はじめまして! 楽しくてかわいいシステム手帳

「システム手帳の起源は1923年に設立されたイギリスのFILOFAX(ファイロファックス)社で。当初は、軍隊の将校が現場に情報を伝えるためのメモ紙としてリフィルが活用されていました。冊子と違ってリフィルは破ることなくリングから外せるし、現場でもファイリングができる。そんなシステム手帳が日本に入ってきたのが34年前です」と向井さん。
向井さんが所属する「アシュフォード」は1986年創業で、日本にシステム手帳を持ち込んだ国内におけるパイオニア。以来、国内では稀有なシステム手帳専門メーカー。’80~90年は爆発的なヒットが続きましたが、デジタルが普及し始めた2000年代は“暗黒期”に。

「2006年頃から、それまでシステム手帳を作っていたメーカーが新作を出さなくなって。だけど、うちは逃げ道がなかったこともあったけどシステム手帳の可能性を信じていたので、システム手帳をつくり続けた。やがて2016年に『システム手帳STYLE』(趣味の文具箱編集部/エイ出版社)という雑誌が出て、再びいろんなメーカーがシステム手帳をつくり始めたんですね。それまではシステム手帳=ビジネス仕様が一般的だったのに、趣味で楽しむかわいいシステム手帳が登場して、カジュアル化してきた。その皮切りが『メモリスト』さんで」。
“あったらいいな”から生まれた、遊びのある手帳
「メモリスト」の立ち上げは2017年。小さい頃から文房具が大好きだった森本百恵さんが、理想のシステム手帳をつくろうと始めました。
「システム手帳といえば、高級感のある革製で、長く大切に使っていこうという感じのものが多いですよね。でも、高校生の頃の私は、買ってちゃんと使えるかな?と思っていて。でも、バインダー機能はすごく便利。だったら、使いやすくて、デザインもかわいいシステム手帳があったらいいんちゃうかな?って」。

森本さんはその発想を着実に実現。「メモリスト」のシステム手帳は遊び心がいっぱいで、本体はカラフルでポップなデザイン。リフィルもパープルやサーモンピンク色のものがあったり、一般的なカレンダーや罫線仕様のメモだけでなく、1カ月の気分や習慣の変化を記録できる専用ページがあったり。「『メモリスト』さんのリフィルは、書くことが楽しくなるヒントがたくさん詰まっていて」と、バイヤーの駒村。ビジネス用とは異なる、趣味のためのシステム手帳の盛り上がりがあったからこそ、今回の企画が誕生しました。

「阪急うめだ本店では、これまで『文具の博覧会』というイベントを続けてきました。その中で、“自分らしい記録ノートづくり”の提案も行ってきたんですね。たとえば、旅の思い出や、毎日食べたものを記録するとか。ただ、ノートは継ぎ足したり、区切ったりすることが難しい。さまざまな事柄を1冊にまとめるには不向きで、それを解決してくれるのがシステム手帳だなって。どこからでもスタートできて、リフィルだけでなくファイルなども挟み込める自由さもあって。“好きなものを集めたノート”をつくってもらいたい、という思いもあり、今回のイベントを企画しました」と駒村。

今回は約50坪のフロアに、システム手帳にまつわるグッズが集結します。メインスペースには、女性に向けた“システム手帳の楽しみ入門編”コーナーを設ける一方で、これまでのシステム手帳のイメージを貫く“正統派”も勢揃い。本体やリフィルはもちろん、手帳づくりを楽しくするデコレーションパーツやシール、スタンプの販売、さらにセーラー万年筆による100色インクの全色試筆コーナー(!)を特設。新しくて自由なシステム手帳の使い方を体験できるコーナーも予定しているそう。
「『アシュフォード』には、“楽しいを集めるノート”をコンセプトにしたHB×WA5(以下HB)というオリジナルサイズの手帳があって。そのユーザーがInstagramに手帳の写真を投稿したりして、SNSを通した手帳好きの盛り上がりも生まれているんです。僕がシステム手帳入門者なら、みんなが実際にどうやって使っているかを見たいと思う。だから、『アシュフォード』ではInstagramにアップしてくれていたユーザーさんをアンバサダーに任命して、サンプルづくりをお願いしているんです。リアルに好きな人に徹底的に書いてもらっていて」と向井さん。



先駆者と新生のコラボ手帳を全国に先駆けて
そんな、新時代のシステム手帳上級者たちが作った“作品のようなリフィル”も、今回のイベントで展示されます。またアイテムとして注目したいのは、会場で先行販売されるアシュフォードとメモリストのコラボ手帳(MICRO5サイズ)。本体はアシュフォードによる気品漂うレザー仕様。開けば、メモリストの人気柄「トイ・パーティー」が全面に。内側は細かいレザーパーツを数々組み込みながらも、絵柄を完璧に表現した繊細な仕事が見事です。

「アシュフォードは積極的にコラボを展開するブランドではないんです。でもメモリストさんは、うち以外ではどのメーカーも製品化してこなかったHBサイズの手帳を出してくれたことがすごくうれしくて」と向井さん。
「メモリストの手帳はWAKU WAKUをコンセプトにつくっているので、『アシュフォード』さんからお話をいただいたときは、オフィスでこっそり開いてテンションが上がる手帳ってステキだなと思ったので、コラボさせていただきました」と森本さん。

「アシュフォード」×「メモリスト」のコラボ手帳“モダングレーストイ・パーティー”は、関西では阪急うめだ本店のみの販売。また、阪急オリジナルの限定アイテムとして、英国リバティ社のリバティファブリックを使ったバインダー 税込価格3,080円(HB×WA5サイズ・全8柄 数量限定)も販売されます。
「システム手帳に関するアイテムがこれだけ揃うのは初めて。紙モノを手がけるデザイナーさんによるリフィルやTO DOメモなども並びます。みなさんの気分になじむものを見つけていただいて、システム手帳を使うきっかけづくりができたらいいなと思っています」と駒村。
「ハロー!システム手帳」出店ブランド
アシュフォード
カンダミサコ
QUO VADIS(クオバディス)
11BASE(ジュウイチベース)
趣味の文具箱
ノックス
PTM(ピーティーエム)
FILOFAX(ファイロファックス)
ブレイリオ
プロッター
マークス
メモリスト
「ハロー!システム手帳」終了後には、「ハロー2020!手帳&カレンダー」と題したイベントも、うめだスークの中央パークで開催(期間は2019年10月23日~2020年1月7日)。スークによる、“楽しく記録する”ためのモノやコトの提案は続きます!
取材・文/村田恵里佳 写真/桑島薫