「やってみましょか」からはじまった。

これが完成目前の靴。5色で展開予定。間も無くキャブリオレの店頭に並ぶ。
この靴は、先行して販売していた赤いバッグに合わせてつくりたいという大森さんの思いがあり、バッグと同じ革で作られている。
「この革でつくれますか?」
どうしてもバッグと統一感を持たせるために同じ革でそろえたかった大森さん。靴職人の常識では靴では使わない革のようだった。
一呼吸置いて「やってみましょか」と静かに答える内尾さん。 こうしたやりとりが積み重ねを経て、ファッション性と職人の技術がうまくミックスされてていくのだ。

「今は、革も底も仕様もきまったので、あとは細かなところを調整する段階に入っています。中敷きのデザインやバックルを検討しているところです」

かかとの辺りと中敷きに、何やら繊細な文字が書かれている。 文字へのこだわりには、大森さんらしいエピソードがある。その話は後半で。
取材・文/木下博司 写真/桑島薫
■イベント情報■
阪急うめだ本店10階『うめだスーク』南街区スーククローゼットにて、cabriolet常設の売場に加えてcabrioletポップアップを開催します。
10月14日(水)~10月20日(火) 催し最終日は午後4時終了
オリジナルブランドであるLaBouquetiereLolaを直接お手にとってご覧いただけるのに加えて アパレルブランド「GASA」とのコーディネートを提案しています。 お近くの方は、是非ご覧ください。
Story
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Creator/Brand

クリエイター
La Bouquetiere Lola(ラブケティエルローラ)
2017年神戸でブランドスタート。革・天然石やパールなどの天然素材にカリグラフィー(手書きの文字)を取り入れてコレクションを生み出しています。