梅村マルティナ 後編 ドイツ生まれの魔法の毛糸Opal | SOUQ ZINE スークジン

梅村マルティナ 後編 ドイツ生まれの魔法の毛糸Opal

梅村マルティナ 後編 ドイツ生まれの魔法の毛糸Opal
ニットクリエイターの梅村マルティナさんにインタビューする「ピックアップクリエイター」。一本の毛糸をただメリヤス編みしていくだけでカラフルで愛らしい模様が生まれる、魔法のようなOpal(オパール)毛糸。後編ではその魅力について詳しくお聞きしました。

Opalは、マルティナさんの故郷、南ドイツのバーデン・ヴュッテンベルグ州にあるTUTTO社で製造されています。家族経営の小さな毛糸メーカーで、その工場がマルティナさんの実家の近くにありました。

マルティナ
ある時、ドイツで暮らす母が「大変! 信じられないかもしれないけど、すごい毛糸に出会ったの!」と電話してきたんです。でも、お母さん何を言ってるの?と全然想像できなくて(笑)。そして帰省した時に見に行ったら……もうびっくりしました。こんな毛糸見たことない!って大興奮して、日本に持ち帰ってきました。
梅村マルティナ
SOUQ
本当にただ1本の毛糸を編むだけで模様が出来上がるんですか?
マルティナ
そう。ずっと同じ編み方を続けるだけで、勝手に模様ができあがってくるんです。「次はどんな模様が出てくるんだろう」「次の色まで編みたい」って、どんどん編み続けちゃいます。
梅村マルティナ
SOUQ
編み物って単調なイメージがあったんですけど。
マルティナ
全然! Opalには編み続けるワクワク感があるんです。こんな毛糸、世界のどこにもないですよ。同じ毛糸でも、どんな幅のものをつくるかで柄の現れ方が変わってくるんです。
梅村マルティナ
マルティナ
Opal毛糸では、何をつくっても必ずきれいに模様が出ます。これはサーカスという名前の糸で、腹巻帽子の方は160目でつくっています。私が付けているリストウォーマーは1/3くらいの目数になるんですけど、同じ毛糸というのはわかりますよね。たとえばここのピンクのラインは、腹巻帽子の方では幅があるので1、2周しか出ていないけど、リストウォーマーでは太めにラインが出ています。
SOUQ
パッと見は同じ柄だけど、よく見ると面白いですね。「この毛糸は○○用」という決まりはないんですか?
マルティナ
ないです。マフラーでも靴下でも何でも、好きなものを自由につくれます。何をつくっても、誰が編んでも、勝手に模様が出てきてくれるんです。
梅村マルティナ
SOUQ
糸、結構細いんですね。
マルティナ
でも丈夫なんですよ。ちなみに今付けているリストウォーマーは、何十回も洗濯機で洗っています。Opalは、もともと靴下用につくられた毛糸なので強くできているんです。Opalで編んだ靴下は何年履いていても、生地は薄くはなっても穴はあかないです。
SOUQ
それはうれしいですね。
マルティナ
基本は細糸なんですけど、短時間でザクザクっと編み上げたいという声もあるので、1.5倍太い糸をTutto社Opalと共同開発したりもしています。細糸で編むと上品な感じですけど、太糸で編むのもまた表情が違って面白いですよ。
梅村マルティナ
SOUQ
これは……面白いですね。編み物未経験者でも編めるものですか?
マルティナ
ふふ、もちろんです。Opal毛糸と出会ったことで編み物を始めたという方も結構多いんですよ。「つくり目はどうしたらいいの?」と訊かれるので、今年の5月に阪急うめだ本店に催事出店した時には、つくり目ができたものを貼り付けておいてあとはそのまま編むだけというセットを販売したら、初心者の方にとても好評でした。同じ動きを繰り返すだけでちゃんと柄が出て、達成感がある。だから、初めての方でも楽しみながら最後まで編みきれるんです。

「これ編んだの!」と見せに来てくれる

SOUQ
ここ京都・知恩寺の「百万遍さんの手づくり市」から活動をスタートさせて、今は上賀茂さんや仙台の手づくり市にも出店されていますが、最近は百貨店での催事も増えたそうですね。
マルティナ
今年は5月のうめだ阪急本店をはじめ、東京や仙台、名古屋でも百貨店出店の機会がありました。手づくり市とはまた違う出会いがあって面白いです。
梅村マルティナ阪急うめだ本店で開催された「マルティナさんとしあわせを編む魔法の毛糸フェア」。
SOUQ
どんなところが違いますか?
マルティナ
百貨店では広いスペースをいただけることが多いので、いろんな毛糸や商品を持っていけるのがうれしいです。そして、一人ひとりのお客さまとゆとりをもってお話しできます。Opal毛糸の魅力やアイテムについての紹介はもちろん、KFS(梅村マルティナ気仙沼FSアトリエ)の活動についても、ちゃんとご紹介できるのがうれしいです。
SOUQ
屋内で、暑くも寒くもないし。
マルティナ
もちろん、手づくり市のこの雰囲気は大好きです。手づくり市はお祭みたいな感じ。朝みんなでテーブルを組み立てて、所狭しと商品を並べて、スタートと同時に人がわーっと押し寄せてきて、一つひとつ丁寧に説明する時間もなくワイワイと接客します。手づくり市には常連の方が多いかな。いろいろな出店を覗きながら来てくれて、トマトを買うついでに寄ってくださったりして。
SOUQ
トマト(笑)。
マルティナ
お客様でも、「いろいろじっくり見て買いたいから百貨店の催事へ」「この間買った毛糸で編んだものを見せたいし、手づくり市へ」というふうに使い分けてくださっているみたいです。
SOUQ
百貨店では新規のお客さまも多そうですね。
マルティナ
そうですね。百貨店の催事で偶然Opal毛糸に出会ったという方が、次は手づくり市に来てくれるということも多いです。今日だけでも、もう10人以上の方からそう声をかけていただいています。「これ編んだの、見て!」と気軽に会いに来てくれたりするのは多いですよ。
SOUQ
マルティナさんについ話しかけたくなる感じ、わかります(笑)。
マルティナ
百貨店でのワークショップに参加してくださった方が、Opal毛糸との出会いをきっかけにどんどん編み物に夢中になっていくのを見ているとワクワクします。メリヤス編みで編むだけじゃなくて、そこに自分なりのテクニックやアレンジを加える上級者の方もいて、それをSNSにアップして、どんどんコミュニティが広がっていっています。
梅村マルティナ
SOUQ
初心者も上級者も楽しめるんですね。
マルティナ
メリヤス編みするだけでいいので、初心者の方は「わたしでも簡単にできそう」と思えるし、上級者の方でOpalを知らなかった方は「1本でこんな模様ができるなんて、面白い毛糸!」と感動してくれます。編み上がっていく模様を純粋に楽しむこともできるし、編み方を工夫したりレリーフ編みをしたりして、自分なりのアクションで楽しむことができる。「誰もが編み物を楽しめる」というのがOpal毛糸の何よりの魅力です。

編む楽しさを広げていきたい

SOUQ
今後はどんなことを考えているんですか?
マルティナ
KFSの活動としては、会社を安定させることが第一です。いま気仙沼に13名のスタッフがいて、みんなが安心して仕事ができて、働きながら成長していけるようなベースづくりをしたいと思っています。スタッフ自身が満足できて、お客さまにも満足していただけるように、みんなでアイデアを出しあっています。毛糸の種類を増やしたり、商品のバリエーションを増やしたり、そうそう最近はかぎ針も使うようになったんです。誰かが出したアイデアをみんなで膨らませて、新しいことにチャレンジしていけたらと思っています。
SOUQ
オリジナルのOpal毛糸の開発もされているんですよね?
マルティナ
「こんな毛糸があったら」というのを形にしたくて。でも、あまり種類が多いと管理が大変なので、リニューアルのサイクルを安定させたいと思っています。
梅村マルティナ
SOUQ
今はマルティナさんのベースは気仙沼なんですか?
マルティナ
KFSのベースは気仙沼で、私も毎月初旬は気仙沼にいます。KFSの活動を通じて「気仙沼、元気ですよ!」と伝えたいですね。被災地という発信ではなくて、地方でもこんなふうに楽しんで働けていることを伝えられたらいいなと思っています。だから、気仙沼のスタッフも気仙沼だけにいるのではなく、東京や関西での催事に参加したりしています。
梅村マルティナ
SOUQ
KFSの新たなシフトですね。
マルティナ
京都の百万遍さんは私にとっての原点ですが、一人でも多くの方にOpal毛糸の魅力や編み物の楽しさを知ってもらいたいので、全国各地でのイベントに出ていろいろな方にお会いしたいです。
SOUQ
催事のたびに新しい商品を準備されたりもしているんですか?
マルティナ
毎回ではないですが、できるだけ新しい提案もしたいなと思っています!
梅村マルティナ

取材・文/浅利芙美 写真/桑島薫

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