ORZO(オルツォ) 第3回 折り紙のようにつくるバッグ

神戸と大阪・堀江に店舗を持つバッグブランド「ORZO」。その独特のフォルムは、どのようにしてつくられていくのでしょうか? 代表でありデザイナーの平岡学さんと奥様の加奈子さんに話をうかがいました。
- SOUQ
- 平岡さんが一番最初につくったのバッグはどのような型だったんですか?
- 学
- これですね。シンプルにトートバッグです。これはバイカラーですけど、単色のものを最初につくって、自分で使ってたんですよ。

- SOUQ
- じゃあトートバッグを原点に、そこからショルダーバッグやリュックなどに広がっていったんですね。
- 学
- そうですね。最初はこの原点の形をアレンジすることだけをやっていました。ここからぐっと絞ってカシメで止めたらかわいいなとか。真ん中に寄せてつまんだら丸っこい形になるなとか。そんな発想ばっかりで、真四角の革をいろいろ変化させていましたね。
- SOUQ
- バッグの素材はほとんどが革ですか?
- 学
- メインはほとんどそうですね。レザーものが90%で、秋冬はボア系の素材やフェイクのスウェードもあり、キャンバスも使ったりしてます。

- SOUQ
- やっぱり女性が好みそうなかわいさですね。
- 学
- 丸っこいものも多いですし。直線よりも曲線のほうが好きかもしれないです。
革は包丁で切る
- SOUQ
- 曲線に革を切るのがむずかしいんじゃないですか?
- 学
- 最初はむずかしいかもしれませんね。
- SOUQ
- 切る道具はどういうものなんですか?
- 学
- この革包丁で切ってます。

- SOUQ
- むずかしそうだし、力も要りそうですね。
- 学
- まあきれいに研いどけばよく切れますよ。3、4回使うと切れ味が悪くなるので、使うたびに研ぐようにしています。
- SOUQ
- 切った革は、次にミシンで縫うという工程に入るんですか?
- 学
- 裁断して、パーツなどを付けたりしてからミシンで縫います。
- SOUQ
- パーツなどは縫う前に付けるんですか?
- 学
- ものによって工程は違いますね。後からつけるものもありますが、基本は先に付けることが多いです。
- SOUQ
- バッグって縫うのむずかしそうですね。
- 学
- いや、僕のバッグってつくるの簡単ですよ。ミシンさえちょっと踏めれば、だれでもつくれると思います。制作時間もできるだけ短くしたいので、あまり複雑なものは考えないですね。

- SOUQ
- ミシンをさわり始めた頃って、どのようにつくっていたのですか?
- 学
- バッグって、普通は型紙からつくるんですけど、僕は最初の1、2年は型紙を使わなかったんです。革を切って、折り曲げたりカシメどめしたりしながら形をつくっていったので。
型紙なしで自由につくる
- SOUQ
- 型紙がなくてもつくれるもんなんですね。
- 学
- まあ。僕、最初につくるときは、型紙を使うということも知らなかったぐらいなんで(笑)。だから袋もののバッグなどを見て、こうやったらできるんかなと頭で考えながらつくっていました。折り紙しているような感覚です。
- SOUQ
- 折り紙?
- 学
- そうです。紙を折って、糊でくっつけるという感覚でした。ここをこういうふうに折り曲げてこう止めたら、形がかわいくなるなあというふうに。

- SOUQ
- それは自由につくることができて楽しそうですよね。
- 学
- そうなんですよ。なかなかほかにはこんなやり方の人はいないと思うので。というか、僕が無知すぎたというか。
- SOUQ
- 革の作家さんというと、きっちりとしたやり方でつくる人が多いと思うのですが、「ORZO」さんのバッグを初めて見たとき、今まであまり見たことないフォルムだったので、どういうふうにつくっているのかと思っていました。
- 学
- ちゃんと修業や勉強をしてらっしゃる人から見たら、僕のやり方って革の使いかたがもったいなかったり、というのはあると思うんですよね。いろんなパーツをムダなく縫い合わせてつくる人がいる一方、僕は大きく革を切り取って、そこから折り紙みたいにしてつくるから。でもそれがうちのバッグの味になってきたかなとは思います。
取材・文/蔵均 写真/桑島薫
最初は型紙もなく自由につくっていたという「ORZO」のレザーバッグ。次回最終回は、2019年にデビュー予定の新ブランドについて話をうかがいます。