Sai Design(サイデザイン)第2回 甘すぎないニットのアクセサリー

ニッティングアクセサリーブランド「Sai Design」のデザイナー・佐藤麻依さんにインタビューする「ピックアップクリエイター」。第2回は、現在のようにニットでアクセサリーをつくるようになった経緯について話をうかがいました。
- SOUQ
- 「Sai Design」の作品は、ニットのアクセサリーがメインだと思うのですが、ずっとそういうスタイルで続けてこられてるんですか?
- 佐藤
- 前はニットとは全然関係ない紙のアクセサリーをつくってました。それは、当時バッグをつくろうとして立体の型紙を紙でつくっていたんですね。その型紙があまりにも自分がつくりたいイメージにぴったりだったので、そのまま固めてしまいたくなりまして(笑)、そのままだと大きすぎるので、アクセサリーにしたほうがいいなと思ってつくり始めました。

- SOUQ
- 固めてしまうというのはどういうことでしょうか?
- 佐藤
- テキスタイルの専門学校に通ってた学生時代、工業用の樹脂で布を固めてトルソーをつくってたりしてたので、その発想で紙を樹脂で固めてみようと。
- SOUQ
- なるほど。紙のアクセサリーはもうつくってないんですか?
- 佐藤
- 今はつくってはいませんが、まだちょこっとだけ置いてありますよ。

- SOUQ
- なるほど、言われないと紙だとわからないですね。今のニットのアクセサリーとは、テイストがまた違います。
- 佐藤
- そうですね。この多面体のオブジェを小さくした感じ。昔から多面体や立体が好きなんですよ。


紙からニットへ
- SOUQ
- 紙のアクセサリーからニットのアクセサリーに移行したのはどうしてなんですか?
- 佐藤
- 3年ほど前に病気を患って、その間に体質が変わってしまって。樹脂を触るとアレルギーでじんましんが出るようになってしまったんですよ。それでやめざるを得なくなったのと、治療中も何かしてたほうがいいということで、編み物だったらできるので、ずっとつくっていたら、性に合ったんですね。肌にもやさしいし、これがいいかなと思って、ニットのアクセサリーがメインになっていきました。
- SOUQ
- 紙からニットへと素材が変わることで、デザインはやはり変わりましたか?
- 佐藤
- まったく変わりましたね。紙のアクセサリーでは好きな多面体のデザインだったのですが、糸1本でそういう形をつくるのはなかなかむずかしい。でも、ともすれば甘くなりがちなニットアクセサリーにはしたくなかったので、ちょっと硬さのある、スタイリッシュなものをつくろうと。そういう点では、通じるものがあるかもしれませんね。

- SOUQ
- 甘すぎないニットアクセサリーをつくりたいとなったときに、どうデザインしていきましたか?
- 佐藤
- こういうのをつくりたいなというイメージは頭の中にあるので、そこを目指して編み始めるのですが、手を動かしているうちに、はっきり固まってくる部分はあります。
- SOUQ
- 「Sai Design」のアクセサリーを見ていると、単体というより、いくつかのモチーフが組み合わさって生まれてくるという感じがするのですが…。
- 佐藤
- そうですね。一つのものができたらそれを発展させていって、また別のものができたら、それを発展させていってという繰り返しですね。
丸が美しいニット
- SOUQ
- モチーフは丸が多いですよね。
- 佐藤
- 多いです。編み物自体がループになっているので、丸がつくりやすいというのはあるんですよ。四角をつくろうとすると、それがきれいにできないことが許せない(笑)。

- SOUQ
- 色はどのように決めていってるんですか?
- 佐藤
- 色みは、病気する前はド派手なやばい感じだったんですが(笑)、お休みしている間に大人になったので、落ち着いてきました。でも本当は、蛍光色とかカラフルなものが好きです。
- SOUQ
- 今着けてらっしゃるイヤリングはシックですもんね。
- 佐藤
- そうですね。販売するときはこれぐらい落ち着いた色のほうがいいみたいです(笑)。
取材・文/蔵均 写真/桑島薫
紙からニットへ、素材は変われどキリッとしたスタイリッシュさは変わらない「Sai Design」のアクセサリー。次回第3回は、ご自身で手を動かしているというニットの編み方について話を聞いていきます。
Creator/Brand

ニッティングアクセサリー
Sai Design(サイ デザイン)
『 シンプルな装いに色と遊び心をプラスする 』
“糸”という柔らかい素材を用いながらも凛々しさを感じられるデザイン。
絹糸を丁寧に編み繋いで作っており、カジュアル過ぎず程よく品のあるアイテムを提案しています。