Sai Design(サイデザイン)第1回 福岡のレトロビルの手づくり市で

ものづくりを楽しむクリエイターを紹介する「ピックアップクリエイター」。今回は、甘すぎないキリッとしたニットのアクセサリーをつくる「Sai Design」のデザイナー・佐藤麻依さんが登場。ブランド直営のショップ「Rhino(ライノー)」がある、福岡のレトロビルにうかがいました。
- SOUQ
- 「Rhino」が入るハコビルは、築どれぐらいなんですか?
- 佐藤
- 85年ぐらいですね。2階は「ハコイチ」という手づくり市をやっているレンタルスペースがあります。「Sai Design」は、手づくり市への出店を通してオーナーさんとお友達になって、ここにお店を持たせてもらってます。
- SOUQ
- 「ハコイチ」はどれぐらいのサイクルで開催してるんですか?
- 佐藤
- 毎月だいたい第3土曜と日曜に開催、1年を通してやってます。

- SOUQ
- 会場はこのハコビルだけで?
- 佐藤
- それと、隣の町家も会場になります
- SOUQ
- 隣は町家なんですね。
- 佐藤
- そうなんですよ。ご覧になります?
- SOUQ
- ぜひ!お願いします。


築約100年の町家で
- SOUQ
- すごく立派な日本家屋ですね。
- 佐藤
- 築100年ぐらい経ってます。この隣も町家になっていて、私はそこに住んでいます。
- SOUQ
- 3棟続きの建物なんですね。和洋折衷というか、不思議な設計ですね。
- 佐藤
- そうなんですよ。オーナーのおじいさまが増改築をいろいろしたみたいで。

- SOUQ
- ここは「ハコイチ」開催以外のときは、どのように活用されているのですか?
- 佐藤
- レンタルスペースとして、演劇を上演したり、ウエディングの前撮りなんかにも使われていますね。
- SOUQ
- このあたりは、古い街なんですか?
- 佐藤
- そうですね。筥崎宮という大きな神社がすぐ近くにあって、その関係で古くから氏子さんたちが住んでいたようです。筥崎宮は、宇佐神社、石清水八幡宮と並んで、日本三大八幡宮の一つですね。

- SOUQ
- 門前町だったんですね。
- 佐藤
- はい。もともと私は福岡人じゃないのですが、親がこのあたりに引っ越すことで実家が移ってきて、そのあと私も東京から実家に戻ったら福岡人になりました。
- SOUQ
- それは何年ぐらい前ですか?
- 佐藤
- 10年ぐらい前です。
手づくり市からのスタート
- SOUQ
- そのときは、「ハコイチ」はもうやってたんですか?
- 佐藤
- はい。ここのオーナーさんも、実は前は大阪に住まれていて。ご結婚を機に地元に戻ってこられたんですね。京都・百万遍の知恩寺の「手づくり市」のようなものをここでやりたいということで「ハコイチ」が始まりました。私も東京から福岡に来たばかりで、何かを始めたいなと思っていたので、「ハコイチ」に出店するようになりました。福岡で初めて出した手づくり系のイベントが「ハコイチ」なので、ずっと長いお付き合いです。

- SOUQ
- 福岡の手づくり系のイベントは結構あるんですか?
- 佐藤
- 今はいっぱいありますけど、当時はあまりなかったですね。
- SOUQ
- 最初は何組ぐらい出店していたのですか?
- 佐藤
- 始まった頃は10数組しかいなかったですね。でもその頃出ていた木工の家具職人さんやガラスの職人さんなど、今もみなさん活躍されています。
- SOUQ
- 今はどれぐらいの規模なんですか?
- 佐藤
- だんだん広がって、今では50組ほどが集まります。出店料も安くてスペースもそんなに広くないので、ハンドメイドをやり始めたばかりの方も、最初のトライにはいいんだと思います。
- SOUQ
- 「Sai Design」さんは、当初は出店者だったのが、いまはお店をする側に?(笑)。
- 佐藤
- (笑)。出店しだして数年のあいだは、1階に飲食店が入ってたんですけどやめられて。オーナーさんから「お店やってみる?」と言われたので、軽い気持ちで「じゃあ、やります」って。

- SOUQ
- お店を始められたのはいつぐらいですか?
- 佐藤
- 2014年ですね。
- SOUQ
- その頃からいまのようなスタイルで?
- 佐藤
- 最初はもっと全国のいろんな作家さんの作品を置いてたんですけど、4年ほど前に病気を患いまして。他の作家さんの作品を管理するのが大変になって、「Sai Design」の作品をメインに置いてます。
- SOUQ
- 店名の「RHINO(ライノー)」っていうのは、どういう意味なんですか?
- 佐藤
- 「ハコイチ」に出ていたお菓子屋さんが、先に隣にお店を出したんですけど、それが「こぐまや洋菓子店」という店名だったので、隣が熊なら動物の名前でつないだほうがいいと思って、サイの英語である「RHINO」にしました。ダジャレですね(笑)。

取材・文/蔵均 写真/桑島薫
福岡の手づくり市からブランドが発展していった「Sai Design」。次回は、作品の主流であるニッティングアクセサリーについて話をうかがいます。
Creator/Brand

ニッティングアクセサリー
Sai Design(サイ デザイン)
『 シンプルな装いに色と遊び心をプラスする 』
“糸”という柔らかい素材を用いながらも凛々しさを感じられるデザイン。
絹糸を丁寧に編み繋いで作っており、カジュアル過ぎず程よく品のあるアイテムを提案しています。