中原慎一郎 第1回 鹿児島、東京、サンフランシスコ | SOUQ ZINE スークジン

中原慎一郎 第1回 鹿児島、東京、サンフランシスコ

中原慎一郎 第1回 鹿児島、東京、サンフランシスコ
ランドスケーププロダクツのファウンダーとして、インテリアやアート、食など、幅広い分野で活動してきた中原慎一郎さん。東京だけではなく、生まれ故郷である鹿児島にも拠点を置き、さまざまな発信をすることで“地方の時代”の先駆者としても活躍されています。今回のスークインタビューは、中原さんを訪ねて鹿児島へ向かいました。
SOUQ
自然光もたっぷり入って、桜島も見えて、とても気持ちがいい場所ですね。ここは昔から事務所として使ってらっしゃるんですか?
中原
ここはいろいろと縁の深いビルで。この2階はいま共同事務所ですけど、昔は3階に自分の部屋があって、10年ぐらい寝泊まりしてました。もとはといえば独立してビジネスを始める前に、知り合いがここでミッドセンチュリーの家具屋をしていて、手伝ったりしてたんですよ。
中原慎一郎中原さんの鹿児島での事務所・BAGNが2階に入るシャトーグリーンウッド。
SOUQ
鹿児島滞在中は、ここにいらっしゃることが多いんですか?
中原
いや、最近本屋を始めまして、個人のオフィスも併設しているので、そこにいることが比較的多いですね。
SOUQ
そうなんですね! 中原さんの本屋さん、いいですね。
中原
妹と二人でやってて、僕が持っていた建築、デザイン、工芸関係の本なども売ってます。

サンフランシスコのギャラリー

SOUQ
中原さんの会社、ランドスケーププロダクツは東京にあるわけですけど、東京と鹿児島では滞在はどちらが多いんですか?
中原
鹿児島のほうが多いと思います。それからいまはサンフランシスコが多いですね。2018年だけでも10回ぐらいは行ってますから。
SOUQ
サンフランシスコでの滞在は長いのですか?
中原
そうですね。行くと2週間から3週間はいます。2年前にサンフランシスコに会社とお店をつくって、ギャラリーもやり始めてからはほぼ毎月のように行ってますね。
中原慎一郎
SOUQ
向こうではどんな仕事をされているのですか?
中原
頻繁にアートイベントをやってるので、アーティストと打ち合わせをしたり、設営をいっしょにしたり、わりと忙しいですね。
SOUQ
ギャラリーを持たれるのは初めてですか?
中原
いや、東京でもやっているのでその延長線上なんですけど、出展作家を日本人にフォーカスしてやるのは初めてですね。東京では逆に外国人アーティストのほうが多かったので。最近、アメリカ人がよく日本に学びに来てて、彼らがいいものを盗んで帰っていくのを見てると、日本人作家ももっと海外へ行っていいエッセンスを吸収してほしい。その機会を僕らがもっとつくりたいなあと思ってます。
中原慎一郎
SOUQ
ギャラリーをやろうと思ったきっかけはあったんですか?
中原
実は僕の親戚って、昔に結構移民してるんですよ。だから移民したアーティストを向こうで発掘して日本に連れてきたり、向こうで個展をしたりする場所にするのを一つの目的として、ギャラリーを始めました。
SOUQ
鹿児島からアメリカへ移民されている親戚が多いんですか。
中原
そうなんですよ。アメリカもそうですし、移民政策のころブラジル行ったりもしてるんですよ。だから僕は4年に1回はブラジルの親戚に会いにいくと決めてて。4年前、親戚がブラジルに渡って100年の節目だったので、鹿児島の親族を代表してだれかが行こうという話になり、最初は行く気がなかったんだけど、いつも行ってるおじさんが亡くなってしまったので行ってみたら、すごくおもしろくて。親戚たちはみんな鹿児島の顔をしているんですが、おそろしく南米の明るさで、全員がひょうきんなんですよ。おばさんたちはずっとゲラゲラ笑っていて。地球の真反対に親戚がいるのはおもしろいなと。
SOUQ
確かに、ブラジルの人って生きることを心底楽しんでいますよね。
中原慎一郎

世界に目を向ける薩摩人

中原
自分の人生上、小さいときから移民した親戚と関わり続けてきたので。一般的にあまり外に出ない日本人を、出るようにするために自分たちが何ができるかなというのをテーマに始めたのがサンフランシスコのギャラリーですね。
SOUQ
なかなか外に出ない日本人の中で、アメリカやブラジルに移民するのは勇気のいることだったんでしょうね。
中原
鹿児島の人は昔から外に出る気質があるんですよ。海外を見てるというか。九州の中でも山でほかと仕切られてて。東南アジアの最北端が鹿児島で、そこから先が日本とかよく言われる。気候的にも気質的にも。
SOUQ
太平洋が目の前に広がっているから、自然に世界へ目が向けられるんですかね?
中原慎一郎
中原
薩摩藩もかつて薩摩焼を一生懸命輸出したり。約150年前の1867年にパリで開催された万博でも、日本が幕府として出展しているにもかかわらず、薩摩藩は独自で出展していますからね。
SOUQ
独特の気概と気風ですよね。サンフランシスコは、昔から仕事や人脈が多かったりするのですか?
中原
もともとロサンゼルスとのつながりが多くて、サンフランシスコはほとんど知り合いがいなくなった時期があったんですけど、ある瞬間から知り合いが増えて。自分としては感覚的にサンフランシスコがしっくりきますね。
SOUQ
それはどのようなところに?
中原
L.A.は広すぎて街それぞれを掴みきれない。サンフランシスコはもともとのヒッピーの文化や音楽もそうですし、食も世界で進んでいる場所の一つだから学ぶことは多い。生活者としてかっこいい人が多いんですよね。仕事としての活動がおもしろい人はニューヨークにもいっぱいいますけど、生活も含めてうまくできてる人っていうのは、西海岸、特にサンフランシスコに多いなと思います。

取材・文/蔵均 写真/桑島薫

3つの都市を拠点にグローバルに活躍する中原慎一郎さん。次回第2回は、鹿児島での仕事を中心に話を聞いていきます。

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