サスティナブルな未来へ「Love & sense」 | SOUQ ZINE スークジン

サスティナブルな未来へ「Love & sense」

サスティナブルな未来へ「Love & sense」
5月22日(水)ー6月4日(火)、阪急うめだ本店では「GOOD for GREEN」を開催します。これは、全館挙げて取り組んでいる“未来に向けた持続可能な社会を目指す”という社会的な命題に向けてのプロジェクトの一環。今回のプロジェクトストーリーは、期間中に1階のコトコトステージで「サーキュラーエコノミー(循環型経済)」をテーマに、ポップアップショップを開く「Love & sense」を紹介します。

ふだんは、10階のうめだスーク中央街区に店を構える「Love & sense」は、“フェアトレードのセレクトショップ”。フェアトレードとは、“貧困で厳しい立場に置かれている主に途上国の人たちとの公正で継続的な貿易によって、彼らの自立や生活改善を目指す”もので、チョコレートやコーヒーなどの食品を始め、アクセサリーや装飾品など、アジア、アフリカ、中南米などで生産されたものを、消費者へつなぐ役割を果たしています。

Love & sense
Love & senseうめだスークの常設店「Love & sense」と店長の岩夏実さん。

“サスティナブル”“エシカル”などの言葉が普通に使われるようになり、環境への意識が高まっている今、「Love & sense」は生まれるべくして生まれたような気がしますが、誕生の経緯はどのようなものだったのでしょうか? オーナーである株式会社福市の高津玉枝さんに話を聞きました。

Love & sense株式会社福市の代表取締役で「Love & sense」オーナーの高津玉枝さん。身につけてらっしゃるのはフランスの郵便局の郵便袋を再生したジャケット。「ヨーロッパの展示会にこれを着て行ったら、妙に声をかけられますよ(笑)」。

フェアトレード黎明期に

「フェアトレードを扱う会社を立ち上げたのは2006年です。当時はまだまだフェアトレードの認知度が3%ぐらいという時代でした」。

株式会社福市のほかにマーケティングの会社も経営していた高津さんは、2000年頃からフェアトレードに興味を持ち始め、さまざまな企業やクライアントに話を持ちかけます。しかし当時は、今のようにエコや持続可能の概念もあまり世に認知されてなかった時代です。

「そういう状況なので、フェアトレードを市場に流通させるのはとても難しい。だけどNPOだったら何かできるんじゃないかと、国際NGOのオックスファムに関わりました。オックスファムは、イギリスにお店を800店舗ぐらい持ち、そこに古着などをドネーション(寄贈)してもらい売ってるんですね。そこの一角でフェアトレード・プロダクツも売っていたので、これだったら可能性があるんじゃないかと思い、日本での立ち上げに参加しました」。

Love & sense

数年NGOでの活動を続けていた高津さんに、2006年一つの転機が訪れます。名古屋ロフトから、売り場づくりの相談を受けて、たくさんのクリエイターを集めて期間限定でのフロアをつくるという構想でした。高津さんは、それならばフェアトレードのお店もできるのではと思い、提案して受け入れられたのです。

「3カ月オープンしてましたが、結果はもう笑えるぐらい散々。1日の売り上げがチョコレート1個で250円という日もあり、けちょんけちょんだったんですよ…」。

大ゴケはしたかもしれないけど、メディアの取材も相次ぎ、その後、表参道ヒルズでのポップアップショップへとつながっていきます。そして、東日本大震災を受けての「EAST LOOP ハートのブローチ」のプロジェクトを経て、2012年、うめだスークに直営店「Love & sense」をオープンさせました。

Love & sense東日本大震災が起こったあと、高津さんが直接被災地入りしてプロジェクトを進めた「EAST LOOP ハートのブローチ」。被災地の方々の手づくりで、台紙の裏側にはつくられた場所とつくった人の名前が記されている。

「これまでのNPOやフェアトレードの先輩が築いたマーケットとは違うところでやろうと決めていたので、誰もが知っている商業施設に直営店を出したいと思っていました。そんなときに阪急うめだ本店がリニューアルオープンするということで、ここで何かできないか一度アタックしてみようと思ったんです。うめだスークが、ある意味百貨店らしくない新しいコンセプトでスタートするということを聞いて、これだったらハマるんじゃないかって。縁をいただいて、2012年に出店しました。他の売場だときっと難しかったでしょうね」。

Love & sense

「GOOD for GREEN」では

以来、中央街区に7年間継続して店を構える「Love & sense」。ショップは一見するとフェアトレードの店とはわからない佇まいです。店ではどのようにアイテム選びをしているのでしょうか?

「フェアトレードのことを全然知らないとか関心ないとか、知るきっかけがない人にどうやって届けるかということが事業を始めた主旨なんですね。だからお店に入った人が、『ああスーク楽しい、このアクセサリーかわいい!』って寄ってくれる環境にしたかったんですよ。で、話をさせていただくと、『あっ、これってフェアトレードだったのね』とわかってもらえるような。知らず知らずに届けるのが第一歩かなと思っています」。

Love & senseインドで生産されるフェアトレードの認証コットンを素材に、大阪のファッションブランド「si si si comfort」がデザインしたMarucoシャツ。

フェアトレード商品の中でも、百貨店で売れる品質を見極め選んでいるという高津さん。さらには、つくり手への想いも強いようです。

「商業施設というものを見たことがない人が途上国には沢山いるんですよ。だからうめだスークの売場の写真を撮って現地に送ってあげると、『自分が作ったカバンがこんな綺麗な環境で素敵に飾られているのか!』って、すごくモチベーションが上がりますよね。『EAST LOOP ハートのブローチ』のときもそうだったんですけど、東北のおかあさんたちにブローチをつくってもらったとき、『おらがつくったものなど売れねえ』って言ってたけど、いろいろなところで売っている写真を撮って送ると、みんなすごいテンションが上がる。ものづくりをしている人に、キャッシュ以外にも笑顔や元気が届くようにすることが、すごく大事かなと思っています」。

Love & sense
Love & sense一見象牙でつくられているようにも見えますが、実は象牙椰子という椰子の種子からつくられている「タグア アクセサリー」。下写真の商品左横にあるのが、原料となる種子。

今回、1階で開催される「サーキュラーエコノミー」では、循環型経済というテーマで、フェアトレードだけではなく、もう少し大きな視点で地球と共存してどうサスティナブルな未来をつくっていくかを考えたいという高津さん。ショップでは、どのようなアイテムが並ぶのでしょうか。

「象牙椰子の種子からつくる『タグア アクセサリー』や、アルミ缶のプルタブを使ったバッグなど、いつも『Love & sense』に置いている商品のほか、お米からエタノールをつくる技術を活かした石鹸、タイヤのチューブを利用したアップサイクルバッグなどを販売します。このテーマでやるのは初めてなので、ドキドキしていますね」。

Love & sense
Love & senseアルミ缶のプルタブを利用して、ブラジルの首都ブラジリア近郊で手づくりされている「プルタブバッグ」。

「商品の完成度が高いので、まずそこから入ってほしい」と言う高津さん。フェアトレードや環境問題については、あとから知識として持ってもらえればいいとも言います。

「買い物をするとき、そこにはいろいろな価値があると思います。もちろん安さもありますし、素材がいいこと、デザイナーの価値、ラグジュアリーブランドは老舗として持っているストーリーや歴史もある。それにもう一つ、誰かの笑顔につながるとか、新しい価値が選択の一つとして加わる世の中になればいいなとすごく思っています」。

『Circular Economy 循環~地球、人、モノのいのちもぐるぐるめぐる』
2019年5月22日(水)~5月28日(火)
@阪急うめだ本店1階「コトコトステージ11」

取材・文/蔵均 写真/桑島薫

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