nekonekodesign (ネコネコデザイン) 後編 平面から立ち上がる 曲線美が空中にたゆたう | SOUQ ZINE スークジン

nekonekodesign (ネコネコデザイン) 後編 平面から立ち上がる 曲線美が空中にたゆたう

nekonekodesign (ネコネコデザイン) 後編 平面から立ち上がる 曲線美が空中にたゆたう
切り絵という手法を使って、空間装飾やモビール、イヤーアクセサリーなどを作り出す〈nekonekodesign PAPER ARTS〉のアーティスト、菅野一剛さんにお話をお聞きする後編。彼は、どのようにして切り絵という手法にたどり着き、どんなことを表現しようとしているのでしょうか。

紙と戯れる中で思いがけず辿り着いた

非常に細かい線によって植物や鳥などを象った切り絵のパーツが天井から何百と吊るされる、その繊細さの集合体によって美しさや軽やかさが空間全体を満たしていく。菅野さんが生み出す独特の世界観は、今や、さまざまなブランドのショップディスプレイや雑誌や広告のアートワークなど、幅広いジャンルで求められ、さまざまな角度から人々を癒しています。そんな彼の表現は、どのようにして生まれたのでしょうか。

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「作品づくりのはじまりは、やっぱり切り絵を?」そう訊ねると、「いえ、最初は切り絵ではなかったんです」と菅野さん。 「作品づくりをはじめたのは、2010年くらい。最初は、紙にヒダを寄せるようにしてミシンで塗って、そのパーツを組み合わせて集合体にするような手法を用いて作品をつくっていました。この頃、仕事としては洋服のデザインをしていたのですが、布ではなく紙を縫うということを実験的にやってみたことがきっかけで、布とはちがう紙の美しさや可能性に気づいて、のめり込んでいきましたね」

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当時の作品を拝見すると、同じような形状のヒダが不規則な流れの中に密に存在し、その中に不思議な流れやうねりが生まれているような印象。今の切り絵作品とは全く違う手法でありながら、現在の作品の中にも通じるものがありますし、前編のお話にも登場したマルセル・ブロイヤーの建築物の魅力とも繋がりがあるような気がします。 「現在も切り絵で使っているプラスチックペーパーにも出会ったのは、このタイプの作品をつくっている時です。布とは一味違うハリや表情、光が当たった時の美しいニュアンスに心惹かれました。それで、もっとこの紙でなにかやってみたいなと思って、ふと葉っぱを一枚切ってみたんですよ。それが切り絵のはじまりです」

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立体思考が生む心地よい曲線と揺らぎ

ふと思いついた切ってみた一枚の葉っぱが起点となり、今のような壮大な世界観を生み出したのだと思うと、その気まぐれなインスピレーションの偉大さを感じずにはいられません。 「最初は、全部手で切っていたんです。でも、葉っぱ一枚からどんどんサイズも大きく、細かいものを切りたくなってしまって。あとは、普通の紙なら切りやすいですけど、プラスチックペーパーは厚みもありますから大変で。それで、機械で切ったらどうなるんだろう、と小さなカッティングマシーンを買ってやってみたら、その再現性に驚いてしまったんです。手で切った少々歪なラインまでも、そのまま生かせるというのは、私にとっては嬉しい発見でしたね」

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「ひとつ、オーナメントみたいなものを作ってみて、そこから10本くらいぶら下げてみたらどうなるんだろう、50本くらいぶら下げてみたらどうなるんだろう、100本くらいぶら下げてみたらどうなるんだろう、っていう感じで空中を切り絵パーツで埋めることをしはじめて。それが次第にインスタレーションに展開して、ギャラリーなどで自分の作品として発表していました。当時、もうすでに今のようなボタニカルなモチーフが多かったのですが、それを目に止めていただいて、ウィンドウディスプレイの仕事に繋がっていったんです」

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モビールでもオーナメントでも、菅野さんが手がける切り絵パーツは、必ずどこかに〝動き〟が見えます。しなやかで、優雅で、軽やかな揺らぎ。その秘密は、洋服をデザインしていた彼だから生まれたカッティングにあるようです。 「例えば、紙をぐるぐると渦巻き状に切って、その中心を持って吊るしてみると一本の帯にうねりや回転という動作が生まれますよね。それと同じように、吊るされることによって美しい立体感が出るように、カットするラインを考えているんです。これは、洋服のドレープを作るのと同じ設計の仕方。洋服を作っていた経験が、自然と今の切り絵にも反映されていたんでしょうね」

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菅野さんが布を扱っていたからこそ生まれた思考と、プラスチックペーパーという独特の質感を持つ素材によって、彼の切り絵による作品は表情豊かに空中をたゆたいます。そのなんとも言えない軽やかさと心地よさは、暮らし空間の一部で風を感じさせてくれるモビールでも、壮大なスケールで展開されるウィンドウディスプレイでも、耳元で可憐に揺れるイヤーアクセサリーでも変わりません。それは、まさに植物などに見られるフラクタルそのもの。

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「とても大きな空間を切り絵で埋めてみたいっていう夢はあるんですけど、繊細さの中に身を置くという意味では、空間装飾でも小さなアクセサリーでも変わらないと思っているんです。サイズに関わらず、そういう心地よさに身を委ねることができるようなものを作っていきたいですね」

取材・文/内海織加 写真/宮川ヨシヒロ

Creator/Brand

nekonekodesign PAPER ARTS(ネコネコデザインペーパーアーツ)

ペーパーアーティスト

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nekonekodesign PAPER ARTSは、切り絵を使ってArt&Productを創り上げるデザインカンパニー。
アート、インテリア、ウィンドウディスプレイ、アクセサリーなど、切り絵が持つ柔らかくイノセントな表現力をベースに、幅広い分野で創作をしています。

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