左京泰明 第2回 渋谷区民の“よろず相談所” | SOUQ ZINE スークジン

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左京泰明 第2回 渋谷区民の“よろず相談所”

左京泰明 第2回 渋谷区民の“よろず相談所”
渋谷の街を大学のキャンパスに見立てて、ヒト・モノ・コトを再発掘して編集していくNPO(特定非営利活動法人)「シブヤ大学」。第2回では、シブヤ大学が継続できた理由について学長である左京泰明さんに尋ねました。
SOUQ
シブヤ大学が13年間も継続できた大きな理由は何なのでしょうか?
左京
“人”ですね。
SOUQ
人ですか?
左京泰明
左京
人との出会いやつながりがなければ何ひとつ実らないのが、シブヤ大学の特徴でもあって。大学と名はついていますが、学生証があるわけでもないし、学位が取れるわけでもないので。場所を貸してくれる人、先生をやってくれる人、生徒として参加してくれる人、そういう人たちがいたのでこれまで続けてくることができました。
SOUQ
継続的に人が参加できるように工夫したことはありますか?
左京
特別なことは何もしていないと思います。ただ、渋谷区で運営しているという地域性はとても意識していて。信頼関係の積み重ねのなかで実現できていることが多いので、悪い評判が立つようなことは絶対にしないように心がけています。

経済的な利がないからこその関係構築

SOUQ
信頼関係を積み重ねてきたからこそ、今があると。
左京
一般的なビジネスとは異なり、経済的に利がある関係性ではないんですよね。自由意志のもとで一緒にやっていけるか。それがすごく重要です。その関係性って目に見えないし、数字として表示できるものではないじゃないですか。だから、下手をするといつの間にかいろんなことがうまくいかなくなる可能性もあるわけで。
左京泰明
SOUQ
信頼が積み重ねることで想像以上のことも起きていますか?
左京
そうですね。最近は、日本各地にシブヤ大学のようなNPOが生まれ、ネットワークが築かれています。また、海外からの視察や連絡も少なくありません。韓国のある自治体とは協定を結ぶことになりました。そういった繋がりが生まれたことは、設立当初からは考えられなかったことですね。そういう広がりの一方で、今も昔も一つひとつの取り組みをきちんと事業として運営することにはこだわっています。これまでに実施してきた授業数は1300以上、それに比例して先生や生徒の数も増えました。また、授業の数を重ねるなかで区民との関係性も変化していると思います。
SOUQ
といいますと?
左京
区民の方々だけでは手が足りていない部分を、シブヤ大学がサポートする形で取り組む機会が増えています。例えば、恵比寿駅のロータリーで商店街などが主催する盆踊り大会が毎年開催されているのですが、担い手がいないということでシブヤ大学に相談があり、以降10年くらい運営のお手伝いをしています。現在の来場者数は5万人を超えているそうです。
SOUQ
5万人!
左京
また、恵比寿ガーデンプレイスの周年イベントもシブヤ大学としてお手伝いしています。「地域の方に喜ばれるイベントにしたい」ということだったので、あえてガーデンプレイスだけのイベントにとどまらないよう、「恵比寿文化祭」と名付けました。そして、音楽やダンスなどの発表の機会がなかなかない区民の方々に参加を呼びかけることで、win-winな関係も生まれる。結果として、恵比寿全体を巻き込んだ地域イベントになりました。

渋谷区民が困ったときの相談相手に

SOUQ
そうしたアイデアは普段から考えているのですか?
左京泰明
左京
なかには考えてやっていることもありますが、基本的には出会いのなかで偶発的に出てくることが多いですね。いろんな関係者がいるなかで、相手方のやりたい気持ちとシブヤ大学でできることがマッチしなければ実現できませんから。
SOUQ
お互いの機運が高まっている状態がベストなんですね。
左京
そうですね。自分たちはシブヤ大学を「よろず相談所」のような立ち位置で考えていて。困ったときの相談相手として、我々の団体が頭に浮かべばいいですよね。
SOUQ
そういう良好な関係を築くために意識していることはありますか?
左京
僕はうわべだけの会話というものがすごく苦手で、交流を目的とした場には一切いかないんですよ。その一方で、例えば区役所の方々や、地域で色んな活動をされている方、情熱を持って仕事に取り組まれている方とお互いに「何か一緒にできることはないか」と思いながらご飯を食べたりするのは大好きで。濃い人付き合いをするようには心がけています。もちろん、すぐには形にならないことも多いのですが、どこかのタイミングで芽が出ることもあるので、気長に待つようにしています。

取材・文/村上広大(EditReal) 写真/東泰秀

【次回予告】
信頼関係を積み重ねて、活動の幅を広げてきたシブヤ大学。第3回では、未来についてお聞きします。

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