POTTENBURN TOHKII(ポッテンバーントーキー)第4回 ダンスや舞台の衣装を

ユニークなテーマと素材で服づくりをしている「POTTENBURN TOHKII」の中島トキコさん。「ピックアップクリエイター」最終回は、これからやっていきたいことについて話を聞きました。
- SOUQ
- 服以外のアイテムでこれからつくっていきたいものはありますか?
- 中島
- そうですね、今後バッグとかは考えています。バッグだと洗わなくていいので、生地や糸の表現がまた広がるのかなと。
- SOUQ
- 仕事以外で最近ハマっているものはありますか?
- 中島
- 舞台を観に行きますね。
- SOUQ
- よく観に行かれるのですか?
- 中島
- 毎月とまではいきませんが、演劇や落語、最近歌舞伎も見はじめました。
衣装をつくりたい
- SOUQ
- なにか刺激があったりしますか?
- 中島
- 衣装や空間にヒントを得たりします。あとはコンテンポラリーダンスも。
- SOUQ
- 「いとをくむ」というテーマが生まれたきっかけの。
- 中島
- そうです。ダンスの衣装もいつかやってみたいなと思っていて。でも、どうつながっていけばいいかがわからない。じゃあダンス教室に通おうと。全然踊れないですけど。

- SOUQ
- まずはそこを突破口に。
- 中島
- そうです。好きなことにまず飛び込んでみる。以前テルミンユニットのザ・ぷーさんのライブ衣装をつくらせていただいたんですが、そのときも、元々大好きでライブに通いつつ、知り合いつながりの何人かに「ザ・ぷーさんの衣装をつくりたい」ということを話したら、1年後に夢が叶ったり。

- SOUQ
- 衣装は、やはり舞台が多いんですね。いまハマっている歌舞伎の衣装とか?
- 中島
- 恐れ多いです。でもどこかになにか可能性があるかなあとか勝手に妄想したりはしてます。教育テレビは表現が面白いなと思ってみていたりします。
- SOUQ
- 教育テレビなんですね(笑)。
- 中島
- そうですね。好きです。


服にだってオチを
- SOUQ
- 中島さんは、神社や歌舞伎など日本の伝統文化に造詣が深いですね。
- 中島
- いえいえ、たまたまですけど。
- SOUQ
- 落語もお好きと聞きましたが?
- 中島
- はい。おもしろいなと思ったのは、話が進む中でどこで落とすかというところで…。
- SOUQ
- それを服にも?
- 中島
- ある落語家さんの本で、「漫画家は絵を描いたらそれで伝わるけど、落語家はしゃべったことをお客さんが頭の中で具現化しなければならない」とおっしゃってて、ああ、面白いなと。それって、服だとどうできるのかなと考えたりします。ぱっと見てこの柄がかわいいという伝え方だけじゃなく、ぱっと見シンプルに見えて実はね…といった面白みを服にも取り入れたいなと思って聴いています。
- SOUQ
- 服に落語的な背景というのはなかなか高度ですね。
- 中島
- 最後のオチでひやっとしたりとか、うわっ、こうひっくり返るんだという感覚をどうできるかなと。服としての美しさの中にクスッとできる部分を入れたいんです。たとえば、私のつくった生地でミモザみたいに見える黄色いつぶつぶの生地があるんですけど、そのつぶつぶは実は粉雪で、それを食べたくてレモンシロップをかけてるとか。あっそうやったんや!となる瞬間やストーリーを大切にしてます。

- SOUQ
- オチを洋服の中にも入れたいんですね。
- 中島
- 落語で最後にうわーってなるあの瞬間が好きで。あと、広告にも刺激を受けたりしますね。
- SOUQ
- 広告?
- 中島
- 金鳥の蚊取り線香の新聞広告で、紙面に何匹も蚊が飛んでいて、数字の順につないでくださいと書いてあって、全部つなぐと「買って」となるんですよ。「買って」と「蚊って」もかかっていて。たぶん。そういうアイデアの出し方に、はーっ、なんかおもしろいーって。そんなだから、服づくりじゃなくてもいいのかもしれないけど、いや、でも服でやっていきます!(笑)。
写真/東泰秀
Creator/Brand

ファッションブランド
POTTENBURN TOHKII(ポッテンバーントーキー)
洋服と雑貨のファッションブランド。メッシュ素材をはじめ、ラメや和紙などの素材が織り込まれた、遊び心あふれる糸や生地の立体感が特徴。