mellow(メロウ) 第3回 アクセサリー作家として

植物をモチーフにしたアクセサリーで人気のmellowさん。今回は、アクセサリーブランドとしてスタートするまでのお話を聞いていきます。
- SOUQ
- 小さいときから森の中で育って、植物に囲まれて絵を描いて。そこからアクセサリー作家への道は順調だったような気がします。
- mellow
- いえ全然(笑)。高校を卒業して、美容師の専門学校に入ったんですね。
- SOUQ
- 美容師?意外な気がします。
- mellow
- 小さい時にアトピーがあったり、喘息を患ったり。その影響もあって小学生低学年までの少女時代は運動できなかったので太ってたり。自分にコンプレックスがすごくあったんですよ。だから人をきれいにできる職業っていいなと思って、美容師を目指したんです。でも、まあ向いてなくて(笑)
- SOUQ
- なんで向いてなかったんでしょうね。
- mellow
- 専門学校のとき、1学年280人ぐらいいたんですけど、下から数えて10人に入るぐらい技術が下手でしたね。

- SOUQ
- あまり好きじゃなかったんですかね?
- mellow
- なんか私、きちっとしたことができないんですよ。折り紙をきれいに半分に折ることさえできない。だから全然向いてないなあと。卒業していざ美容室に入ってみると、シャンプーもどこまでしたか途中で忘れちゃって。お客さんに40分ぐらいシャンプーして、グッタリさせるということもありました。
- SOUQ
- それは向いてないかもしれないですねえ(笑)
美容師からアクセサリーの道へ
- mellow
- ですよね。で、美容室を辞めて、お金がなかったので、アルバイトを5本ぐらいするようになりました。それで、そのとき趣味でアクセサリーをつくってたんですよ。そのときは今のようなものではなく、造花を使ってやってました。


- SOUQ
- やはり植物モチーフだったんですね。
- mellow
- それから、当時姉たちが、家で羊毛でフェルトの人形をつくっていて。それがかわいかったから売ったらいいのにと思ってたんです。でも姉は森にこもっているので家にたまっていく一方で。だからそれを持って、堀江の雑貨屋さんに飛び込みで入って、「これ置いてください」と。そのとき、たまたま自分でつくったヘア飾りを着けていたんですけど、雑貨屋のお姉さんが「それよりも、そのヘアアクセサリーどこのもの?」って。それがすべての始まりでしたね。
- SOUQ
- どこにきっかけがあるかわからないですね。
- mellow
- そのすぐあと、ホテルのアートフェスに姉妹で出展したら、阪急百貨店のバイヤーさんが見にきてくれて。そこからうめだスークさんとのつきあいが始まりました。
- SOUQ
- 本当にお世話になっています。

- mellow
- 最初に店を出すとき、担当バイヤーさんが、「1週間でこれぐらい売ってくれれば」と予算を提示されたんですけど、想像以上の売り上げ額で。私、滋賀県の田舎者なんで、えっ、梅田ってそんなんなんやって。すごいと思って。それまで1万とか5万円ぐらいしか売ったことなかったのに。量もつくらないといけないし。でも必死になってつくって。予算を超えたんですよ。
- SOUQ
- いきなりすごかった。
ファンがいてくれてこそ
- mellow
- バイヤーさんもびっくりして「ほんとに超えたの?」って。「えっ、あの言葉は嘘だったの?」ってなりましたけどね(笑)。全然知らなかったから、ほんとにビビってまして。予算超えなかったら、なんか買わされるんかなあと恐れてました(笑)。
- SOUQ
- そこからmellowさんファンも増えていったんですね。
- mellow
- ありがたいことですね。私が、自分でひとつの才能だなあと思っていることが、1回商品を買ってくれたお客さんは、どんな会話したとか顔を全部覚えてるんですよ。

- SOUQ
- それはお客さんとしてはうれしいでしょうね。
- mellow
- それで自分の予想以上にお客さんがついてきてくれて。制作が追いつかなくなってきて。
- SOUQ
- うめだスークで、オープンと同時に100人ぐらいのお客さんが走ってきたこともありましたね。小屋から人があふれて。
- mellow
- あのときは予想もしてないし、足がガクガクしてました。
- SOUQ
- 納品のタイミングをSNSにあげたら、人が押し寄せて、mellowさんの到着を待ってましたね。
- mellow
- 私もそんなに人が待っているとは思ってなかって。私の小屋から人があふれていて「何これ?」と思っていると、ひとりのお客さんが私に気づいて、「あっmellowさんや!」って言った瞬間に、固まっていた女子の大群がさっと道を開けてくれて…モーゼになった気分でしたね(笑)。
取材・文/蔵均 写真/衛藤キヨコ
人気アクセサリーデザイナーとなったmellowさん。次回最終回は、ものづくりにかける想いについて聞いていきます。