nezu(ネズ)第2回 つくりだすヒント

前回のインタビューで、2019年S/Sの「Overlap moment」コレクションでは、“ダンスの一瞬を切り取るような”アクセサリーをつくったと答えてくれた「nezu」のデザイナー・三島友加里さん。その独特な発想はどこから生まれてくるのか? さらに話を聞きました。
- SOUQ
- 「Overlap moment」では、“ダンスの一瞬を切り取るような”アクセサリーをつくられましたが、そういうイメージってなかなか出てこない気がするのですが、どうやって生み出しているのでしょうか?
- 三島
- ダンスを観るのが好きなので、好きなものの周辺から言葉やイメージを拾って、それを数珠繋ぎにしていって。さらに進化させて、この世界観ならこうだなと、どんどん広げていきます。
- SOUQ
- ダンスの舞台をよく観に行かれるのですか?
- 三島
- 「POTTENBURN TOHKII(ポッテンバーントーキー)の中島トキコさん(※編集部注1)にお誘いいただいたり。
- SOUQ
- そういえば中島さん、ダンスやってるって言ってましたね。
- 三島
- 私も一度いっしょにダンスのレッスンに行ったんですけど、全然できなくて、途中で忙しくなって脱落しちゃったんですよ(笑)。


- SOUQ
- あら。それはどういうダンスなんですか?
- 三島
- コンテンポラリーダンスです。
発想は、身近なものから
- SOUQ
- そういえば、中島さんに聞いた面白い話があって。ダンスをしているときに中島さんが先生に「もっと相手の意図を汲んで」って言われたらしいんですけど、それを中島さん、ずっと「糸を組んで」と思ってたみたいで。あとで本当の意味がわかって、そこからコレクションのテーマが「いとをくむ」になったという…。
- 三島
- そうでした。去年の8月に青山のスパイラルで「POTTENBURN TOHKII」さんと2組で「Water Island」という限定ショップをやったんですよ。中島さん、その時のアイデアから作品をつくっていました。
- SOUQ
- やっぱりクリエイターの方は、自分の周辺にあるものからの発想が多いのかもしれないですね。
- 三島
- それはあるかもしれませんね。最近だとお花が好きで、買ってきて活けたりするようになりました。それで作品に今までと違うやわらかさが出てきたかなと私的には思っています。
- SOUQ
- 「free freez」で初めて発表されたオーガンジーの作品などは、そういう甘みが少し出てきてるんですかね?

- 三島
- そうですね。生地のニュアンスはそうかもしれません。お花は、繊細さが楽しい。といって全然詳しくないんですけど(笑)。
- SOUQ
- ところで、このアトリエ、ご自身で設計されました?
- 三島
- いえ、全然違います(笑)。
- SOUQ
- たまに建築出身のアクセサリーデザイナーさんがいたりするので、もしかしたらそうなのかなと思って。
- 三島
- アパレル一筋でまったくかじったこともないですが、建築は好きですね。作品をつくるときも、構造的にこうやったらこうなるというのを試していくのは好きです。編みとか織りが終わりがない感じにしてみるとか。

- SOUQ
- 建築もお好きだろうし、そのほか作品のイメージを発想するのに好きなものはありますか?
- 三島
- 美術館やギャラリーも昔から好きで、映画を観るの好きだし、本屋さんがとにかく好きでよく行ったり…マンガも好きだし。わりとミーハーです(笑)
- SOUQ
- カルチャー全般がおしなべて好きなようですね。
- 三島
- そうですね。でもだいたいこういう業界の人ってみんな好きだから、あんまりトピックとしては面白いことはなんにもないですけど(笑)
- SOUQ
- 映画はどういうジャンルをご覧になるんですか?
- 三島
- 一番最近観たのは『パラサイト 半地下の家族』です。家では、NETFLIXとHuluとアマゾンプライムに入ってるので、ドキュメンタリーを含め、いろんな映像を観たりしています。
- SOUQ
- そんなにサブスク入ってたら、毎日3本観ても観きれないですね(笑)。本屋さんはどういうところに行くんですか?

- 三島
- このへんでは、「スノウショベリング」という本屋さんや駅前にある書店にも行きます。あと、渋谷の「SHIBUYA PUBLISHING & BOOKSELLERS」とかこだわりのある本屋さんは好きですね。
- SOUQ
- どういう本を買われるのですか?
- 三島
- 店内をいろいろ回ってみて、ピンときたものを。レシピ本も好きで、お気に入りは有賀薫さんのスープの本。シンプルな材料でおいしくできてお気に入りです。
取材・文/蔵均 写真/東泰秀
※1 ユニークな生地とデザインで活躍するファッションブランドのデザイナー。
身近なものから作品の発想をするという三島さん。次回は「nezu」で使われている素材についてお話を聞いていきます。
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Creator/Brand

アクセサリーデザイナー
nezu(ネズ)
2015年よりテサインレーベル「nezu」をスタート。 nezuでデザインするのは、要素と要素を掛け合わせてできる新しい“たのしさ”を詰め込んだ
アクセサリーブランドを制作しています。