okapi(オカピ)第4回 デンマークの人とデザインに魅せられて

バッグブランド「okapi」の佐藤文さんに話を聞く「ピックアップクリエイター」最終回は、個展が開催されていた会場のオーナーで、ふだんから川内さんとも親交が深い「LIFE IS A JOURNEY!」の川内まりさんも登場。旅の話から、デンマークの魅力について語っていただくことに…。
- SOUQ
- 「LIFE IS A JOURNEY!」さんでは、世界中を旅して出会ったものを店に置かれてるんですか?
- 川内
- そうですね。そのときそのときで旅した国のものが増えるので、内容はガラッと変わります。

- SOUQ
- 今はどちらの国が多いんですか?
- 川内
- チベットとかネパールですね。これはもともとチベットの僧侶が瞑想に入る前に精神を統一するために使った楽器なんですよ。この音が人間の神経を休める効果があることが実証されていて、今だったら末期ガンの方の痛み軽減のセラピーだとか、カウンセリングルームとかで使われてます。最近はヨガの先生もよく買っていかれますね。

- SOUQ
- この文様はなんですか?
- 川内
- これもチベットのモチーフで「エンドレス・ノット」って言うんですけど。
- SOUQ
- 結び目を意味する“ノット”ですね。
- 川内
- そうです。これにはすごく深い意味があって、人間の一生というのは輪廻転生しながら永遠に続いていくんだけど、今生きている人生の中でいいことをしても悪いことをしても、それは巡り巡って自分に返ってくるから、日々を大切に人を大切にして生きていきましょうね、という意味があるモチーフなんです。

- SOUQ
- なるほど、だから継ぎ目がなくエンドレスなんですね。
- 川内
- チベット人の人は、たいていこのマークを玄関に飾っていますよ。毎日これを意識して出かけて行くという感じです。
- SOUQ
- 他にはどういう国のものが多いのですか?
- 川内
- 今はメキシコとかアルゼンチンが多いですね。
デンマークの映像作家との出会い
- SOUQ
- 佐藤さんは最近、どこか旅に行かれましたか?
- 佐藤
- 旅は大好きです。ここ3年ほどはデンマークに行ってますね。
- SOUQ
- 北欧の中でもフィンランドやスウェーデンじゃなく?
- 佐藤
- 別に北欧好きじゃないんで(笑)。きっかけは、たまたまgrafで働いているときに、デンマーク人の映像作家さんがフラっと来られたんですよ。日本語を喋れない人だったんですが、日曜日だから誰もいなくて。とりあえず連絡を取って英語を話せる人に来てもらってなんとかなったんですけど、その人がそのあとにもう1回遊びに来て、そのときも私が対応したんですね。
- SOUQ
- 縁があったんですね。

- 佐藤
- フェイスブックでつながってたんですけど、grafを辞めてしばらくしたときに、「大学の教え子が、彼氏が日本に留学することになって一緒について行くから会ってあげて」ってメッセージが届いたんですね。
- SOUQ
- きっと佐藤さんの対応が忘れられなかったんでしょうね。
- 佐藤
- 「わかった」って会ってみたら、その二人がめちゃくちゃいい人で。それが5年ぐらい前の話ですが、二人は帰国してから結婚して子どもができたんですが、ここ3年彼らに毎年会いに行ってます。訪れてみたらすごくいい国で、大好きになって。
- SOUQ
- デンマークのどこですか?
- 佐藤
- 彼らが住んでるのはオークスというところで、デンマークで2番目に大きい街です。そことコペンハーゲンを訪れるんですが、だんだん向こうの友達や知り合いも増えてきて。木工をやっている日本人の女性にも出会って、今年はその方のところで泊まらせてもらう予定なんですけど。

- SOUQ
- デンマークで人のつながりが広がってるんですね。
- 佐藤
- 去年は、お城の門前の小屋を使ったかわいいシルバーショップのオーナー兼作家の女性の家に泊めてもらいました。
- SOUQ
- みなさんとてもフレンドリーですね。
- 佐藤
- 全然言葉も喋れないのに、なんでこんなに受け入れてくれるんだろうというのが面白くて。毎年行ってるんですけど、本当に女性がイキイキしているのが衝撃的で楽しくて。ああこんな生き方ができるんだと羨ましくて。
- SOUQ
- 日本とは違いますか?
- 佐藤
- デンマークに行って、1回も年齢は? 結婚してる?子どもはいる?って聞かれたことないんですよ。仕事や何をして生きてるのかということは聞かれるんですけど、これがすごく新鮮で。いかに日本で毎回聞かれて、めんどくさくてイヤだということがわかりました。

実用的で美しいデザイン
- SOUQ
- デンマークに旅して、そこで何か新しいデザインの発想が生まれたりしました?
- 佐藤
- 直接的に生まれたというのはないんですけど、やっぱり色とか形とかハっと思わせるものが多いんで、写真は撮りまくりますね。あと、自分のカバンは荷物になるので1個か2個しか持っていかないんですけど、写真はたくさん持っていって、ことあるごとに見せてたんですよ。それで感想を聞くと「北欧っぽい」って言われるんです(笑)。
- SOUQ
- 確かに、そういう感じはありますね。

- 佐藤
- 別に北欧が好きでやってるわけじゃないんだけど、それはちょっと面白いなと思って、街を歩いていると、そんな派手じゃなく実用的なんですけど、美しいものがすごく多い。それは毎回楽しみです。
- SOUQ
- たとえばどういうものなんでしょう?
- 佐藤
- 美術館とかの建築や椅子ももちろんですし、フィンランドはマリメッコとか色合いが派手なイメージがあるんですけどデンマークは少し落ち着いていて。さりげないんですけど、街の中にきちんとデザインされたものがたくさんあります。目の不自由な人のための点字ブロックのデザインとか、自転車置き場の機械のシュッとした感じとか、ちょっとしたところが本当にとても美しいです。
取材・文/蔵均 写真/岡本佳樹
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兵庫県神戸市東灘区岡本1-12-26 マンション藤106
TEL:078-585-6434
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水・木曜休み
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