佐渡島庸平 第1回 新しいクリエイティブの出現 | SOUQ ZINE スークジン

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佐渡島庸平 第1回 新しいクリエイティブの出現

佐渡島庸平 第1回 新しいクリエイティブの出現
講談社時代には、『ドラゴン桜』『働きマン』『宇宙兄弟』などのヒット作を担当し、退社後、クリエイターのエージェント株式会社コルクを立ち上げた編集者の佐渡島庸平さん。今回のスークインタビューは、最先端をいくクリエイターにいまどきのクリエイティブ事情を聞いていきます。
SOUQ
コルクを立ち上げてどれぐらいになりますか?
佐渡島
6年ですね。
SOUQ
講談社という大手出版社に勤められた後に会社を設立して、マンガや小説のクリエイターのエージェントを中心に、いろいろ展開が広がっているようにお見受けするのですが、この6年の変化というのはどのようなものでしょうか?
佐渡島
まず時代の状況がどんどん変わってきていて、ツイッターとかインスタグラムで有名になってくると、それら経由で恐ろしくモノが売れることが起きてるなと思ってて。昨日知り合いの話を聞いててびっくりしたのが、革のスマートフォンケースの一つの型が、インスタグラム経由だけで毎月1億円売れてるんですよ。
SOUQ
1億円!

ネットでの新しいコミュニケーション

佐渡島
そういうことが起きてるわけですよ。どれだけ最高の百貨店でもコーナーでひと月1億円売れるということはないわけじゃないですか。
SOUQ
そうですね。
佐渡島
でもインターネットの中だと、この人がお勧めするスマホケースだったらということで、億単位で売れるということが起き出してるんですね。
佐渡島庸平
SOUQ
広がり方が違うんですかね?
佐渡島
ネットの情報を求めに行く人と行かない人では、見えてる状況が全然違っています。通常の市場で、ある商品が月1億売れてたらだいたい気付きますよね。だけどインスタグラムだと、1億円売ってるインスタグラムのアカウントと1円も売ってないアカウントが並列でタイムラインに出てくるじゃないですか。だからそこで買った人は「あれすごく売れてるんじゃないかな」とわかるかもしれないけど、買わずにタイムラインを見ている人は、何も気づかないわけですよ。だからインターネットの中で起きてるさまざまな活動、コミュニケーションって、それに参加している人以外にはほぼ可視化されていないという状態だなと思って。
SOUQ
それでいて月1億売れてたりする。
佐渡島庸平
佐渡島
やっぱりネットの中では昔とは全然違う新しいコミュニケーションがいっぱい出てきていて、それによって新しいクリエイティブがたくさん生まれている。昔の価値観の人からしたら、「そんなの意味あるの?」と思うようなものかもしれないけど、若い人たちは熱狂してたりしますよね。
SOUQ
新しいアプリケーションも増えてますしね。
佐渡島
TikTokだって、世に広まったのはこの1年間ですからね、この変化はどんどん早くなっていってるなと思います。
SOUQ
こうなると、モノをつくる人は、ネットも含めてクリエイションの一部だと考えたほうがいいですかね?
佐渡島
クリエイターは、いまの時代ネットを理解するのは、もう絶対的に必要なこと。若い人はネットに触れまくってますからね。テレビ見ないでユーチューブ見てるし。ネットを触ってない人はいないですから、それが上手じゃないと意味がない。

エンターテインメントにITを掛け合わせて

SOUQ
それだけ世の中がどんどん多様化する中で、コルクはひと言で言うとどういう会社ですか?
佐渡島
クリエイターのエージェント会社。もう少し説明するとエンターテイメント×ITに挑戦しているベンチャー企業ということになります。
佐渡島庸平
SOUQ
そういう会社っていままであまりなかったですよね。
佐渡島
そうですね。基本的にビジネスをやるってときに、多くのビジネスマンは仕組みでどうやって稼ぐかを考えるんですよね。僕らの場合、人とみっちり付きあって、どういうふうにしていいものをつくるかを考えるんで、スケールしづらいんですよね。
SOUQ
仕組みはつくりづらいと。
佐渡島
そう。例えば一般的な企業って合理的に社員を管理する方法を考えながらスケールしていくと思うんです。でも私たちのように個性がみんな違うマンガ家にそれぞれ違う対応をしていくというやり方って、下手したら個人商店的に終わるかもしれない。でもそこにITを掛け合わせて、スケールさせられないかという挑戦をしています。
SOUQ
人と人との付き合いが仕事の根幹ということなんですけど、出版社時代からの付き合いの作家さんに加えて、コルクを立ち上げてから始まった付き合いもあると思います。そういう方とは最初どういうふうに出会うのですか?
佐渡島庸平
佐渡島
そうですね。向こうから来てくれたりとか、僕がツイッターで見てこの人いいなと思ったら、「いっぺん打ち合わせしませんか?」と声をかけたり。でも最終的には作家の方が決めることですから、依頼されない限り仕事はやらないです。
SOUQ
佐渡島さんぐらいになっても、ツイッターを見て人材を探したりするのですね。
佐渡島
そうですね。6年経って社内の仕組みも整ってきたんで、いま僕にしかできない仕事は新人を見つけること。フォロワーはまだ100人くらいだとしても、これはもう世界的な作家になるかなとか見極めることが僕の価値だから。それを見極めて声をかけるという感じです。
SOUQ
見極めるポイントはどういうところですか?
佐渡島
観察眼を持っているかどうか。日常的に観察をしながらものを見てると感じ取れると、この人いいなと思いますね。

取材・文/蔵均 写真/東泰秀

次回第2回は、新しいコミュニケーションとクリエイティブが生まれている時代について、さらに掘り下げていきます。

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