mononogu(もののぐ) 第3回 客観的なものづくり | SOUQ ZINE スークジン

mononogu(もののぐ) 第3回 客観的なものづくり

mononogu(もののぐ) 第3回 客観的なものづくり

「女性のバッグは客観的に見られるからつくりやすいのかもしれない」というデザイナーの阪本さん。今回は「mononogu」のプロダクトを生み出す阪本さんのクールな視点に迫ります。
SOUQ
たとえばブリッジの角度に変化を付ける(第2回参照)、という発想はセオリーとしてあるものですか?
阪本
ないんじゃないでしょうか。僕は男なので、デザインもおのずと男っぽいものになってしまう。かと言って、女性を意識したデザインを目指すと、妙な、違和感のあるかわいいものになってしまう場合がある。僕としては、できるだけ男っぽさをやわらげて仕上げようと。でも、どうしても女性のデザイナーがつくるようにはいかないですね。
SOUQ
女性好みのデザインや感覚はどのように発想されるのですか?
阪本
そんな考えはまったくなくて。結局、わからないんです。どういうものが好まれるかということは。しょうがないので、僕は僕なりのやり方で。男っぽくなるのはしょうがないと考えることにして。
mononogu

わからないから面白い

SOUQ
なぜ、レディースのブランドにされたのですか?
阪本
僕は男で、レディースは持たない。正反対のものだから物体として捉えられるんです。好き嫌いではなく、客観的に見られる。それが僕にとってはやりやすくて。メンズは逆に難しいですね。一時やっていたんですけど、難しいうえにおもしろくなくて(笑)。好きだからやるという発想はありません。
SOUQ
女性ものをつくる面白さはありますか?
阪本
わからないからおもしろい、というのかな。だから、どんどん新しいものがつくれるんだと思います。たとえば僕が、メンズのこういうバッグがつくりたい!と思ってスタートしていたら、きっと新作が出てこない。好きな定番をつくり続けると思うんです。そういうスタイルももちろんあるけれど、「mononogu」は違いますね。
SOUQ
男性がつくるものなのに、女性をくすぐるポイントがあるのが不思議ですよね。たとえばネームのひかえめな入れ方とか。
mononogu
阪本
ネームは表面にあるものは箔押しせずに。内側は金箔をあしらうこともあるんですけど。他にこういう発想もあります。ショルダーと手持ちのツーウェイで使えるバッグなら、ショルダーを外した際に目立つ金具をレザーのあしらいで隠せるようにするとか。
mononoguショルダーと手持ちの両方で使えるBRIDGE。ショルダーベルトを外せば金具が際立つ。おざなりな印象を与えないために、革をあしらい収納できるデザインに。
mononogu
SOUQ
細やかな心遣いですね!
阪本
外して使うときの印象も考える。僕はじぶんが持つバッグに関しては、まったく興味がないんです。服や靴は興味があるんですけど。
SOUQ
ふだん、バッグは使われないですか?
阪本
いや、使います。使うんですけど、特に思い入れがある訳じゃないというか。だからこそフラットな感覚でつくれるのかな、と思います。

命名はおおよそ気分で

SOUQ
そうしたディテールや新作のアイデアは、どんな時に思いつきますか?
阪本
街を歩きながら考えることが多いですね。
SOUQ
近辺の心斎橋~本町界隈を歩きながら?
阪本
はい。バッグを見て考えるのではなく、街でいろんなものを見ながら。
SOUQ
発注の際のデザイン案はどのような形で?
阪本
紙に手描きした設計図のようなものを工場の方にお渡しします。こんな感じで、とてもアナログ。これしか描けなくて。
mononogu
SOUQ
サイズから仕様まで細かく書き込まれていますね。
阪本
最初はイメージと違うものができ上がってくることもあったんですが、最近はとてもスムーズで。特に10年以上付き合いのある工場の方は、すんなりと汲み取ってくださる。
SOUQ
mononoguのプロダクトは商品名もユニークですね。BRIDGEやLIP、PEZなど。命名はどのように?
阪本
BRIDGEは金具がブリッジ状だから。LIPは形が唇に似たバッグだから。PEZは、お菓子のペッツの容れ物みたいに開くバッグだから(笑)。それなりの理由はあるんですが、気分で決めたものが大半ですね。
mononogu
SOUQ
ラフなネーミングですね(笑)。
阪本
そうですね。会議をして決めることもありませんし。
SOUQ
デザイナーひとりで企画する強みというか。
阪本
ただ、新作をつくるにあたっては、アイデアが出て来ても2~3日熟成させることにしています。気が変わることもありますから。熟成中に違うアイデアが思い浮かんだら変える。それがいつものパターンですね。
SOUQ
ちなみに、煮詰まったときの息抜きは?
阪本
ジムへ行くことですね。ここ(オフィス)から徒歩30秒くらいのところにあって。休日はあまりないですけど、ひとりで仕事をしているようなものだから。ふだんから気を抜きつつ、のんびりやっていますね。

取材・文/村田恵里佳 写真/桑島薫

デザイナーである阪本さんの発想がダイレクトに落とし込まれる「mononogu」のプロダクト。次回第4回は、バッグ以外のアイテムについて、さらに新作の構想もうかがいます。

Creator/Brand

mononogu(もののぐ)

革作家

mononogu(もののぐ)

古くから文化として根付いてきた、美しい所作や佇まいにフォーカスして、「身に着けるもの」のバッグやスモールレザーグッズを独自の解釈で提案しているブランド。

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