壁掛けカレンダーに発想、で生まれた革財布 | SOUQ ZINE スークジン

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壁掛けカレンダーに発想、で生まれた革財布

壁掛けカレンダーに発想、で生まれた革財布
中身が “張る”にも通じ、春の時期に買うと縁起がいいとされる「春財布」。時期についての解釈はいろいろあるようですが、今年の立春は2月4日。新生活に備える時期でもあり、財布を新調するのもいいかもしれません。今回のSOUQ IT!は、革のバッグや財布をクリエイションするブランド「JINMON」の個性的なウォレットを紹介します。

「JINMON」の代表でデザイナーの陣門大輔さんは、文化服装学院を卒業後、メーカーに1年間勤めたあとに渡英。バッグブランドで企画・デザインに携わります。

「2008年から3年間働いていたのですが、その頃ブランドは日本でも人気があって、毎日、切って縫っての連続で忙しかったですね」と陣門さん。2010年に帰国後は、フリーランスで他の企業やブランドがプロデュースするバッグの企画やデザインも請け負いながら自分の作品づくりを続け、2015年にプライベートブランド「JINMON」を立ち上げます。

JINMON東京・四谷にある、「JINMON」のアトリエ兼ショップ

自分で手を動かすことの大切さ

「立ち上げのときは、ラインアップはバッグだけでしたね。バッグと財布って基本的に職人もつくり方も違うんですよ。そのときの私は、イギリスでもつくっていたのでバッグはできるんですけど、財布はつくれなくて」。

JINMON「JINMON」のバッグのラインアップ。右上段に置かれたバッグ、MAIL CLUTCHは「『JINMON』のアイコン的な商品なんですが、つくるのが大変です(笑)。石膏みたいな型をつくって、立体裁断をしていってつくります。うちのブランドの特徴として、立体感というか、モノとして迫力のあるものは多いですね」と陣門さん。

「JINMON」のシグニチャーアイテム、MAIL CLUTCHの“MAIL”とは英語で鎧のこと。映画『スター・ウォーズ』にも出てきそうな、かなり個性的なフォルムですが、このようなデザインの発想はどこからくるのでしょうか。

「クリエイションには、なにか新しさが絶対必要。僕の場合、ものづくりは企画から入るのですが、絵を描くだけじゃなくて、実際にモノをつくっていく過程で新しい発見とかアイデアが結構出てくるので、自分で手を動かしながらつくるということは大事にしています」。

JINMON陣門さんが描くバッグのデザインスケッチ。
JINMON
JINMONアトリエに置いてあった小さなプロトタイプ。「昔から小さい模型をつくりながらデザインを考えています」と陣門さん。

壁掛けカレンダーを見て

「JINMON」が立ち上がって2年目には、財布づくりがスタートします。カバンと財布ではつくり方が違うと言う陣門さん。その違いはどこにあるのでしょうか。

「かばんに比べて財布はやっぱり細かいですね。革の厚さが0.1ミリ単位で決められたり、ステッチを縫うミシンや針の太さも違うし、結構違いがあります。収納するカードの大きさなどもだいたい決まってたりするので、財布づくりはより繊細だと思いますね」。

JINMON「JINMON」の財布の数々。

今回紹介するLOOP シリーズは、陣門さんが財布づくりを手がけ始めた頃、なにか新しい味付けをしたいなと考えていたときに生まれたものです。

「ウォレットチェーンをつけられるようにしたいと思っていたところ、壁掛けカレンダーを見て、これを金具に応用できたら面白いんじゃないかとひらめいて。すぐに海外のベンダー(金属を曲げる道具)を取り寄せて、自分でステンレスの棒を曲げてつくったんです」。

JINMONLOOPシリーズのデザインスケッチ。

面白い金具ができたので、サコッシュなど首からいろいろなものをぶら下げるファッションが人気があったこともあり、紐と組み合わせたLOOPシリーズが生まれます。

JINMONMINTカラーのLOOP WALLET。カラーバリエーションは、他にNATURAL、NAVY、STONE、WHITEの全5色。

陣門さんはもともとカバンづくりが専門で、財布づくりは自己流。それだけに、従来にないつくりかたもしているようです。

「二つ折りのLOOP WALLETはつくりに特にこだわっていて、普通の財布だとパーツは20から30ぐらいのパーツが使われて完成するんですけど、これは革2枚だけ。折り紙みたいにつながっているんですよ。折っていくので、結果的にどうしても重なる部分があるのですが、そこが隠しポケットみたいになっています」

JINMON
JINMONたった2枚の革が見事に二つ折りウォレットの形に。「ステッチが少ないことで、他の財布と違う表情が結構出てると思います。マニアックだからお客さんには伝わっていないことも多いんですけど(笑)、わかる人にわかってもらえればいいかなって」。

イタリアの革の美しさ

LOOPシリーズは、WALLETの他にL-ZIP、KEY CASE、COIN CASE、CARD CASEの5種類があります。革はWHITE以外はすべてイタリアの革を使用しています。

JINMON「JINMON」のLOOPシリーズ。左からWALLET、CARD CASE、KEY CASE、COIN CASE、L-ZIP。

「革って世界中にあるんですけど、ヨーロッパがいいとされていて。その良し悪しも人によって考え方が違うと思いますが、イタリアの革は色がきれいというのが特徴で、日本ではなかなか同じようにはあがらないような気がします」。

革の染め方や染料、水の質などによって、イタリアらしい色合いが出ると言います。LOOP WALLETはイタリア・トスカーナにあるテンペスティ社という老舗タンナーの革を使っています。

JINMON

「イタリアでは革会社がたくさんあるんですけど、その中で20~30社有名なところがあって、テンペスティ社もその中の一つです。トスカーナ地方は革の産地として有名ですが、だいたい大きな川が流れているところに革工場がありますね。日本でも兵庫県の姫路や龍野がそうですが、水が必要だから川の近くに革工場が集まるという話は聞きますね」。

ロンドンでの3年間のバッグづくりの経験がそうさせるのか、ワールドワイドな視点を持つ陣門さん。そしてMAIL CRUTHやLOOPシリーズをはじめ、その作品の独創性が際立ちます。

JINMONこちらは革素材ではなく、帆布やフランスリネンを使ったバッグ、CLIP。その名の通り、クリップがついたユニークなものです。「これは革紐の先にクリップが付いているのですが、『エルメス』のバッグだったら先に鍵が付いているとか、案外バッグの中でアイコン的な役割を果たすんですよ。そこにクリップがついているのが意外に斬新で」と陣門さん。
JINMONショップを構えるにあたり、陣門さんがどうしても欲しかったという什器がこれ。「大好きなオランダのデザイナー、ピート・ヘイン・イークの作品です。15年ぐらい前から欲しくて、ショップをつくったタイミングでこれだけは買おうと思って。オランダの家電メーカー元工場のアルミ廃材を使ってつくられています」。

壁掛けカレンダーから発想を得て、金具のデザインが生まれたというLOOP WALLET。「首から下げるのもいいんですけど、個人的には、カラビナとかウォレットチェーンを金具につないで身につけるのもいいんじゃないかと思っています」と陣門さんが言うように、自由な発想で、自分らしく使ってみたい財布です。

取材・文/蔵均 写真/東泰秀

JINMON
東京都新宿区四谷4-9 第2服部ビル101
03-5379-8507
13:00~19:00
月・火曜休み

Creator/Brand

JINMON(ジンモン)

バッグブランド

JINMON(ジンモン)

コンセプチュアルなテーマをシンプルなシルエットで表現するバッグブランドです。『アイデア・デザイン・クオリティ』が共存するものづくりを実現するため分業化せずデザインからパターン製作、試作まで一貫して行います。

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