mellow(メロウ) 第4回 そして、つくり続ける

人気アクセサリーデザイナーのmellowさんへのインタビュー。最終回は、ものづくりの手法や想いについて聞いていきます。
- SOUQ
- アクセサリーづくりは、完全に独学なんですか?
- mellow
- そうです。だからとにかく毎日つくってましたね。一昨年ぐらいまでつくらない日はなかったです。
- SOUQ
- それはアクセサリーづくりを始めてからずっとですか?
- mellow
- はい。24、25歳のころ、うめだスークさんなどでお客さんが増えていくにつれて、アクセサリーづくりを仕事にしたいと意識し始めて。それまではバイトも大好きだったんですけど、急につまらなくなり始めて。作品をつくっているときに、いまこんなにノッてるのにバイトに行かないとダメというのがすごくイヤで。これで食べていけばいいんだって、スッと気づきましたね。だから1カ月後にはバイトを全部辞めてました。

- SOUQ
- アクセサリーに専念しようと心に決めたんですね。
- mellow
- とりあえず一生懸命作品をつくって。もう必死すぎて覚えてないんですけど、26歳のときに完全に制作1本でやるようになりました。そこから、雑誌にもちょくちょく取り上げられるようになって。東京へも展開したくなって。また急なんですが、代官山にある[Aquvii]という若手作家登竜門的なお店に飛び込みで作品をもっていったんですよ。
- SOUQ
- いつも飛び込んでいくチャレンジ精神がすごいです。
東京への進出で確信を
- mellow
- そのときは、東京に自分のお客さんがいるとは思いもしなかったんですが、SNSとか見てくれたのか、結構お客さんが来てくれたんですよ。思ったより売れて。もっとがんばったらこれを仕事にして食べていけるという確信に変わりましたね。アクセサリーづくりの知識もないし不安はすごくあったけど、ただ毎日つくるということだけはしてきた。それしかなかったんですね。
- SOUQ
- そこから、忙しい日々が始まるのですね。
- mellow
- 詳細は本当に覚えてないんですけど、いただいた話はがむしゃらにすべてやって。ほんとにひどいときは、6日間まったく寝ずにつくり続けていたこともありました。
- SOUQ
- 6日間まったく寝ずにですか!
- mellow
- そう。1時間たりとも寝なかったです。
- SOUQ
- よく倒れなかったですね。
- mellow
- いや、倒れたんですよ(笑)。

- SOUQ
- 体は大切にしてください。専念してやり始めて、何か変わったことはありましたか?
- mellow
- それまでは自分の好きなようにつくっているだけだったんですが、ちょっと稚拙さとかも気になりはじめて。それまではハンドメイド感がすごくあって。好きなものを絵を描くようにデザイン重視でつくっていたのですが、人が身につけるということを意識してつくりはじめました。
- SOUQ
- 実際に使うときのことを考え出した?
- mellow
- そうです。金具は肌に触れて痛くないかとか、表側はかわいいけど裏を見たら残念な気持ちになるんじゃないかとか。強度とかすごく気になりはじめて、接着の仕方もすごく意識しはじめました。
- SOUQ
- プロとしての意識が強くなっていったんですね。最近では、どういうところにこだわって作品をつくってますか?
手間と時間をかけてつくる
- mellow
- このハートの形も、樹脂のアクセサリーだと簡単そうに見えるんですけど、自分で型をつくっていて。ほんとはもっとマットな質感でできあがるのが普通なんですが、自分で1回削ってからコーティングしてます。でもそれだけだときれいにならないから、もう1回削って、さらにコーティングするんですけど、それが滑らかな曲線にするのがすごく難しくて。

- SOUQ
- 削る前は、マットな質感ですもんね。ここから磨き上げるんですね?
- mellow
- はい。指紋とかついてもダメだし。でも手の感覚は大事だから、指の腹でさわるんですね。気泡が入らないようにライターで炙りながら消しながらとか、垂れたりしないように飴のように木にクルクル巻きつけながらとか、いろいろ工夫してます。
- SOUQ
- かなりの手順や手間、そして時間をかけてできあがるわけですね。
- mellow
- そうですね。自分で言うのもなんですが、だいぶきれいに仕上げられるようになりました。始めの頃はちょっと雑でしたね(笑)。もう、全部回収してきれいにして返したい!
取材・文/蔵均 写真/衛藤キヨコ