「セッセ」リニューアルの舞台裏、話します。 | SOUQ ZINE スークジン

「セッセ」リニューアルの舞台裏、話します。

「セッセ」リニューアルの舞台裏、話します。
9月19日、うめだスークの南街区にある「セッセ」がリニューアルオープンしました。うめだスークが6年前に誕生して以来の大幅なリニューアルとなります。手芸にまつわる素材や道具、アイテムがそろうここでは、どのように売場が変わったのか? 今回、仕掛け人となったのが、ニードル作家でファッションデザイナーの岩切エミさん、阪急うめだバイヤーの河上真枝、北村智子の3人の女性。今回のプロジェクトが、どのようにして進められたのか、リニューアルオープンの当日、3人に集まって話してもらいました。
北村
やっとこの日を迎えましたね。
岩切
前に比べて、ずいぶんと開放的で風通しがよくなったね。
河上
これまでは、手づくりをする人は落ち着いた空間を好まれるだろうなということで、サロンのような売場づくりをしてたのですが、もう少しフラッと寄って自然に回れるような会場をつくろうと、岩切さんにアイデアをお願いしました。
岩切
私がメンバーに入れてもらったのが4月だったよね。もうドキドキして、できる?本当にできる?みたいな(笑)。プロジェクトはすごく壮大だから、間に合うだろうかって。
セッセ「セッセ」のセンターにあるアトリエは、小屋が3つ建っているイメージです。作家、クリエイターが訪れたり、販売員が商品を説明しながら売ったりも。
河上
もう岩切さんのおかげです。おもちゃ箱をひっくり返したようないろんなアイデアで素材が光ってくるし、買いたくなっちゃう売場づくりができました。岩切さんに惚れ込んで、引っ張り込んでよかったです!
岩切
百貨店で、こうやっていろんなメーカーさんとお付き合いして、自主編集でまとまった手芸売場を持っているのは、今は日本中でここしかないのよね。だからここがなくなったら、日本の手芸業界が衰退してしまうってぐらいに思ってますから。今回、チームセッセの一員になれたのは、ほんとにうれしかったです。
北村
そう言っていただけるとありがたいです! 岩切さんは、テレビに出演されたり、全国にファンも多いですが、手芸の世界の今って、どのように感じてらっしゃいますか?
岩切
手芸って、今までは教室で成り立っているところがあって。同じものを作ることで組織化、グループ化といった動きがあります。手芸がビジネスになって、教室が生まれてキットが生まれて。それはそれで技術を磨くという意味でとても大事だと思うんです。でも、つくることの初めの一歩で考えたら、もう少し個人的な一歩で始まってもいいのかなあって。
セッセ河上バイヤーが着用しているネックレスは岩切さんの作品のラバーコードネックレス
セッセ新しくできた「セッセギャラリー」では、週替わりで作家さんの作品を展示しています。「本物を見てもらうことは大事。それにふれてもらって、自分で始めてもらうきっかけになれば。」
河上
日本の手芸というのは、昔は女の人が外に出て行かないで、家族のためにする実用的な行為としてある、と言われてた時代もあったんですね。それがジェンダー差別だということになって。なんで女だから手芸をしなければならないんだ、エイエイオーみたいなことが一時期あったり。
岩切
ウーマンリブ運動ね。家事としての手芸から趣味としての手芸に変わってきたよう。
河上
自分の感覚を活かせて、楽しんでつくってくれたら、とてもいい時間になるのになあと思います。
岩切
日本の手芸の技術はすごく発達してるね。例えばパッチワークやトールペイント、ビーズなど世界的に評価される時代を経て、戦後70年ですごく成長した。手仕事が育つということは、文化がある時代ということなんだと思います。
セッセ
セッセ
セッセ岩切さんがプロデュースしたコーナー。「キャンパス地にイラストを描いていて。そこに刺繍や糸、ビーズなどを施して、自分仕様にアレンジしていきます。キットというよりはアイデアパックみたいな感じかな。」と岩切さん。
河上
日本の文化の一つとしての手芸をお客様に分かってもらえるように、学校や文化教室ではなく、百貨店が通訳しなければならないカテゴリーとして、1993年にセッセが生まれました。そしてそれを大切にしながら進んできました。冷蔵庫にどんなおいしそうな肉や魚があっても料理の仕方がわからなければ、テーブルには並ばないですからね。
岩切
冷蔵庫に入れているうちに腐らせてしまったりね(笑)。そういえば、最近、魚は切り身で泳いでいると思っている子どもがいると言われてるよね。
北村
それ聞いたことあります!
岩切
同じように、ボタンが取れたら機械が勝手にボタンをつけてくれると思ってる子も多いんじゃないかな。そうじゃなくて、糸と針を使って縫うということを知っててほしいと思います。
河上
料理でも、確かめてやって自分なりのおいしい味ができたらすごく嬉しくて、幸せなことだと思うし。男性も小さい子も、糸と針を持つということは素敵だと思うんですよね。そこを私たちが伝えていきたいですね。手芸用品ってなくても全然困らないものだと思うんです。だけどそれをあえてご提案させていただいて、ちょっとやってみるのもいいかなと思っていただける場になればいいかな。そのために新しいお店も入れたんだよね?
北村
はい、そうなんです。もともと「セッセ」は“縫う”“編む”“刺す”という大きなコンセプトがあったんです。縫うは生地、編むは毛糸、刺すは刺繍の売場という大きなくくりがあって、そこにもう一つプラスしたいなあと思って、アクセサリーパーツのコーナーをつくりました。
セッセ
セッセ九州を拠点にし、関西初出店アクセサリーパーツショップ「Dua」。「いろんなアクセサリーパーツを置いてます。いろいろ組み合わせて、この場所ですぐつくることもできますよ。」
岩切
アクセサリーをつくる若い子も増えたもんね。
北村
そうなんですよ。あと、ボタンというと通常は洋服につけるものだけど、それをアクセサリーに加工したらどうなるんだろう? と手を加えることでもっと楽しいことがあるよというのが実感できる、ボタンのお店にも入ってもらってます。一つのものでもいろんなものに使えるということが伝わればいいですね。
セッセ
セッセこちらも新店「kususu」。オーナーがヨーロッパ、アジア、日本、世界各地から買い付けてきたボタンが約2,000種類そろいます。ボタンを使ったアクセサリーも自由自在。加工もオーダーもできて、ピアスやイヤリングなら900円(税込)~のお手頃価格でオリジナルアクセサリーがつくれます。
河上
毛糸とか刺繍糸をただ買いに来るというのではなく、それを組み合わせると、またいいものができるというのをお客様にも感じてほしい。手を加えたりいろんな素材を加えることによって、自分なりにふっと笑えたりだとか、家族や友達に自慢したり。そういう楽しみを提案して広げていきたいですね。
岩切
あそこには、楽しいものがあるよねとか。
北村
新しい発見があるよとか。
河上
ちょっと時間が空いたから、寄ってみようかなと思ってもらえる売場にしたいですね。
岩切
週末には作家さんのミニアトリエを開いたりするしね。
北村
ワークショップもやります。たまたま遊びに行ったら楽しかったって思ってもらえたらいいですね。
岩切
大人になると、遊ぼうと思ってもなかなか遊べないからね。刺繍とか編み物とか、ひとつツールがあると、そこで悩みを相談したり、いろんなことをお話しできる。そういう意味で手芸ってすごくいいと思うんですよ。私なんかも、ワークショップで、「手は動いてないよね、動いているのは口ばっかりだよね」とか言って、みんなで一緒に楽しくしてるし。新しい刺繍の方法を教わったら、みんなに教えたり、手芸の輪が広がっています。
セッセ
河上
岩切さんたちによって、そんなコミュニケーションが生まれてくることで、うめだスークといういろんなクリエイターが集まってくるフロアに必要な手芸の売場になればとも思います。ミシンの使い方なんかでも、クリエイターさんに、ミシンのプロが教えるワークショップ企画などもつくれたらいいねとか。あったかい感じでフレンドリーな売場になればいいなと。
北村
これからです。
岩切
売り場は育てるものですから!

取材・文/蔵均 写真/桑島薫

Creator/Brand

E.I(岩切エミ)

手芸作家

E.I(岩切エミ)

「手仕事」、「リメイク」をコンセプトにしているアクセサリーブランド。

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