『MANAMI SAKURAI』後編 アイテムが産声をあげるまで | SOUQ ZINE スークジン

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『MANAMI SAKURAI』後編 アイテムが産声をあげるまで

『MANAMI SAKURAI』後編 アイテムが産声をあげるまで

テキスタイルブランド『MANAMI SAKURAI』デザイナーの櫻井マナミさんにお話をうかがう後編。柄を作るときアイデアはどのように湧き出て、どうやってデザインとして落とし込んでいくのか、作る上で大切にしていることについて聞きました。

テキスタイル作り開始の合図は“ワクワクしたら”

好きなアートや本などからインスピレーションを得て、テキスタイルを作っていくことが多いという櫻井さん。 「アートを見に行ったり、本を読んでいたり、ふとしたときに『このワードが引っかかるな』と思うことがあるんです。たとえば、映画を観ていて気になったワードが出てくる。すると、同時期に読んでいた本に載っていた建築家さんが気になって、その方の建造物を見にいくと、コンセプトが映画で気になっていたワードと同じだったりして。そのとき自分が気になっていることがいろんなところに引っかかって、一つにつながっていく感覚です」 その感覚を感じたら、テキスタイル作りがそろそろ始まるよという合図。 「すごくワクワクしてくるんです。どうやってこの気になっていることをテキスタイルにして伝えられるかなと?って。テンションが上がらないとモノ作りができないタイプなので、この状態になるまで、ひたすらいろんなものを見て読んで自分の中に蓄積して、『じゃあ、これをこういう絵にしてみよう』とパッと湧き出てくるのをひたすら待ちます(笑)」

MANAMI SAKURAI

すべてはつながっていることを再認識させられる新柄

“蓄積”の期間は、ちょっとでも気になったことはメモしてどんどん貯めていくそう。 今回発表した新柄2柄もその積み重ねののちに生まれたもの。

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「The universe」は、現代アートの作家、オラファー・エリアソンの著書に書かれたある一節に感銘を受けたのがきっかけで生まれた柄。 その一節とは「みなさんはリンゴの中にじつに木星を食べているのであり、またスモモの中に食べているのは、本当は土星なのです」 バイオダイナミック農法を行うルドルフ・シュタイナーの言葉の引用で、宇宙があって、太陽があって、光があるから土と草木が育って、私たちはそこで生まれたリンゴやスモモを食べて生きている。私たちはみんな宇宙と繋がっていて、人も動物も自然も当たり前に大きな循環の一部だということをなぜ忘れてしまっているんだろうと書かれていた。「太陽からの光で光合成をして植物は育って…と学校で習ってみんな知っている。言われてみたら当たり前なんですけど、スーパーで買ってきたニンジンをどう調理しようかとは考えるけど、宇宙と繋がっているとは考えない。自然や宇宙って自分たちにとって当たり前にありすぎて、つながってることを忘れてしまうんですよね。最近は特にスマホやパソコンなど、いろんなことがバーチャルになっている印象が強いのもあって、だからこそ、このつながっているという感覚を絵にしたいと思って作りました」 木星や土星、土、タネ、リンゴやスモモ、人や鳥が描かれた「The universe」。すべてはつながっていて、大きい循環の中に自分たちがいるという想いが込められています。

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もう一つの新柄は“The stars”。柄の一部として書かれている「we are a piece of the stars (私たちは星のかけら)」という言葉。生命の起源をたどっていくと、星たちの巨大な爆発にいきつく。私たちはその爆発をもたらした化学物質(=星のかけら)で作られていて、今世の中に存在するものすべて最初は同じのものだったー。

そのテーマを柄で表現するにあたって、櫻井さんが描こうと思ったのがみんながつながっていると感じられるあたたかな宇宙。鉛筆の線を重ねることで、ともすれば冷たい印象にもなる黒をやさしげな雰囲気にしています。今回の新柄を考える“蓄積”の期間中にシャルロット・デュマの写真展に訪れた櫻井さん。柄の中には、そこで見かけて印象に残った馬のベゾアールも描かれています。ベゾアールとは動物の胃や腸に作られる凝固物のこと。白い神秘的な見た目から、昔は崇められていたこともあるそう。

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「星みたいに見えるから宇宙と繋がっている神秘的なものだと考える人もいたそうです。馬の胃の中にも宇宙とのつながりが見える。それで馬の絵も入れようと思って描きました。柄の中の丸いモチーフは、惑星なのかもしれないし、地球なのかもしれないし、ベゾアールかもしれない、見る人によっていろんな解釈をしてもらえたら」 一つのものが、複数のいろんなものにも捉えることができる。それこそが、テーマであるすべてが最初同じものだった、につながっているのですね。

これからも大切にしたい“伝えること”

柄に込められたメッセージを知ることで、深まっていくアイテムへの愛着。 作り手として想いを伝えることはこれからも大切にしていきたいと櫻井さんは話します。そのために、展示会はもちろん、SNSなどでもアイテムに込めた想いを発信することに力を入れています。

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「柄の背景のストーリーって、知らなかったら知らなかったで済んでいく部分でもあるのですが、知ることで身につけたときにふと思い出したり、大切にしようと思ったり。伝えることは作り手の使命だと思っているので、これからも頑張っていきたいです」 作り手の想いを知ることで、じんわり感じられるアイテムの温もり。 琴線に触れるってこういうことなのかもしれません。

モノを作る者としての責任

櫻井さんは、テキスタイル作りとともに環境問題を解決するための活動も行なっています。活動を通して強く感じるようになったのは、モノを作ることへの責任。 「どんどん新しいモノを生み出して、どんどん届けていけばいいものではないなと。モノ作りは、何も汚さずに行うのは不可能なこと。たとえば、色をつけるために染料を使えば多少なりとも水が汚れる。だからと言って、環境に配慮して何も作りません、ということではなくて、今よりももっと環境に良い選択を少しずつ増やしていって、最終的に環境に負荷を与えないレベルまで持っていきたいと思っています」 生地を作る際に水が汚れないような配慮をしている工場にお願いしたり、農薬の使用を減らすため、素材でオーガニックコットンや麻を使うのを増やしたり、包装はプラスチック素材はやめて紙で包んだり。 いきなりすべてを環境に配慮したものにシフトするのは難しいけれど、できるところから意識して。

それは、今回の新柄のテーマでもある、“すべてつながっている”にも通じること。 「地球を汚したら最終的に自分もそうだし、自分の大切な人、みんなが困ることになるので、少しずつ環境が良くなるように取り組んでいければ」 そして、それらが自分に自信を持ったり、身につけて外に出かけたい、といった高揚感をはじめとする心が弾むモノになるように。 「自分の作るモノに責任を持ちながら、手に取った人の心を豊かにして大切に使いたいと思えるモノを作っていきたいです」

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目の前のことだけではなく、これからのことも考えた広い視点でモノ作りと向き合う櫻井さん。 キラキラした眼差しの先に広がる世界がどんなものなのか、それが今後どうアイテムとして生み出されるのか、楽しみです。

Story

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Creator/Brand

MANAMI SAKURAI (マナミ サクライ)

テキスタイルデザイナー

MANAMI SAKURAI (マナミ サクライ)

「ピースフルなメッセージをテキスタイル にのせて贈る」をコンセプトに、手描きのドローイングをプリントした布と小さな手刺繍から、人の想いや懐かしい記憶に繋がるテキスタイルを製作。布に包まれ、守られる。優しい心地を感じる服と雑貨をお届けしています。

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