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Luka(ルカ)後編 記憶に残る愛しい色彩が 毛糸を通じて溢れ出す

Luka(ルカ)後編 記憶に残る愛しい色彩が 毛糸を通じて溢れ出す
毛糸をニードルで絡ませながら絵を描くようにして作られるLuka(ルカ)のマフラー。前回は、アート作品とも言える1点物のアイテムについて、またその魅力について、このブランドの作家 山川清映さんにお話をうかがいました。後編は、山川さんのものづくりについて。そのきっかけや想いについてもお訊きします。

“空っぽ”な状態から一転、一気に溢れ出た創作意欲

編むでもなく、縫うでもなく。ニットでもなく、フェルトでもなく。Lukaのアイテムは、毛糸を使っているのは明らかですが、その使い方は今までに見たこともないような新しさを感じます。それもそのはず、この手法自体、山川さんが独自に考えたものなのですから。今までニットやフェルトで作品を作る中で進化した結果かと思ったら、「最初からこの作り方ではじめたんです。少し調整はしていますが、やり方は今もほとんど変わっていません」と山川さん。

Luka

聞けば、作品づくりをはじめたのは2016年のこと。それまでは、特に自分の作品をつくっていたわけではなく、作家活動についても特に考えてはいなかったそう。 「長いこと東京で刺繍の図案を描いたり、アパレルでデザイナーの仕事をしていたのですが、いろいろな経緯で地元の群馬にベースを移して、数年はアパレルから離れていたんです。料理も好きだったので給食を作る仕事をしていたのですが、やりたいこととはどこか違うという感覚があって、一度、やりたいことも全然ない空っぽの状態になってしまったんです。そんなある日、美術館に足を運んで、モダンアートを見ていた時のこと。急に、私はつくる手法は知っているし、他の人はやっていない方法だからつくりたい!っていう気持ちが湧き上がってきちゃって」

Luka

山川さんは、その時の興奮を思い出したかのようにキラキラとした表情で話を続けます。 「コード刺繍(紐状のものをミシンで縫い付けていく手法)とニードルパンチ(糸や毛糸を生地に埋め込んでいく手法)という手法が好きで、それを組み合わせたら絶対に可愛いものができる確信があったんです。不思議なことに、家には、縫製工場さんからいただいた毛糸やら、閉店セールで買っておいた糸、たまたま服のお直し用にと買ったまま使うことなく置いてあったニードルも持っていて、何も買わずに作り始めることができました。おまけに、買ってあった宝くじが1万円当たって、それでも毛糸を買い足して(笑)そこから、わたしのものづくりがはじまりました」

Luka

色彩としての蓄積が、進化を遂げて作品を生み出す

山川さんが作品を作るときには、図案もなければイメージラフもありません。ではどうやって作り始めるのかというと、毛糸との対話。「毛糸玉を手に取って、色の組み合わせを見ていると、物語とか情景が頭の中に流れてくるんです」と山川さんは言います。 「鮮やかなターコイズブルーにオレンジを合わせていたら、海で網にかかった貝が思い浮かんでそれを形にしてみたり、赤やスカイブルーを手に取ったら、爽やかなスポーツのイメージが浮かんで、そのアクティブさを形にしてみたり」

Luka

「子供の頃、物語を読むと、その印象が色として頭に残るところがあって。シンデレラだったら、淡いブルーとやわらかいイエローとか、小人と靴屋だったら、茶色とモスグリーンとか」 山川さんの頭の中には、きっと様々な記憶が色彩となって残っているのかもしれません。幼い頃からの色のストックは、毛糸をきっかけにアウトプットされ、作品として新たな色の組み合わせを作り出しているのでしょう。 「でも作品にするときは、景色のままの色を使うのではなく、わざと引っ掛かりのあるような色を組み合わせます。そうすると、急に動き出す感じがするんです」 確かに、山川さんの作品は、色が生き物のよう。そして、無邪気に遊ぼうよ!と語りかけてくるような気がするのです。

Luka

単純に気になってお好きな色をお聞きしてみると、「特にこの色が好き、というのはないんです」と山川さん。 「青といっても、空の青もあれば、海の青もあれば、夜明け前の空の深い青もある。そういうちょっとずつ違う色のひとつ一つを大切にしていきたいから、できるだけニュートラルでいたいなって思っています」 その言葉から、色彩が彼女にとって愛おしい存在であることが伝わってきます。道具や手段ではなく、仲間や友達という方が相応しいのかもしれません。

完璧に満たない少しの余白が、次への原動力になる

山川さんの作品づくりは、毛糸で絵を描いているのに近い。規則性は一切なく即興で行われるものだから、どこで終わらせるかというのも感覚的です。どこで作業を終えるのか、そのタイミングについてお聞きすると、その答えにも山川さんらしさがのぞきます。 「つくった作品はみんな大好きですけど、パーフェクトなものは作れないと思っています」 一見、諦めとも取れる発言ですが、その言葉の真意は決してネガティブなものではありません。

Luka

「作業を終えた後に、もう少しこうしたかったな、っていう気持ちが生まれるくらいでいいのかなって思っているんです。大満足というのではなく、もっともっとかわいく作れるはずっていう気持ちを僅かに残してつくり終える。だから、また作る。いいものを作ろうという気持ちを持ち続けることが大事だと思っています。そうやって、大量生産大量消費ではなく、大切に宝物みたいに思ってもらえるようなものを作って、お届けしたいと思っています」 その余白に生まれた「次こそは!」という気持ちが、また創作意欲を奮い立たせ、作品づくりのパワーになっていきます。

Luka

Lukaのファンは、20代から80代まで。本来なら好きなものも求めるものもちがうであろう幅広い年齢層の方が、Lukaのものに同じようにときめき、心を動かされ、それぞれの感性でファッションに取り入れているのは、山川さんのものづくりがいかに純粋かということではないかと思うのです。 「歳を重ねていらっしゃる方も、Lukaのアイテムを手に取って試着すると、表情がぱぁっと明るくなって、少女のようにかわいらしくなるんです。それがとっても嬉しくて。このアイテムをきっかけに、ファッションをもう一度楽しんだり、色彩の感性が呼び覚まされたりしたらいいなって思っています。そうすると、何気ない日常も、きっと豊かに感じることができますから」

Creator/Brand

Luka(ルカ)

毛糸フェルト作家

Luka(ルカ)

『ずっと女の子だった』ことを思い出す、絵画のようなマフラーのコレクション。 身につける方それぞれの物語を想起させるよう一点一点にタイトルを付け、丁寧に手作業で制作した一点物の作品群です。

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