nekonekodesign PAPER ARTS (ネコネコデザイン)前編 繊細なバランスに 成り立つ軽やかな心地よさ | SOUQ ZINE スークジン

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nekonekodesign PAPER ARTS (ネコネコデザイン)前編 繊細なバランスに 成り立つ軽やかな心地よさ

nekonekodesign PAPER ARTS (ネコネコデザイン)前編  繊細なバランスに 成り立つ軽やかな心地よさ
切り絵という手法を使って、大胆な空間装飾をはじめ、風に揺れるモビールや耳元で軽やかに揺れるイヤーアクセサリーをデザインしている〈nekonekodesign PAPER ARTS〉。今回は、そのデザイナーであり、アーティストとして活躍している菅野一剛さんを訪ね、繊細な手法で生まれる作品について、お話をお聞きしました。

非規則的なものが導く心の癒し

とあるコワーキングスペースの一室にある〈nekonekodesign PAPER ARTS〉のアトリエを訪ねると、まず視線を奪われたのは、あちらこちらに吊るされた切り絵のモビールの数々。植物や鳥を形取ったものや、幾何学模様の組み合わせでできたパーツがゆらりゆらりと不規則に揺れ、窓からさしこむ光によって作られた影が木漏れ日のように壁に模様を写し出して、まるで外にいるかのよう。コンパクトな空間であるはずなのに、不思議な心地よさに包まれたのが印象的でした。

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つい空間のモビールにうっとりしていると、「不規則な自然の風に揺れるのが、見ていて気持ちいいですよね」と〈nekonekodesign PAPER ARTS〉のアーティスト、菅野一剛さん。 「揺れるものって癒されますよね。こういうモビールを見ているだけで、軽やかな風の気持ち良さを目で感じることができるっていうのは、なんとも不思議ですけどおもしろいなぁと思います。プラスチックペーパーという強度も軽さも両方を併せ持つ特殊な紙を使っているのですが、この素材は光の当たり方もきれいで表情豊かなんですよ。自分でも、この空間に癒されてます(笑)」

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切り絵のモチーフは、植物や鳥を組み合わせたものとシンプルな形が繰り返される幾何学模様がメイン。植物や鳥は、やわらかい印象で森の中にいるような心地よい静けさを感じることができますし、幾何学模様は、クールな印象ながら繰り返されるモチーフと揺れによって、水の波紋に見るような心地よさを感じるのです。もともと、バウハウスの建築、特にマルセル・ブロイヤーという建築家のデザインが好きという菅野さん。彼は、幾何学模様のおもしろさをこう語ります。

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「マルセル・ブロイヤーの作品は、ジオメトリックな構成やラインづかいがよく出てくるんですけど、そこに太陽の光による影だったり、建物のまわりの植物だったり、自然のものが加わってくるとさらにおもしろくなるんですよね。そういう感覚をモビールで表現できたらいいな、というのがありました。幾何学模様のモビールは、一つの規則性に〝動き〟を加えることによって非規則性が生まれて、新しい生き物になっていくような感じがするんです」

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整いすぎていないことこそが魅力になる

切り絵という繊細な手法で作品を作っている菅野さんですが、そのプロセスをお聞きしてみると、これが意外にもアナログな作業。まずはデッサンからはじまり、それを実際に手でカッターで切って、それをデータとして取り込んで、カッティングマシーンでプラスチックペーパーなど、素材を実際にカットしていくのだそう。一度は、すべて手でカットしていると思うと、なかなかの作業量ですが、菅野さんはそんな細かい作業も好きなのだとか。

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「カッターで切る作業は、正直、根気だけですね(笑)。でも、もともと細かい作業は好きなので、いざ、カッターを手に作業を始めると、無心になってやってしまうんです。集中して線をなぞっていく作業に没入するというか。そして、データとして取り込むときには、あえて、手作業のラインを修正せず、その歪みも生かすようにしています。グラフィカルな切り絵はきれいですけど、私には味気なく感じてしまうので、手の味を残しておきたくて。ちょっとした歪みこそ、魅力になってくれる気がしています」

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モビールも、バランスを取りながら組み立てる作業は、手作業で行なっているのだそう。 「モビールは、絶妙なバランスで成り立っているので、距離や長さなども細く調整しながら作り上げています。場合によっては、葉っぱを一枚カットしたり、パーツの方で調整することもありますよ。切り絵のパーツも十分繊細なものなのですが、モビールはそのバランス感覚もまた繊細。とても神経を使う細かい作業なのですが、それもまた楽しみながらやっています」

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菅野さんの作る切り絵作品の魅力は、繊細さの上に成り立つなんとも言えない心地よさ。そして、ここでの繊細さは、線の細かさというだけでなく、人の手による歪さや他のものと関わりあうことで生まれる変化など、予想できないところで生まれる化学反応が絶妙なバランスで溶け合っている状態のことを指すような気がします。後編では、菅野さんの作品づくりについて、その経緯や思考についてお話をうかがいます。

取材・文/内海織加 写真/宮川ヨシヒロ

Creator/Brand

nekonekodesign PAPER ARTS(ネコネコデザインペーパーアーツ)

ペーパーアーティスト

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nekonekodesign PAPER ARTSは、切り絵を使ってArt&Productを創り上げるデザインカンパニー。
アート、インテリア、ウィンドウディスプレイ、アクセサリーなど、切り絵が持つ柔らかくイノセントな表現力をベースに、幅広い分野で創作をしています。

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