MALLE(マル) 第4回 いまを積み重ねて未来へ | SOUQ ZINE スークジン

MALLE(マル) 第4回 いまを積み重ねて未来へ

MALLE(マル) 第4回 いまを積み重ねて未来へ
アクセサリーブランド「MALLE」のデザイナー・長谷川真理さんに話を聞く「ピックアップクリエイター」。最終回は、看護師だったころ、ものづくりに向かうようになったきっかけについてお話を聞いていきます。
SOUQ
真理さんは、アクセサリーづくりをする前はお仕事をされてたんですか?
長谷川
長女が生まれる前までは看護師をしていました。
SOUQ
そのころから手芸はしていたのですか?
長谷川
はい。高校のとき進路を決めるときに手に職をつけたい、自立したいという気持ちがすごくあったんです。ものづくりにすごく興味があったんですけど、子供心にこれで食べていける甘い世界じゃないと思っていたんです。一番好きなことを仕事にできる人ってそういないとも思ってたし。
MALLE
SOUQ
確かになかなかいないかもしれませんね。
長谷川
結局自分に絵を描く才能もないし、違う違うと言い聞かせて看護短大に行ったんですね。それで看護師になったんですけど、なったらなったで仕事は嫌いじゃないけどなんか違うと思っている自分がどこかにいて。
SOUQ
ものづくりへの想いが断ち切れなかった?
長谷川
で、夜勤明けにかばんの専門学校の資料を取り寄せたり、服飾系の専門学校などもいろいろ調べてみたのですが、夜勤もあって三交代しながら学校に通うのは到底無理だし、自分の余力が残っているとも思えなくて。
MALLE

看護師の仕事から学んだこと

SOUQ
看護師さんの仕事は大変そうですもんね。
長谷川
最後に所属していた病棟が、骨髄移植などをしている血液内科だったんです。救えない命もたくさんある中で、生きるということが奇跡の連続だということがすごくわかったし、患者さんから教えてもらうこともたくさんありました。
SOUQ
命に向き合うような仕事だったんですね。
長谷川
たくさんの生死を見させていただきました。そして私が教わった1番大切なこと。『今を生きる』この一言に尽きるような気がします。自分らしく生きたい、命を輝かせて生きたいとみんなそう思っている。命の横幅は残念ながら、どれだけ医療技術が進歩しても個人差がありますし、自分の力だけではどうにもならない側面もあります。だけど、命の縦幅や奥行きは本当に自分次第だと教えていただきました。今、流れてるこの一瞬一瞬の時間もかけがえのないものです。
MALLE「MALLE」の今後について悩んでいたとき、真理さんがよく読んでいたという本。
長谷川
患者さんにはなるべく思いを寄せてやっていこうと思ってるのに、自分はなんか迷ってる。本当にやりたかったことの土俵にも乗らずに迷っている20歳代って、なんなんだろう。永遠にいまの状態があるわけじゃないのに、私はあたりまえに10年後も20年後も明日があると思っているからこんなに悠長にしてるけど、もし明日災害があって死ぬようなことがあったら、私の人生これでいいのかなと。患者さんには、なんとか一日一日を大切にって言ってるくせに、自分は何にも近づいてないって思ってて。仕事は嫌いではなかったけど、葛藤はありました。
MALLE
SOUQ
患者さんと接してると、思うところもあったんでしょうね。
長谷川
そんな想いは主人以外にはだれにも言わなかったんですが、子どもができてピンどめをつくっているうちに刺繍にはまって。はまったら一目散で、これや! って思ったし、なにかしらものづくりに携わりたいという目標はクリアできて。やっと開けた道やと思うから、どれだけしんどくても、睡眠時間削っても、なんとかできてるのかなあと思います。

家族がいる中で生まれる刺繍

SOUQ
ものづくりができる喜びが生まれた?
長谷川
人が手にしたときに喜びとか高揚感を与えられる刺繍の作品をつくることができるのはすごく幸せなことで、それをSNSを使ってみんなに発信できて、それでみんなが欲しいと思ってくれることって素敵なことだと思うんですよ。だからそのことに感謝して、自分のペースで一つずつ前に進んでいって、その先に何かがあればうれしい。
MALLE食べることが好きで、つくることも好きという真理さん。味噌も自家製で。
SOUQ
いまをしっかり生きるということですかね?
長谷川
ていねいに暮らそうとか生命を輝かせて生きるためには、いまを積み重ねるしかその先はないと看護師をしていたときに思ったんです。だから、家族や子どもがいる中から生まれてくる刺繍に愛しさを感じていて、自分らしいなと思うんです。他人はよく見えるし、ないものねだりもあるけど、いまのやりかたは身の丈に合うんだろうなとすごく思えるから、満足してるんでしょうね。幸せだなと思います。
SOUQ
子どもやダンナさんに支えられているからですね。
長谷川
友達にもすごく助けられていて。ちょっと前に「MALLE」の今後のことで悩んでいるときに、友達が「真理っぺは、看護師をやってても刺繍をやってても、きっとブレてないなにかがあるよね。それを見失わなければ『MALLE』は崩れていくことはない。絶対だいじょうぶだから、それだけは大切にしてがんばれって!」言ってくれて。すごく救われました。

取材・文/蔵均 写真/桑島薫

Creator/Brand

MALLE(マル)

手刺繍アクセサリークリエイター

MALLE(マル)

すべて手刺繍&手縫いで仕上げられているアクセサリーブランド。

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