大阪文化服装学院の学生が手掛ける「sitto」のこと | SOUQ ZINE スークジン

大阪文化服装学院の学生が手掛ける「sitto」のこと

大阪文化服装学院の学生が手掛ける「sitto」のこと
うめだスークで行われるイベントやプロジェクトの裏側をリポートする「プロジェクトストーリー」。今回は、2019年3月6日(水)ー3月12日(火)にお目見えするライフスタイルショップ『sitto』を紹介します。

2014年から毎年、うめだスークでは大阪文化服装学院の学生たちとのコラボレーション企画が行われています。「sitto」もそのひとつで、ブランド企画やショップ企画を学ぶブランドマネージメント学科の2年生によるセレクトショップが期間限定で登場。開店までひと月半を切った1月下旬、ブランドマネージメント学科のなかでも本企画を主導するショップ開発コースの授業に潜入。学生たちに話をうかがいました。

sitto阪急宝塚線三国駅前にある大阪文化服装学院の学び舎
sitto
sitto

“嫉妬”は“憧れ”の裏返し

「sitto(=嫉妬)」という店名は、お店のコンセプトでもあると、店長でありMD(マーチャンダイジング)担当の李起林(イ・キリム)さん。「嫉妬という言葉は悪いイメージに取られるかもしれませんが、僕らは憧れの裏返しとしてポジティブに捉えているんです。阪急百貨店は大人の女性、特に年配の女性のお客様が多い。そのお客様たちが何を求めているかを考えていたときに、50ー60代女性のミューズであるリンダ・ロダンを見つけて。まずは彼女をロールモデルにして、“エイジレス”という価値観に注目しました」。

sitto「sitto」の店長を務める、李起林(イ・キリム)さん。

若さへの憧れ、大人への憧れ

エイジレス、つまりは年代の垣根を取り払うこと。「大人は若さに憧れを持つ。でも、19ー20歳の私たちも大人に対する憧れがある」と話してくれたのは、副店長の髙﨑美優さん。

sitto李さんと共にMDの役割も担う、「sitto」副店長の髙﨑美優さん。

プロジェクトを始めるにあたり、コース生みんなで阪急うめだ本店の全フロアを調査。その際、2ー3Fの客層は同年代の若者が多いけれど、うめだスークエリアは30ー50代が中心だと気付いたそうです。「スークのお客さんに受け入れられるものは何か?と考えつつ、若い子たちもスークに引っ張れたらいいよね、という話をして。年配の方にはちょっと勇気をだして付けてみようかな、と思ってもらえるものを、若い子には背伸びして付けてみたいなって思えるものを。それも身に付けていると、まわりの人に「それいいね!」って嫉妬されるような、魅力的なアイテムが揃うお店にしようと」。

sitto「“嫉妬”を空間全体で表現するとブルーなイメージになってしまうから(笑)。店内はドライフラワーを飾り付けした温かみのある雰囲気に」と、VMDチームはディスプレイを思案中。

ハンドメイドのナチュラルエレガンス

李さんや髙﨑さんが率いるバイイング&MDチームは、仕入れブランドの選定の真っ最中。「sitto」ではプロデューサーコースの学生が手掛けたアイテムも一部販売するが、大半はブランドから仕入れる商品。ハンドメイドのアクセサリーや、ナチュラルエレガンスを意識した衣類、コーディネートに温かみや楽しさを添える小物などファッションアイテムの他、雑貨も取り扱う予定だそう。バイヤーは希望ブランドに直接コンタクトを取り、商談の上で仕入れをおこなう。2月には韓国へ買い付けにも行くそうで、「sitto」には国籍問わず多彩な生活アイテムが勢揃いするようです。

sitto
sitto

ブランドマネージメント学科の授業の一環として、進められているこのプロジェクト。教室ではバイイング&MDの他、チラシづくりやSNSでの発信などを担当するPR・販売促進、店内ディスプレイを手掛けるVMD(ヴィジュアルマーチャンダイジング)と、3つのチームに分かれて作業が進められています。

sitto
sittoチラシのメインビジュアルは、心の中に渦巻く嫉妬の感情を表現。

社会のリアルを学ぶ場所

学科長であり担当教員の榎原寛さんいわく、「基本的には放置プレイ」。学生自らが考え、ひとつの店をつくり上げることを大切にしていると言います。「行き詰った場合はアドバイスします。それから、たとえば『イメージのために照明を極端に暗くしたい』なんてトンチンカンなことを言ったら、それはダメ!と。常識を教える。百貨店でお店を企画運営する、こうした業務を体験することで、彼らは世間の厳しさを知ることができる。予算や売上目標を定め、売上をとるためには誰が店頭に立つべきか、というリアルな話もします。学生のうちに失敗し、社会に出たときに成功してくれれば、という考え方なんです」。

sittoブランドマネージメント学科の学科長であり、プロジェクト責任者の榎原寛先生。

ふだんと違うスークの表情

「学生が実際の社会に触れる機会になれば」と、うめだスークで始まったこの取り組みは今年で6回目。うめだスークのバイヤーであり、本プロジェクト担当の林容は、学生たちから「sitto」についてのプレゼンテーションを受けた際、「これはスークのお客さんにフィットする」と直感しました。

sitto大阪文化服装学院とのコラボ企画を担当するうめだスークのバイヤー・林容。

ただし、1点だけ不安があった。それは価格帯のこと。学生たちは、イヤリングやリングなど取り扱うアクセサリーは5,000円以下と想定していました。「スークへ来られるお客様は、ご自身の感覚をお持ちで、目の肥えた方が多い。いわば、お買いもののプロのような50ー60代の方が中心です。そうしたお客様が『sitto』の商品を見たときに、商品の価格が安いために“じぶんのワードローブにはフィットしない”と思われることがあるかもしれないと感じたんです」。

sitto
sitto

日頃からうめだスークの現場を知る林は、自らの感覚を学生たちに伝えながらも、「僕の意見が正解とは言いきれない」と、彼らの発想や方法を崩すことは決してしない。「特に今回のような1週間限定のイベントであれば、彼らの同年代のお客さんが来てくれて、ふだんのスークより手頃なアイテムが売れることだってありうるので」。

sitto
sitto

通常、うめだスークに出店するクリエイターは、少なくとも10年前後のキャリアを持つプロが中心。学生が運営に携わるこのプロジェクトは異例で、ゆえに「ふだんと違うスークの表情になるはず」と林さん。空間やディスプレイを含め、大阪文化服装学院の学生たちがつくる「sitto」はどんな世界が広がるのでしょう。どうぞご期待ください!

取材・文/村田恵里佳 写真/岡本佳樹

Recommend Magazine

おすすめの記事

Browsing History

閲覧履歴