ORZO(オルツォ) 第1回 女性に人気のやわらかいフォルム

ものづくりに打ち込むクリエイターにインタビューをする「ピックアップクリエイター」。今回は、神戸と大阪・堀江に店舗を持つ、バッグブランド「ORZO」を紹介します。代表でありデザイナーの平岡学さんと奥様の加奈子さんを訪ねて、堀江店にうかがいました。
- SOUQ
- デザインは学さんお一人でやっているとお聞きしました。
- 学
- デザインというほどのことはしてませんけど。こういうものをつくろうかなというのが思い浮かんだら、つくり始める感じです。デザイン画とかも描かないし。絵が下手なんで描けないんですよね(笑)。
- SOUQ
- 描かなくても済むのならいいんじゃないですか。そのほうがすぐにつくり始められますからね。
- 学
- そうなんですよ。でも昔はプランなしで革に直接包丁を入れて失敗して、革をムダにすることも多かった。最近はつくり方もだいぶわかってきたので、ある程度型紙を使いながらやっています。

- SOUQ
- 学さんの場合、たぶん絵に起こさなくても、革に向かったとき、こうすればこうなるというのがわかるんでしょうね。
ショルダーからリュックへ変幻自在
- 学
- どうでしょう…とりあえず形にしてから、これいいなとか、あんまりよくないなとか判断しています。一度形にしてみないと想像できなくて。最初こういうのをつくろうと思って始めても、完成したのがイメージと全然違うものになるということもありますね。
- SOUQ
- やっていくうちに見えてくるものがあるんでしょうね。
- 学
- これショルダーバッグよりリュックのほうがよさそうだから、方向転換しようとか。

- SOUQ
- それはすごい変わりようですね(笑)
- 学
- トートからショルダーに変化したりすることもあります。
- SOUQ
- 変幻自在ですね。ものづくりの発想は、頭で考えるというより手を動かすことで生まれてくるのですかね?
- 学
- こういうのをつくりたいなと思って、すぐつくりだすことはないかもしれません。アイデアを頭の中で熟成させてから、型紙に起こしたり。ハンドルの付けかたとか細かい部分は、本体ができてから考えるようにしてます。そのへんは妻やスタッフに相談したりしますね。「どっちのハンドルがいい?」とか。結局最終自分で決めるんですけど(笑)。女の人の買い物といっしょです。
- SOUQ
- あー彼氏に「どっちが似合う?」って聞くけど、もう心の中は決まってるというやつですね。
- 学
- そうそう(笑)。ある程度こっちがいいやろうなと思っていても、一応人の意見も聞いたりします。

“かっこいい”より“かわいい”
- SOUQ
- デザインや発想は学さんお一人でやっていて、加奈子さんは意見を出したりしないんですか?
- 加奈子
- リュックがほしいとか、こんなのがあればいいなというのは、ちょろちょろ言いますけど、基本平岡がひとりで考えてデザインしてます。
- SOUQ
- 「ORZO」さんのバッグはユニセックス仕様だと思うのですが、女性の支持が多そうですよね。だから女性の視点がより反映されているのかなと思っていました。

- 加奈子
- たぶん平岡は感覚が女性っぽいんだと思うんです。中性的な感覚を持っているというか。堀江の店でも「このバッグをデザインしている人って男性?女性?」と聞かれることがすごく多くて。「男性です」って言ったら、結構みなさんビックリされていますね。
- SOUQ
- 男性がデザインする革雑貨って、無骨で真面目で職人技できっちりつくるというようなイメージもあったりして。だから「ORZO」さんのバッグは男性がデザインしている感じがしないというのはあります。平岡さんは、女性に使ってもらいたいというふうに意識されてるんですか?

- 学
- いや全然意識してないですね。自分も使いたいなというかばんをつくっているだけです。でもそう言われてみると、つくっているときは“かっこいい”という言葉より“かわいい”という言葉のほうがよく使うなとは思います(笑)。
- SOUQ
- 男性の革職人の多くは、あまりかわいいって言わないような気がします(笑)。
- 学
- スタッフは全員女性だし、神戸の店で扱ってる服もレディスばかりだし。自然とそうなってるのかもしれない。自分が個人的にゴツゴツした革物が、あまり好きではないということもあるかもしれませんね。
取材・文/蔵均 写真/桑島薫
男性ながら女性的な感覚も持ち合わせている平岡学さん。次回第2回は、「ORZO」立ち上げ時の話をうかがいます。
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