左京泰明 第4回 これから取り組む課題 | SOUQ ZINE スークジン

左京泰明 第4回 これから取り組む課題

左京泰明 第4回 これから取り組む課題
シブヤ大学の学長として、これまでさまざまな活動に取り組んできた左京泰明さん。インタビューの最終回では、現在の渋谷が直面している改題と、それに対してどのような取り組みを行おうとしているのかをお聞きしました。
SOUQ
渋谷のこれからの課題と、それを解決するために取り組もうと考えていることはありますか?
左京
これから渋谷区の地域社会が向き合うべきテーマとして、子どもから高齢者、子育て中の保護者や障がい者など、如何に地域ぐるみでお互いを見守り支え合う状況を作っていくかという、いわゆる「地域共生」というテーマがあると考えています。特に渋谷区のような都市部の特徴である、町会や自治会といった既存の地域コミュニティに参加する人の割合の低さや流動性の高さ、昼間人口の多さなどの特徴を踏まえた上で、如何にそれを具現化していくかということはまだまだ未開拓の分野だと思います。
SOUQ
都会の華々しい一面の裏には深刻な課題があるわけですね。
左京泰明
左京
はい。現在は、さまざまな場所に足を運びながら、新しい仕組みを再構築できないか考えています。

地域の人が集まれる場所をもっと身近なところに

SOUQ
具体的に考えていることはありますか?
左京泰明
左京
地域の中にもっと誰でも気軽に立ち寄れる場が必要だなと。例えば、その参考の一つにしているのが世田谷区で取り組まれている「地域共生のいえ」という仕組みです。
SOUQ
地域共生の、いえ?
左京泰明
左京
建物のオーナーが自己所有する建物の一部、あるいは全部を地域の人々と共有していく取り組みで、一般財団法人世田谷トラストまちづくりによる支援事業の一環として行われています。近年、行政サービスの利便性の向上やコスト効率化の観点から、新しい公共施設は、交通の要所となる駅の近くなどに様々な機能を集約しながら整備されています。しかし、地域コミュニティにおける人と人のつながりを育むという目的を重視した場合、電車やバスに乗って足を運ぶ場所というより、徒歩や自転車のような日々の生活圏内に気軽に立ち寄れる場所がある方が都合がよいのです。ところが実際には、地域の中に中々そういう場所がありません。
SOUQ
動き出しているプロジェクトがもう?
左京
はい。渋谷区の北西部、笹塚にある「笹塚敬老館」という公共施設が2019年6月末で敬老館としての使用を終了するということを知り、元々検討されていたエリアマネジメント事業の一環として引き続き建物を維持してもらうように行政に提案しました。笹塚という地域は昔ながらの商店街があり下町的な雰囲気や文化が残る一方で、都心で働くために新たに移り住む人も多い、まさに渋谷区がまちづくりのコンセプトにしている「ダイバーシティ」な地域です。そんな笹塚という地域が、住みたい街、住み続けたい街になっていくためには、経済的な側面での開発だけではなく、生活面、もっというと地域ぐるみでの地域福祉の充実を目的としたまちづくりを行っていく必要があると考えています。そのような仮説の元に、敬老館としての役目が終わった後、7~9月の期間を活用して地域における新たな地域福祉の拠点づくりの実証実験をしたいと思っています。どういう人たちがどんな目的で訪れることになるのか。渋谷区としても前例がない取り組みになるので、僕も楽しみにしています。
SOUQ
どんな結果がでるのか楽しみですね。
左京
具体的には、コミュニティ・カフェのような機能を軸に据えながら、子育てから高齢者まで、従来縦割りになりがちな施策や互いの関係を、その拠点をハブとして横断的にネットワークできないかと考えています。地域の中では既に何年も前から、子育て支援、高齢者福祉、障がい者福祉などといった分野で精力的に活動されている団体や委員の方々も大勢いらっしゃるので、そういった方々とゆるやかに連携、協力しあいながら、日替わりプログラムのようなものも出来ないかと考えています。
左京泰明
SOUQ
新しいこと生まれそう。
左京
今回の取り組みは、スタートアップ企業などで行われる、プロトタイピングなんです。短い期間ではありますが、きちんと実行の結果を見定めて、地域のニーズが確かに存在し、運営のスキームが見えた時には行政に対し本格的な事業の提案をしたいと思っています。今後の地域共生のまちづくりという部分はもちろん、老朽化などで機能を終えた公共施設の暫定利用などにも応用できるかもしれないし、空き家の活用などにも活かせるかもしれない。そんな風に、一石何鳥にもなることを想定しながら、広く関係者に呼び掛けています。

渋谷が変わるから、日本が変わる

SOUQ
そこまで渋谷という街に入れ込むのはどうしてなのでしょうか?
左京
理由はふたつあって。ひとつは渋谷区で、それぞれの分野でがんばっているみなさんに共感しているから。区役所の職員、高齢者福祉、障がい者福祉に関わる人たち、町会長さんや商店会長さん。さまざまな立場の人がいますが、自分はどの分野の専門家でもないし、それぞれが直面している問題に日々コミットすることもできない。だからこそ、そういう人たちを全力で応援できれば、その先にいる人たちの幸せにも繋がるかもしれないなと思うんです。
SOUQ
力になりたい!という思いですね。
左京泰明
左京
もうひとつは、渋谷という街の影響力です。渋谷が変わると他の街にも影響を与えることができると考えています。例えば、同性パートナーシップの制度が渋谷で出来たことで、今では約20の自治体に広がりました。そんなふうに渋谷が率先して取り組むことで、ひとつの標準のカタチができるので、様々な地域に良い影響を波及できるんじゃないかなって。そうすると、いろんなことが夢物語で終わりにならない気がするんです。0から1を作る。仮に1まで行かなくても0.5まで出来て、その結果やプロセスを共有することで、社会全体が変わっていくことがあると思うんです。

取材・文/村上広大(EditReal) 写真/東泰秀

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