更科有哉 第2回 各地にヨガの教えを届ける〝旅する〟日常

アシュタンガヨガの実践者、指導者として全国で活躍している更科有哉さんにフォーカスを当てた、今回のスークインタビュー。第2回のテーマは、更科さんの旅するような暮らしについて。いわゆる旅行とはちがい、明確な目的を伴った彼の「旅」について、お話をうかがいました。
- SOUQ
- 更科さんは、毎年、ヨガの本場であるインドにも足を運ばれていますよね。
- 更科
- そうですね。アシュタンガヨガの総本山が南インドのマイソールというところにあるのですが、そこが年に1回、修行の門戸を開くタイミングがあるので、それに合わせて滞在しています。僕の活動の年間スケジュールも、インドに行くタイミング次第で調整をしているんです。

- SOUQ
- 本場で学ぶことが重要っていうことでしょうか?
- 更科
- そうですね。初めてインドを訪れたのが、2007年。ヨガを本格的にはじめてから、年数的にはまだ浅かったのですが、何でも一番を見ておきたいと思うタイプだったので。でも、今振り返っても初回に本場で受けた衝撃は大きくて、その時に思い切って行って正解でしたね。
世界中から集まるヨギーたちに触発されて

- SOUQ
- 初めて訪れたインド修行で印象的だったのは、どんなことですか?
- 更科
- そのマイソールの総本山には、全世界からヨギーがやってきます。そういう方たちの朝ごはんを一緒に食べたり、プールに行ったりする中で、彼らのライフスタイルや食生活を知ったり、ヨガへの取り組み方に触れることができたのが大きかったですね。彼らは本当に真面目で厳格で、超本気。きちんとセルフコントロールもできていて、すばらしいなぁと。

- SOUQ
- ヨガを実践している人たちとの触れ合いがあるんですね。
- 更科
- そうなんです。彼らは本当にやさしいんですよ。その考え方に感銘を受けました。
- SOUQ
- インド初回と2回目以降では、またちがった発見があったのでしょうか?
- 更科
- 2回目は、半年たっぷり滞在することができました。毎日ヨガ漬けの日々でしたね。
- SOUQ
- すごい。もうインドに住んでいる感じですよね。
- 更科
- そうですね。そのつもりで東京の家も引き払って行きましたから。物価が安くて200円くらいあればお腹いっぱい食べることができるんです。インドはフルーツも美味しいですし、当然カレーも絶品。僕はカレーが好きなので、毎日でも全然平気で。

- SOUQ
- 絶品カレーいいですね!半年も滞在すると、身体も気分も全てリセットできそうですね。
- 更科
- そうですね。帰ってきたときは、お金も全然なかったですけどね(笑)
計画的に各地を回り、練習も手を抜かない

- SOUQ
- インドを訪れたり、日本国内をワークショップをしながら巡ったり。更科さんの日々は、旅と暮らしが近いところにありますね。
- 更科
- そうかもしれませんね。今でも年に2、3ヶ月は車でいろいろな地域におじゃましてワークショップしています。もうかれこれ日本国内を9周しているんです。
- SOUQ
- 9周ですか!!すごいですね!!
- 更科
- 最初は、2回目のインドから戻って来てすぐでしたね。友達が声をかけてくれて、小さな1トントラックで3ヶ月くらいかけて日本1周したんです。昼間はヨガのワークショップをして、夜はトラックのホロの中で寝泊まりして。
- SOUQ
- おぉー、なんか冒険感ありますね!

- 更科
- 楽しかったですよ!そうやって毎年回っていく中で、ネットワークも広がって、地方の方にワークショップで呼んでいただけるようになって。今年のゴールデンウィークも群馬から青森まで行かせていただきました
- SOUQ
- 今年は、またどちらか行かれる予定はあるんですか?
- 更科
- 呼んでいただいたら各地にいくつもりですが、今年は自分の練習に集中しようと思っているんです。
- SOUQ
- それはまたなぜですか?

- 更科
- ここ最近、あらためて練習しなくちゃいけないと思っていて。今の課題をクリアするには、まだまだ鍛錬が必要なんですよ。来年は、また日本1周をしようと思っているんですけど、その前に一度、自分の練習に集中しようと。
- SOUQ
- なるほど、そういうタイミングっていうことですね。
- 更科
- 目標を決めないといつまでも先延ばしにしちゃいますからね。
- SOUQ
- 確かに、なにか目標を定めた方が取り組みやすいですし、モチベーションがあがりますよね。

- 更科
- ヨガには完成とゴールっていうのは存在しないんです。それだけは、わかっています。でも、今までサッカーとかいろいろ中途半端だっただけに、ヨガだけは真面目にちゃんとやるって決めているんです!
取材・文/内海織加 写真/東泰秀 衣装協力/alo yoga
通常、「旅」は、非日常であり特別なものであることの方が多いかもしれません。しかし、彼の場合は、あくまで日常の一部であり、旅と日常は限りなくシームレス。そういう意味で、更科さんは本当の「旅する暮らし」を実践しているように感じます。次回は、更科さんのライフスタイルと日頃から意識していることについてお話をうかがいます。