COCHAE(コチャエ)第2回 よみがえった「カワイイ・ヲリガミ」 | SOUQ ZINE スークジン

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COCHAE(コチャエ)第2回 よみがえった「カワイイ・ヲリガミ」

COCHAE(コチャエ)第2回 よみがえった「カワイイ・ヲリガミ」
忘れられた伝統文化との共存共栄を理想とするユニット「COCHAE」をご紹介。
ユニットの1人、軸原ヨウスケさんの岡山のアトリエを訪れて、復刻した折り紙について話をうかがいました。ユニットのもう一人のクリエイター・武田美貴さんは京都・丹後から加わっての二元中継です。
SOUQ
いろいろな折り紙を発表しながら、作品の幅は広がっていきましたね。
軸原
そうですね。そうこうしている間に、紙モノの仕事が増えていきました。「トントン紙ずもう」とか「こけしおり」とか。
SOUQ
「こけしおり」って、こけしの形をした栞ですか?
軸原
そうです。2009年頃はこけしのグッズは世の中にあまりなかったです。そのあたりですでにかなり東北のこけしにはまっていて、『kokeshi book』という本を2010年、『武井武雄のこけし』という本を2012年に出版。いつのまにか“こけしの人”みたいになってて(笑)。折り紙の人からこけしの人へ。どっちもニッチなんですけど。
COCHAE
SOUQ
なかなかシブい転身ですね(笑)。武井武雄さんというのは、こけしの作り手ですか?
軸原
いえ、基本的には童画家です。『コドモノクニ』など児童雑誌の挿画やデザインに関わったり、さまざまな分野で活躍され、「童画」、「定番」という言葉をつくった人でもあるんですよ。
SOUQ
すごいワードクリエイターですね。
軸原
いわゆる子供の絵の大先生ですね。それでいて郷土玩具の研究者でもあったんですよ。1930年頃に、日本にどれぐらい土俗玩具が残っているかあらゆる役場に問い合わせをして集め、それを集大成した本を出してるんですね。
SOUQ
すごいパッション!
軸原
その時点でのコレクションを網羅して研究したら、今後の玩具の発展に役立つはずだということで。
SOUQ
その中で、こけしにも愛情を注いだわけですね。
COCHAECOCHAE刊の『武井武雄のこけし』から。
軸原
そうです。『武井武雄のこけし』は、彼が集めた大量のコレクションやこけしをモチーフにした作品を掲載しています。この本の中でも書いているんですが、「吾八」という店が、こけし界においても重要な役割を果たすんですが、「COCHAE」が復刻した「カワイイ・ヲリガミ」とも不思議な縁がありまして…。

一冊のスクラップブックから

SOUQ
「吾八」というのはどういう店なんですか?
軸原
いわゆる趣味の店といいますか、明治時代に創業し、古美術、古書籍、骨董、人形、千代紙などを売っていました。民藝運動が取り上げるよりも先に大津絵も扱っていましたし、こけしの中古を初めて流通させたのも「吾八」なんですよ。
SOUQ
その「吾八」と「カワイイ・ヲリガミ」はどういう縁があるんですか?
軸原
僕が戦前のものなど古い折り紙を集めていて。今となってはあまり残っていなのんですが、このスクラップブックに出会ったんです。
COCHAE戦前の折り紙が貼られたスクラップブック。
SOUQ
これは貴重なものですね。どこで手に入れられたのですか?
軸原
僕は日本郷土玩具の会に入っているのですが、そこの会長さんと親しくさせてもらっていて。「戦前の折り紙の本がヤフオクに出てるぞ」と教えてくれたんですよ。
SOUQ
こういうものがヤフオクでも出回るものなんですね。
軸原
そうなんですよ。少々値が張ったんですが、「これだ!」と思いすぐ落札しました。
SOUQ
これはいつ頃のものなんでしょう?
軸原
戦前のものだと思います。ここに昔の「カワイイ・ヲリガミ」が貼られてあったんですよ。まさかこれが「吾八」から出ていたものとは思わなかったのですが、折り図に「発行・西銀座吾八」と書いてあって。「吾八」は戦前、西銀座にあったので間違いないなと思って。
COCHAE
SOUQ
その発見はうれしかったでしょうね。
軸原
その「カワイイ・ヲリガミ」をつくったのが、中島種二という創作折り紙作家で、種二の話をすると、もう2時間ぐらいかかるんですけど(笑)。
SOUQ
その話はまたの機会に聞くとして(笑)、この出会いが復刻につながったんですね。
軸原
このスクラップブック以外で「カワイイ・オリガミ」をどこでも見たことがないので、これは復刻するしかないのかなと。折り図も付いていましたし。
COCHAEスクラップブックの右ページに貼られていた昔の「カワイイ・ヲリガミ」と、「COCHAE」が復刻した「カワイイ・ヲリガミ」(左ページ上部)。
武田
きっちり復刻したいなと思ったので、ちゃんと版元のご遺族に許可をいただき、印刷の粗いところはそのままにしたり忠実に再現したのですが、折り図に関しては、今となっては少しわかりにくいところもあったので、補足しました。
軸原
それから中島種二の折り方をまとめた本も出しました。
COCHAE戦前に出された中島種二著『折紙細工』とCOCHAE刊の『カワイイヲリガミ細工』。

折り紙遺産を受け継いで

SOUQ
「COCHAE」にとって、中島種二さんの影響はかなり大きいですかね?
軸原
というか、すでに大先輩がいたという感じでしたね。
SOUQ
いま「COCHAE」がやっていることに対して?
軸原
そうです。スクラップブックで出会う前から、こちらもかなり種二っぽいことをやっていた感じですね。
SOUQ
中島種二や「吾八」が残した折り紙遺産を、今に伝えることができてよかったですね。
軸原
はい。これは新しく出した「日本の伝承折紙」なんですが、これはすべて日本で古くから伝わっている折り方をまとめて絵をつけたものなんですよ。
COCHAE「COCHAE」の新商品、「日本の伝承折紙」
SOUQ
伝承というのは全国各地に残っているものなんですかね?
軸原
そうです。いわゆる口頭伝承で。おばあちゃんなどが折っていたものが伝えられてます。誰が考案したかもうわからない。気づいたらみんな折ってたというのが伝承折りです。
SOUQ
地方によって違いはないのですか?
軸原
ないですね。脈々と受け継がれていますね。

取材・文/蔵均 写真/桑島薫

思わぬスクラップブックとの出会いから、古くから伝わる折り紙を復刻するようになった「COCHAE」。次回最終回は、さらに仕事の幅を広げる2人の活躍をフィーチャーします。

Creator/Brand

COCHAE(コチャエ)

デザインユニット

COCHAE(コチャエ)

“あそびのデザイン”をテーマに活動する軸原ヨウスケ、武田美貴による デザイン・ユニット。 2003年、「折紙をもっとポップに!」をキーワー ドにグラフィック折紙を制作。現在は新しい視点を持った玩具や雑貨の開発、出版企画、商品企画、展示など 幅広い活動を行っている。

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