RBTXCO(アールビーティ) 第2回 若者たちへ「百舌の早贄」のススメ | SOUQ ZINE スークジン

RBTXCO(アールビーティ) 第2回 若者たちへ「百舌の早贄」のススメ

RBTXCO(アールビーティ) 第2回 若者たちへ「百舌の早贄」のススメ
ファッションブランド「RBTXCO(アールビーティ)」のヒガシテッペイさんにインタビューする「ピックアップクリエイター」。第2回は、昨年のシーズンテーマである「百舌の早贄」について話を聞きました。
SOUQ
2018年春夏のテーマは、「百舌(もず)の早贄(はやにえ)」という、およそファッションブランドらしからぬテーマでしたね。
ヒガシ
テーマを考えてる時期に、専門学校の学生さんに講義をさせてもらう機会があり、最後に質疑応答の時間があったんですね。そのとき一人の学生から、「ヒガシさんは高校生のときからすでにブランドを始めていますが、そんな若いときに人生を決めてしまうのは怖くなかったですか?」という質問があったんですよ。
SOUQ
たしかに「RBTXCO」はそのころから、これまでずっと続いてますものね。
ヒガシ
たまたま続いていますけど、そのときはこれでずっとやると決めたつもりはまったくなくて。
SOUQ
高校生だと、なかなかそこまでは考えられませんよね。
RBTXCO
ヒガシ
いまの学生ってSNSがあるからアーカイブが明確に残るじゃないですか。でも僕らのころはなかった。だからいくら失敗しても、親とか兄弟とか周りの友達から「あいつブランド始めたけどやめよったな」って、そのとき言われる程度。それがいまの子たちだと、やったこととか言ったことが残ってしまう状況なんだなと思ったんですよね。若い頃に後先考えずにいろんな経験をしておくのは絶対必要だけど、将来の自分がSNSを見たときに恥ずかしいからやめときますという保険をかけてしまう。
SOUQ
SNSに残ってしまうから、思い切ったことができない。
ヒガシ
そういう現状に対して、「もっとやりいよ」と言いたかったのが最初のメッセージだったんですよ。じゃあもっとやるためにはどうすればいいか? ということを考えていったときに出てきたのが「百舌の早贄」。
RBTXCO2018年のコレクションから「日本庭園」シリーズの柄。レース調の柄に盆栽やウツボカズラ、食虫植物などが描かれています。「薔薇とかと違って、食虫植物とかはみんなが日を当てなさすぎてかわいそうになってくるんですよね」とヒガシさん。
SOUQ
どういうことでしょう?
ヒガシ
百舌という鳥は、冬ごもりをする前に虫とかネズミとかカエルを山ほど捕獲して棘のある木に刺す。そして冬の間にお腹が減ったらそれを食べるという習性があるんですね。
SOUQ
そういえば! 思い出しました。
ヒガシ
でも、餌食にした50%ぐらいは忘れてしまってたり他の鳥に食べられたりして、自分のものにはならない。ということは、百舌は秋の間じゅうずっとムダになるかもしれない獲物を取り続けるんですよね。
SOUQ
そんなにも食べてないものなんですね。
RBTXCO
ヒガシ
人間でいうと16歳から20歳ぐらいまでのエネルギーがある時期に、ムダになるかもしれないけど、いろいろやったらいいのになという気持ちが「百舌の早贄」に結びついたんです。

伝統工芸をパンクに

SOUQ
なるほど。そういう想いがテーマに込められていたんですね。
ヒガシ
そうなんです。あともう一つ、2018年は日本の伝統工芸の要素を入れてるんです。いま伝統工芸になっているものも、江戸時代、若者の誰々くんが師匠の言うことを聞かずにつくったものなんじゃないかと想像したときに、パンクなテンションで伝統工芸を拾っていったら、いまっぽくなるんじゃないか。たとえばこれなんですが…。
SOUQ
かわいいトレーナーが登場しましたね。
RBTXCO
ヒガシ
この服は、「金継ぎ」がテーマなんですよ。
SOUQ
割れたうつわなどを漆と金粉でつなぐ金継ぎですか?
ヒガシ
そうです。このフロントにあるキャラクター、刺繍を依頼した工場のありとあらゆる手法を施したさまざまな素材を金で継いでいでるんですよ。
SOUQ
本当に。よく見るとそうなってますね。
ヒガシ
袖も金色のファスナーで継がれていて外せるんです。外すことによってまだ気候が暖かい秋口にも着れるし、寒くなってきたら袖を付けて着る。金継ぎの根底に、モノを大事にしましょう、たくさん長く使いましょうという精神があるとすれば、洋服の袖をつけたり外したりすることで、それが可能になるんじゃないかと。洗濯も分けてできますし…。
RBTXCO
RBTXCO
SOUQ
日本の伝統工芸の精神が服にも注がれているわけですね。
ヒガシ
いまなんとなく学生の社会状況を知る、知ったことに対して、洋服を通してなにかメッセージを出したい。そうすると百舌の早贄が出てくる。それをデザインの面でどうアウトプットするか? 百舌という言葉も日本のパンクバンド名みたいよな、なんてことを話し合うわけですよ。そうしてルックブックで、「トゲトゲギザギザ」という謎のパンクバンドをつくって、“みんな炎上が怖いかもしれないけど、大炎上の後に大往生があるよね”という、よくわからない韻を踏んだ歌詞を載せたり(笑)。
RBTXCO「RBTXCO」の2018年のルックブックには、バンド「トゲトゲギザギザ」の曲の歌詞も掲載。
SOUQ
服だけでなく、バンドや歌詞までつくったんですね。
ヒガシ
高級ブランドがスーパーモデルを使ってコレクションを開催するのと同じように、僕らがブランドでつくったものをどうパッケージにのせてお客様に届けるかが大切。大がかりなショーではなく、架空のバンドをつくることでみんながちょっと引っかかってくるとか。僕が言いたかったことが文章で伝わるような仕掛けをしつつ、みんな若いときにやりたいことをやろうよ! って伝えたい。

2019年のテーマは「ニューエスニック」

SOUQ
それは声を大にして言いたいですね。ところで今年のテーマはなんですか?
ヒガシ
2019年は「ニューエスニック」です。いまのファッション業界のなかで、エスニックものに光が当たってないなあと思ったのが1年前。改めて新しいエスニックというものを考えたときに、ごちゃ混ぜにしたいなと。国や出自を際立たせるわけじゃなくて、自由を表現するためにエスニックにスポットを当てる取り組みができへんかなと思ったんですね。
RBTXCO2019年の「ニューエスニック」のトレーナー。ハングル、ロシア語やアラビア語が散りばめられています。
SOUQ
混ざり合う文化ですかね。
ヒガシ
いま「RBTXCO」の売り上げの3分の2ぐらいは香港なんですよ。
SOUQ
それはかなりの割合ですね。
ヒガシ
中国の人にとって、民族問題ってすごくナイーブ。だから「ニューエスニック」という新しい作品も香港で扱うには難しいところがあって。でも取引先はすごく肯定してくれたんですよ。「これはすごくいいと思う。なぜなら『RBTXCO』がやっているから」と言ってくれたんですよ。
SOUQ
その言葉はうれしいですね。
ヒガシ
“いま”光が届かない領域の事柄に、ファッションがスポットを当て忘れているものに対して、「RBTXCO」がどうアクションを起こせるかを常に考えています。

取材・文/蔵均 写真/香西ジュン

ユニークなテーマがインパクトある「RBTXCO」。次回第3回は、このブランドの服がどのようにつくられていくかをフォーカスしていきます。

■EVENT
阪急うめだ本店10階『うめだスーク』中央街区に「RBTXCO」が登場!
3月6日(水)~3月12日(火)午後5時

Creator/Brand

RBTXCO(アールビーティ)

ファッションブランド

RBTXCO(アールビーティ)

洋服に“モノガタリ”を取り入れることで、もっと楽しく、もっとワクワクするスタイルを提案しています。世代や国境を越えて多くの人に愛される“物語”のようなファッションブランドです。

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