中原慎一郎 第2話 鹿児島の古きよかものを今につなぐ | SOUQ ZINE スークジン

中原慎一郎 第2話 鹿児島の古きよかものを今につなぐ

中原慎一郎 第2話 鹿児島の古きよかものを今につなぐ
東京、鹿児島、サンフランシスコの3つの都市を拠点に、さまざまなモノやコトをクリエイトするランドスケーププロダクツの中原慎一郎さん。インタビュー第2回は、生まれ故郷である鹿児島でのプロジェクトについて話をうかがいます。まずは、事務所があるビル、シャトーグリーンウッドの屋上に連れていってもらい、そこからの桜島ビューを楽しみました。
SOUQ
屋上からの桜島の眺めがすばらしいですね。
中原
桜島が噴火して、流れ出した溶岩が向こうの大隅半島にくっついてからちょうど100年ぐらい経つんですよね。それまでは孤島だったんですけどひっついた。だから向こう側に住む人は少ないんですよ。こっち側は比較的安全なので、フェリー乗り場があったり、住む人も多いですね。
中原慎一郎
SOUQ
中原さんは、フェリーに乗ったりするんですか?
中原
わりと乗りますよ。15分ぐらいで桜島についちゃうんで。フェリーは夜乗るのが結構気持ちいいんですよ。短い乗船時間で、みんなうどんを食ったりしてね(笑)。
SOUQ
フェリーのさつまあげうどん、おいしいですよね。いま鹿児島でランドスケーププロダクツが運営しているお店はいくつぐらいあるんですか?
中原
うちの製品を置いてくれている店はありますが、直営ということでは、鹿児島県歴史資料センター 黎明館に入っている「CHIN JUKAN POTTERY 喫茶室」というお店が一軒です。ここから車ですぐですので、ちょっと行ってみますか?
SOUQ
ぜひ!
中原慎一郎

黎明館の「CHIN JUKAN POTTERY 喫茶室」にて

SOUQ
ここは、ランドスケーププロダクツと沈壽官窯の共同プロジェクト「CHIN JUKAN POTTERY」のうつわの展示販売と喫茶室になってるんですね。沈壽官窯というのは、昔からある窯元なんですか?
中原
そうですね、400年は超えてるんじゃないですか。豊臣秀吉が朝鮮出征に行ったときに、陶工として連れて来られた人たちが起こした窯です。
SOUQ
このお店はいつオープンしたんですか?
中原
2018年の5月です。
中原慎一郎鹿児島県歴史資料センター 黎明館内にある「CHIN JUKAN POTTERY 喫茶室」。
SOUQ
それまでに沈壽官窯との関わりはあったんですか?
中原
そうですね。お店を出す前にプロジェクトとして始めました。薩摩焼は伝統的に絵付けをすごくするんですが、僕らはもう少しシンプルにやりましょうということで、いまのところ絵付けなしでやってます。
SOUQ
確かに、シンプルなうつわが多いですね。
中原
うつわのデザインは、韓国人の陶芸家、キム・へジョンさんにお願いしてます。独自でデザインをしてもらって、それを沈壽官窯で製造する。キム・ヘジョンさんはもともと生まれは日本で、ちょうど僕が沈壽官窯とのプロジェクトをスタートする時期に、ロンドンでたまたま出会って。偶然にも彼女のおとうさんが沈壽官窯と交流があったみたいなんですよ。
中原慎一郎独特な色合いと、顔のようにも見えるデザインが特徴のキム・ヘジョンさんデザインのうつわ。
SOUQ
それは運命的ですね!
中原
彼女が陶芸を学ぶためにイギリスへ渡って、最初の個展の時に彼女に出会って声をかけたんですよ。
中原慎一郎
中原慎一郎同じ黎明館に入っている「城山シーズニング」。中原さんと親交がある鹿児島の醤油メーカー「サクラカネヨ」が経営している。

海と砂丘に面したウイスキー蒸溜所

SOUQ
中原さんは、鹿児島に古くからあるいいものに再びスポットを当てていますよね。沈壽官窯にしても「サクラカネヨ」の醤油にしても。伝統を活かして現代で生かしているように思います。ほかに関わっている鹿児島プロダクツってありますか?
中原
鹿児島の酒造メーカーがやっている「嘉之助蒸溜所」というウイスキー蒸溜所の外部アドバイザーをやってます。デザイン面を全部僕がみたり、新しいお酒をつくるうえでのブランディングのお手伝いをしてたり。
SOUQ
それは鹿児島のどのあたりにあるのですか?
中原
鹿児島の海沿いで、ここから車で30ー40分ぐらいのところ。
中原慎一郎鹿児島県日置市にある「嘉之助蒸溜所」。東シナ海と吹上浜の砂丘に面しています。
SOUQ
昔からある酒蔵なんですか?
中原
小正醸造という会社で、明治16年創業です。もともと母体は焼酎で、日本での焼酎ブランドとして安定された後、海外へ輸出しようとしてがんばっている時期に、どうしても外国では焼酎のネームバリューがなくて悩んでおられる頃にウイスキー製造への道を模索し始めた。
SOUQ
SAKEはある程度知られてきてますけどね。
中原
現社長の小正芳嗣氏からウイスキーを作りたいから協力してほしいと最初の段階から相談を受けていて。それでスコットランドへの研修の旅に同行させていただいて。どういうクラフトウイスキーをつくるか、コンセプトをいろいろ決めながら進めて、2018年に蒸溜所が完成しました。
中原慎一郎「嘉之助蒸溜所」のポットスチルは3種類。それぞれアルコール度や味の違うウイスキーを蒸溜している。
SOUQ
ウイスキー蒸溜所をイチからつくるのは夢がありますね。でも焼酎とウイスキーではつくる勝手が違うのではないですか?
中原
もともと小正醸造では焼酎をウイスキーみたいに寝かせることをやっていて、樽の技術を持っていたのでこれを活かしました。あと目の前が海と砂丘という抜群のロケーションがだったので、それを活かしたらいいんじゃないかと。
中原慎一郎東シナ海を望む「嘉之助蒸溜所」のテイスティングルーム「THE MELLOW BAR」。
SOUQ
新しいウイスキーは、もう発売されているのですか?
中原
いま1年ものができたばかり。「KANOSUKE NEW BORN」という名前でぼちぼち売り出してます。
中原慎一郎
中原慎一郎発売されたばかりの「KANOSUKE NEW BORN」と、スタッフの方々。
SOUQ
ウイスキーづくりって長い目でみないとダメですよね。
中原
でも、気候があったかいから熟成が早くて。できたばかりの新酒の液色もほぼ3年ものに近いんですよ。
SOUQ
クラフトビールがかなり定着したので、今度はクラフトウイスキーの時代がやって来るんですかね?
中原
だと思います。もうすでに来てるんじゃないですか。

取材・文/蔵均 写真/桑島薫

CHIN JUKAN POTTERY 喫茶室
●鹿児島県鹿児島市城山町7-2 鹿児島県歴史資料センター黎明館内
TEL:099-295-3588
11:00ー18:00(日・祝は10:00ー)
不定休

嘉之助蒸溜所
●鹿児島県日置市日吉町神之川845-3
TEL:099-201-7700
[蒸溜所見学]
実施曜日:水曜ー日曜(*臨時休業あり)
実施時間:10:00ー11:00、13:00ー14:00、15:00ー16:00
見学料:1,000円(税込)
完全予約制(Webにて)

中原慎一郎さんのスークインタビュー。次回第3回は、いまの仕事の原点となっている実家の商売の話や、人の活かしかたについて話をうかがいます。

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