『RATTA RATTARR(ラッタ ラッタル)』後編 大事にしたい純粋な気持ち | SOUQ ZINE スークジン

『RATTA RATTARR(ラッタ ラッタル)』後編 大事にしたい純粋な気持ち

『RATTA RATTARR(ラッタ ラッタル)』後編 大事にしたい純粋な気持ち
クリエイターとアトリエリスタが共同でデザインを作り上げるスタイルで作品制作を行う『RATTA RATTARR(ラッタ ラッタル)』。後編では、クリエイティブディレクターの須長檀さんとアトリエリスタの塚元恵さん、クリエイターの方々にアトリエでの制作活動について、ブランドが目指すこれからのお話をうかがいました。

素敵な作品の源は心地よい環境作りから

平日の月曜から金曜、クリエイターたちを乗せたバスがアトリエに到着すると、『RATTA RATTARR(ラッタ ラッタル)』の朝が始まります。朝10時、まずは朝礼。その後アトリエの掃除を行い、10時30分からそれぞれ作業がスタートします。アトリエにはさまざまな作業場所が用意され、クリエイターたちは思い思いの場所で作業を進めていきます。12時になるとお昼の時間。緑と太陽の光が心地よい場所で食事を楽しんだ後、13時から作業を再開し、15時頃に帰路につきます。「彼ら、彼女たちが心地よく過ごせる環境になるよう心がけています」と話す須長さん。自然に囲まれた温もりのあるアトリエだからこそ生まれる作品があるのです。

作品の数だけ生まれる物語

クリエイターたちとたくさんの作品を作り上げてきた塚元さんに、作品作りの過程で印象に残っていることをお聞きすると「作品ごとに物語があるので一つ挙げるとなると難しいのですが…」とかなり悩みながらも発想が面白いなと思ったエピソードを教えてくれました。

「子ども服になった観覧車の絵があるのですが、観覧車が何層にも重なった円で描かれていたんです。『どうしてこんなに重なっているの?』と聞いたら『これまで乗った全部の観覧車を描いた』と。記憶の中の出来事がそんな風にアウトプットされてくるのがすごく印象的でした」

もともと『RATTA RATTARR(ラッタ ラッタル)』はアートスクールではなく、美術の心得がない人でも参加できる場所。「だからこそ思いつかないような面白い発想が出てくることもあります」と話す塚元さん。中には描き方自体を発明してしまう人もいるそう。「たとえば雪が降ったら絵の具に雪を混ぜて雪が溶けることで絵が描けるようにする方がいたり。道具の使い方もとにかく自由なんです」と発想力の自由さに塚元さんたちも驚かされることが多いのだとか。

RATTA RATTARRYOUTUBEより

モノづくりをする上での歓び

ここでは実際に作品を制作するクリエイターの方々のお話も。まずは、子ども服やソックス、レディースウエア、ノートに自身の絵が採用されたA.Kさん。『RATTA RATTARR(ラッタ ラッタル)』でのモノづくりについて聞いてみると「アトリエリスタさんたちは自分とは違った感性を持っていて、自分でも気付いていない魅力を引き出してくれるから楽しいです」とのこと。1人で描いているときとは異なり、近くに一緒になって作品のことを考えてくれる人がいるからこそのモノづくりの楽しさを語ってくれました。 続いて、色の表現が得意でスカーフに自身の絵が採用されたクリエイターのOkamotoさん。「A3のキャンバスにペインティングナイフで描いたあじさいの抽象的な絵が、大きく引き伸ばされてスカーフになったときはびっくりしたし、嬉しかった。父ちゃん、母ちゃんにプレゼントしたいです」と嬉しそうに話す姿が印象的でした。

RATTA RATTARR

デザインってこんなに自由で楽しい!

年々他の企業と一緒に制作する機会も増え、より多くの作品がたくさんの人の目に触れる機会が増えてきています。そんな中で改めて須長さんたちが作品を通して伝えたいこととは?

「クリエイターたちは、よく見せたいとか売れるためとか一切考えずに彼ら自身が心が動くもの、興味があるものをそのまま描くような自由な描き方をしています。そういうすごく純粋な過程のもとでできた作品を通して、デザインってこんなに自由で楽しいことなんだと感じてもらえると嬉しいです」(須長さん)

「彼らの純粋な気持ちがいろんな人に伝わって、流行り廃り関係なく好きなモノを大切にする気持ちが広がるといいなと思います」(塚元さん)

RATTA RATTARR

使い方も先入観にとらわれず自由な発想で。

今回SOUQ ZINEで取り扱うアイテムは、クリエイターたちの絵が入った有田焼の小皿。制作にあたって3つの方法で絵を描いてもらったのだとか。1つ目は繰り返し同じ模様を描いてもらう方法。日本を代表する思想家・柳宗悦の「民藝」という考え方に基づいたもので、同じ模様をずっと描き続けると崩れてくる部分があり、その崩れたところに自分の意識のない美しさがあるというもの。「一つモチーフを作って連続して描いていくとだんだん崩れてくる部分があって、面白い柄ができてくるんです」と須長さん。

2つ目は、方眼紙を渡して自由に描いてもらう方法。中には5㎜四方の方眼の中に自由に文字を敷き詰める人もいて「方眼紙1枚をとっても人それぞれ捉え方が違うので、それを柄に当てはめていった、という感じです」と塚元さん。

そして3つ目はモノを食べたときの味覚を絵にする方法。クリエイターたちの特性に合わせて、それぞれの方法で作品作りをしていったのだとか。

そんな自由な制作方法で作られたお皿は、塚元さんいわく「お皿の絵というよりは、絵が描いてあるところを三角や丸に切り取った商品」とのこと。

須長さんも「お皿以外の用途で使っていただく方も多くて、アクセサリー入れや鍵置き、コースターのように使う人もいたり。食器という概念を持たず、いろいろ使えるのがいいところなのかなと思います。ちょっとしたものを置くだけでも映えるので、おつまみプレートにもオススメです。買ってきた乾き物をのせるだけでも様になります(笑)」

作り方も自由なら、使い方も柔軟に。日々の暮らしに彩りを与えてくれること間違いなしのアイテムです。

RATTA RATTARRYOUTUBEより

型にとらわれないモノづくりの先にあるもの

最後に『RATTA RATTARR(ラッタ ラッタル)』の今後について須長さんにうかがいました。 「障がい者の方の作った物を販売するとなると、どうしても『障がい者の方が作ったから』という理由で買っていただく方が多いんですね。でもそれだと持続性がないんです。そんな中で私たちは『障がい者の方が作ったからいい』というわけではなくて『モノ自体のクオリティーがよくて買ったら実は障がい者の人が作っていた』という風にしたいとずっと思っていて、それは今も変わりません。一方で、彼らが描いている姿は本当に感動的でアトリエで日々芽が生まれてくる瞬間を見るととても興奮します。今後は、そういった感動や興奮も伝えていけたらとも思っています。アトリエにいないと分からないことではあるんですが、アトリエに来ていただかなくとも伝わる方法がないかな、あれば素敵だなと」

RATTA RATTARR

ブランド名の由来にもある既成概念にとらわれない考え方で取り組むモノづくり。だからこそ生まれる自由でオリジナリティーあふれる作品たち。情報があふれ、世間の目や“当たり前”の呪縛に飲み込まれそうになる中で、余計なことは考えずに、良いものは良いと思えること。『RATTA RATTARR(ラッタ ラッタル)』の作品は、そんなごくシンプルな感覚に立ち返ることの大切さを教えてくれた気がしました。

Recommend Story

おすすめのストーリー

Browsing History

閲覧履歴