花を添えて贈るうれしさ。Som Barniile(サンバーニル)のカードとテキスタイル

「Som Barniile」は2019年にプロダクツを開始したばかりのフレッシュなブランド。デザイナーは、美術大学を卒業後、横浜の染工場で捺染の仕事をしたり、イギリスではアパレル会社で洋服の服地をプリントする仕事に就くなどの経験を経て、2016年ごろからギャラリーなどで作品の展示を始めるようになります。

「ギャラリーではアートピースとして展示をしていたのですが、もう少しみんなに気軽に使ってもらえるようなものができたらなと思って、2019年の6月から商品として販売するようになりました」。
ブランド名の「Som Barniile」とはデザイナーが考えた造語です。
「自分にしか意味がわからないのですが、楽しく絵を描くという初心に戻れる言葉なんです。小さいときから絵を描くのが好きで、そのときの気持ちを忘れないようにって」。

小さい頃は、水彩や鉛筆でスケッチをしたり、想像を働かせて描いていたそう。「Som Barniile」のアイテムの題材は花ですが、その頃からそうだったんでしょうか?
そのときそのときで描きたい
「小さいときは特に花だけということはなかったですね。横浜やイギリスでテキスタイルの仕事をやってきて、花柄が一番かわいいなと思ったのと、やっぱり自分自身がお花がすごく好きで、自分が好きなものだけを描いていこうと思い、「Som Barniile」では花だけを描こうと決めています」。
花にもいろいろ種類があると思いますが、好きな花や描きたい花などはあるのでしょうか?
「個人的に好きな花は、いっぱいありすぎて(笑)。「Som Barniile」では、ビオラを描くことが多いかもしれませんね。でも、この花を描くぞと決め込むのではなく、お花屋さんで見て描きたいなと思った花や植物とか、そのときそのときで咲く花も違うので、いろいろ描いています」。

ブランド立ち上げ時には、ハンカチやストールの布ものからスタートした「Som Barniile」。ナイロンやポリエステルなどの化学繊維は、「Som Barniile」が採用している方法では染めることができないので、麻やシルク、ウールなどの天然素材を使っています。

布には直接筆や刷毛で花を描いているそう。横浜の染工場やイギリスのアパレル会社で布の染色やプリントに携わっていたこともあり、やはりテキスタイルの作品をメインに制作をしていきたいのでしょうか?
「作品をイラストレーションとして見ていただけるとうれしいです。布だけではなく、紙だったり、ガラスだったり、陶器だったり。花の絵が生きる場を広げていきたいなと思います」。

プレゼントを「Som Barniile」のテキスタイルでラッピングされて贈られると、とてもうれしくなりそうです。
「花束と違って、これだと花がずっと残りますもんね。バレンタインや送別会などで、そうやって贈り物をしていただくとうれしいです」。

イギリスっぽいメッセージカード
贈るということでは、「SomBarniile」のメッセージカードも、プレゼントに添えるのにぴったりな素敵さです。
「メッセージカードをつくろうと考えていたときに、もらったときに絵のように受け取ってもらえたらいいなと思って。一枚の絵として飾ってもらってもいいと思うんですよね」。

二つ折りのメッセージカードは、裏側は白地のものが多い気がしますが、「Som Barniile」のものは、表の花の絵にぴったり合うニュアンスカラーがより上質さを醸し出しています。
「裏の色、かわいいでしょ?(笑)。色の組み合わせをすごく考えて、こだわって決めているんですよ。手にとっていただく方の中でも、イギリスにいた方などはこれを見て、『あっ、イギリスっぽいね』とおっしゃいます。向こうでは、誕生日とかがあるとメッセージを書いてくれたり、日本よりもカードを贈る習慣がありますね」。
正方形というプロポーションもメッセージカードとしては珍しく、よりかわいさが増すように思います。
「いちばん最初の展示会をやるとき、正方形のDMをつくったんですけど、それがかわいくできたので。送ってもらったときに、何も見えないよりはちょっと中が想像できるような感じにしたくて、トレーシングペーパーの封筒をつけています。お花の切手なんか貼って出したらかわいいかも」。

水彩で描いた原画を元に、印刷してカードにしているそう。使っている絵具は、昔から変わらないようです。
「中学生ぐらいからホルベインをずっと使っていて。パレットもそうですね。一番自分が使いやすくて、この色はこういう感じになるというのがもう分かっているので、他の会社のものを使うよりいいかなと思って使い続けています」。

海に臨む気持ちのいい場所で暮らしながら制作をするデザイナー。身近に普通にある自然の光や植物が、「Som Barniile」の作品をますます魅力的にするに違いありません。

取材・文/蔵均 写真/東泰秀
阪急うめだ本店 10階 南街区 セッセクリエーターズアトリエ「思いにお花を添えて」
2月5日(水)~18日(火)
※最終日は午後5時終了