JUBILEE(ジュビリー) 後編 感性を磨くために 変化の中に身を置いて | SOUQ ZINE スークジン

JUBILEE(ジュビリー) 後編 感性を磨くために 変化の中に身を置いて

JUBILEE(ジュビリー) 後編 感性を磨くために 変化の中に身を置いて
シルクスクリーンプリントを中心とした手法で色鮮やかでユニークなオリジナルテキスタイルを生み出しているJUBILEE(ジュビリー)のデザイナー、シミズダニヤスノブさんにお話をお聞きする後編。アイデアを生み出すためにどんなことを行なっているのでしょうか。そして、日々心がけている習慣はあるのでしょうか。

日常に溢れる〝アイデアの種〟を拾い集めて

「テキスタイルを考えるときは、アトリエでスケッチを描くところから?」シミズダニさんが、どんなふうにテキスタイル制作をしているのか興味が湧いて、質問を投げかけてみると、「確かに描くときはそうですけど、アイデアが浮かぶのはここじゃないことが多いですね」とシミズダニさん。

「アイデアが浮かぶのは、歩いている時が多いです。家からアトリエまでの道中とか、旅先での散歩とか。あと煮詰まったらすぐに外に出ちゃいます。駅に向かう時も、行きと帰りでは見えてくるものが変わりますし、通る道を少しずつ変えてみると、新たな発見があったりします。移動も、私にとってはとても大事な時間なんです」

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歩きながらみつけたおもしろいものは写真を撮ったり、思い浮かんだアイデアはメモしておいたり。人と話をしている中で気になった言葉も、書き留めておくそう。シミズダニさんのアンテナは、常に〝オン〟の状態にあります。

「常に、何かおもしろいものないかなぁ、って好奇心を持ちながら過ごしています。アンテナを張って歩いていると、予想外にアートのような光景に出会ったり、グラフィカルな影を見つけたり。何気なく置いてある古い台車の色のグラデーションがきれいだなぁと思うこともありますし、植物の色や形にハッとすることもあります。意識していなければ素通りしてしまうようなものが、私にとってはアイデアの種。そういうものは、日常生活のあちらこちらに溢れているんです

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アイデアに結びつく様々なものを外で集めて、アトリエに持ち帰ってからそれらを掛け合わせたり、肉付けしたり削ぎ落としたり。シミズダニさんのテキスタイル制作は、日々、彼の感性でコレクションしたものを編集するような感覚で行われているのかもしれません。

「アンテナの張り方の強弱はあるものの、常にオンでいることは習慣づけるようにしています。思い浮かんだものをすぐに使うのではなくて、少し寝かせてから『あ、あの時のアレ!』と思い出して使うこともありますよ」

ベストな状態であるために動き続ける

シミズダニさんが主に使っているのは、シルクスクリーンプリントという手法。コクヨとのコラボレーションアイテムのように、工場でプリントするようなものも、自分でインクの色を調合して手刷りをし、色見本として工場に共有することもあると言います。

「シルクスクリーンプリントは、使用する単色の他に、重なることによって生まれる“重色”、インクが乗らないところに生まれる布地の色のバランスによって絵柄が完成するところが魅力のひとつです。だから、絵柄を作るときには、ちょっとした重なりや布地そのままである部分のバランスにもこだわって微調整を重ねています。また、特色印刷なのでインクの色を1色ずつ調整して求める色を探ることができます。」

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シルクスクリーンプリントの魅力をいろいろな人たちに体験してもらおうと、線の細さ、太さが異なるストライプとボーダーのスクリーン版を使い、プリントを重ねることによって、オリジナルのチェック模様を作るワークショップを開催したそう。これは、シミズダニさんを含むテキスタイルデザイナー三人で立ち上げた会社「pole-pole(ポール トゥ ポール)」として行った活動ですが、一人で活動し続けるのではなく、仲間との活動をスタートさせたのにも、彼らしい前向きな理由がありました。

「一人での活動を始めて約10年が経った2017年に、自分と同じようにテキスタイルデザイナーとして活動していた二人と一緒に会社を立ち上げました。翌年にこのスペースを借りて、三人でDIYをメインにリノベーションして、ここを三人のアトリエ兼ショップとしました。同じジャンルで活動していても、それぞれ違った経験を積み上げていて、それぞれ異なる発想を持っています。そういう三人が集まり組織化することで、新たな価値観を創造し、一人ずつでは持てなかった新たなチャンネルができるのではないか、そういう新たなチャンネルがあってもいいのではないか、と思ったんです。シルクスクリーンのワークショップもそうですが、ここは実験的なことができる場でもあります。常にアップデートをして自分をベストな状態にしておくために、この場所でどんどん新しいことにチャレンジしていたいですね」

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シミズダニさんは、いつも新鮮な感性で創作をするために、動き続けます。それは、普段からの意識も環境づくりも、そして仲間との活動もそう。スピーディーに変化していく流行には左右されず、自らの土を耕すように、自らの感性に水をやるようにしながら、丁寧に実直にアイデアを育む彼の姿を見て、アパレルショップが並ぶミッドタウンではなく、緑の多い暮らしの町にアトリエを構えている理由がわかった気がしました。

取材・文/内海織加 写真/宮川ヨシヒロ

Creator/Brand

JUBILEE(ジュビリー)

テキスタイルデザイン

JUBILEE(ジュビリー)

2008年4月から「プリントデザインからはじまるモノづくり」をコンセプトにオリジナルのテキスタイルを使ったブランド『JUBILEE』を始める。

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