同じ世代&感性がコラボ、京都で生まれた布バスケット | SOUQ ZINE スークジン

同じ世代&感性がコラボ、京都で生まれた布バスケット

同じ世代&感性がコラボ、京都で生まれた布バスケット
ものづくりにまつわるストーリーやつくり手の想いにふれながら、魅力あるアイテムを紹介していく「SOUQ IT!」。今回は、京都で活動する2組のクリエイター、「ケイコロール」と「niwa(ニワ)」がコラボレーションしたブランド「多布(タフ)」の生まれたばかりのアイテムにスポットを当てます。

舞台衣裳専門の染工場・山元染工場の職人でもある山元桂子さんの「ケイコロール」、身近な事象からデザインやパターンをつくる渡邊真由さんとすずきあいさんのユニット「niwa」、2つのブランドが今回初めてコラボレーションして新たなアイテムをつくったと聞き、訪れたのは京都にある「うめぞのCAFE & GALLERY」です。

多布(タフ)

町家を生かしたカフェ&ギャラリーでは、「模様」展が開催されていて、色鮮やかな2組の作品が、仲よさげに並んで展示されていました。

多布(タフ)「うめぞのCAFE & GALLERY」の一角に並ぶ作品たち。だいたい左半分が「ケイコロール」の作品、右半分が「niwa」の作品。

「ケイコロール」は中京区壬生、「niwa 」は左京区浄土寺、共に京都市内を拠点に活動。年齢も同じぐらいの彼女たちが、一つの作品を共同でつくるようになったきっかけはどういうものだったんでしょうか?

多布(タフ)左から「ケイコロール」の山元桂子さん、「niwa」の渡邊真由さん、すずきあいさん。

「今回、初めて「ケイコロール」さんとコラボレーションしました。お互い名前は知っていたんですが、これまでは会ったことなくて。京都に工芸のディレクターをしている男性がいて、その方が個々につながってたんですよね。それで、『引き合わせたら、なんかするんちゃう?』みたいな形で出会わせてくれました」とすずきさん。

多布(タフ)

「私は染工場の職人なんで、ディレクターさんは、同年代の女性同士、職人とデザイナーが出会ったらなにかしらのコラボレーションをするだろうと思ったんと違いますかね」と山元さん。

多布(タフ)

役に合わせて染める舞台衣裳

自らを“職人”と言う山元さんが、全国でも3軒ぐらいしかないという舞台衣裳の染めを専門とする山元染工場で働き始めたのが10年前。舞台衣裳はどのようにして染められていくのでしょうか?

「衣装ということで、その役に合わせた柄の型紙が10万枚ぐらいあって。それを生地の上に乗せて染料で染めていきます」と山元さん。

90年の歴史がある会社だけあって型紙の数に驚かされますが、役に合う柄というのはどのようなものか? 山元さんが面白い話をしてくれました。

多布(タフ)

「細い縞の柄をシックな色合いで着ている人は上品なお金持ちに見えるんですよ。でも同じ縞柄でも、紺と白の2色で縞の幅の太さが変わったりすると女将さんっぽくて強そうに見える。柄は情報だから、その人っぽく見えるような型紙を選ぶんです」。

多布(タフ)

染工場で染めを学んだ山元さんは、2016年、自身のブランド「ケイコロール」を立ち上げます。

「たくさんの型を見てきて、これかわいいなとか、この型にはこういう色を使おうとか、そんな感じで作品ができあがっていきます。衣装の生地は絹とかいろいろありますが、『ケイコロール』では、小幅な綿の手ぬぐい生地だけを使っています」。

多布(タフ)「ケイコロール」の作品。手ぬぐい、トートバッグや、小さなおにぎりを入れるおにぎり袋やポーチなどがつくられています。

相性を考えてストーリーをつくる

「niwa」の渡邊さんとすずきさんは、大学の先輩後輩の間柄で、卒業してからも母校で一緒に働いていました。そのうちにいっしょに西陣でものづくりを始めます。 「『アトリエ イエ』というスタジオをみんなでシェアしていて、そこで二人で作品をつくり始めました。4年前に『家』から出たので『niwa』になったという、すごく単純なネーミングなんです(笑)」と渡邊さん。

多布(タフ)

渡邉さんとすずきさんがデザインしたものを、布や紙、陶器などの職人さんといっしょにものものづくりをしているという「niwa」。デザインをするのに、まずはストーリーから考えると言います。

「一番最初につくったのが「UMO(ユーモ)」という柄で、黒いブツブツだけの柄とか、アイスのコーンになってるようなものとかバラバラのパーツをまずつくって、それを結晶化させる。それを拡大した3柄をつくったんですね」と渡邊さん。

多布(タフ)「niwa」が一番最初にデザインした「UMO(ユーモ)」の柄。

「その結晶化も、『この人とこの人の相性はいいんじゃないか』とひっつけたり、『この人はひとりが好きそうだから、ひとりにしておこう』とか、勝手に言ってるだけなんですけど(笑)、そんな感じでやってます。モチーフを生み出してから関係性を自分たちで構築していく感じですね」とすずきさん。

多布(タフ)

まずはストーリーづくりから始めてデザインしていくという「niwa」の作品。素材的には、布と陶器、紙での展開が多いそうです。

多布(タフ)「UMO(ユーモ)」の展開の中で陶板を使った作品。

世間話から生まれた(?)「多布」

それぞれ個性的なものづくりをしている「ケイコロール」と「niwa」。ディレクターの声がけでコラボレーションをすることになりましたが、初めからすっかり意気投合したようです。

「出会ってから、今回作品ができるまで1年半から2年ぐらいかかりましたが、一番時間をかけたのは世間話ですね(笑)」と山元さん。

「3人で集まると、最初の2時間ぐらいは、こんなことあった、こんな人いたという話をめっちゃするんですよ」とすずきさん。

多布(タフ)

マーケティングにかこつけて(?)、会う時間の7、8割ぐらいは世間話をしてたという3人。お互いのブランドを理解するところから始めるために、最初の頃は、最近作品つくってる?とか、どういう悩みがある?というような話もしていたそうです。そこからコラボレーション商品「多布」として、徐々に制作に入っていきました。

「元々がお互いファッション小物に近いものをつくってるんですけど、今回、もうちょっと家の中で使ってもらえるインテリア小物をつくったらどうかということになり、桂子さんは子育て真っ最中ですし、私たちもこういうものがあったらいいんじゃないかという話をざっくりしてたんですよ。その中で布のバスケットって軽くて使い勝手がいいけど、あんまりかわいいのがないよねってなって」とすずきさん。

多布(タフ)

「働きものの布」というコンセプトで、バスケットをつくってみようということになった3人は、どのような柄がいいかを考え始めます。

「さっき桂子さんが言ったみたいに、山元染工場の型紙っていろんなキャラクターに合わせた柄が存在するんですね。年寄りの人とか若い女の人とか。そういうのをイメージしつつ桂子さんに柄を選んでもらって、世の中にはこんな人がいるよねと、ああやこうや話をしながら組み合わせをしていって、いろんな人のイメージの層をつくってできた柄なんです。だから柄の名は『段々』」とすずきさん。

多布(タフ)「多布」の布バケツにあしらわれた「段々」の柄。

「コンセプトから考えて、そこからある程度私が柄を選ばせてもらって、それをまた3人で選んで、それを渡邊さんがデザインを描いて、みたいなね」と山元さん。

柄や色、配置やバランスを決めるときに、3人が揉めることはほとんどなかったそうです。

「それはもう、『ああ、ああ、それ』みたいになるからね。ぶつかることは絶対にないですから」と山元さん。

「たまたまですけど、感性が近かったということですよね。引き合わせてくれたディレクターさんが実は企んでいたのかもしれないですけど(笑)」とすずきさん。

多布(タフ)

同じ「段々」の柄で、3種類のサイズと5種類のカラーバリエーションがある布バスケット。使う人によってさまざまな使い方ができそうです。

「使い方は自分たちで提案しつつも、逆にどう使ってらっしゃるか取材に行きたいぐらい(笑)。だからいろんな人に使って欲しいですよね」とすずきさん。

「ちっちゃいやつはペン立て的な卓上の収納にしてもらってもいいですし。MサイズとかLサイズとかだったら、壁のフックに持ち手をかけてもらってもかわいいよね」と山元さん。

「野菜とかタオルを入れてもらったり」と渡邊さん。

多布(タフ)

違う方法同士のコラボレーション

世間話で盛り上がりながら、仲良く制作をしてきたという3人ですが、違うブランド同士のコラボレーションといいうことで、苦労はなかったのでしょうか?

「なんか私は意味とかは求めずに、形とバランスの気持ちよさだけでデザインするんですけど、『niwa』さんは、もうちょっと形のないところから考えて物語的につくりはるので、違う方法同士のコラボレーションでよかったんじゃないかな」と山元さん。

「コラボレーションでもよくあるのは、私たちのデザインを工房の技術を使ってプリントしてもらうとか、技術を貸し合うとか。今回は、この3人で何をするかというと、普通にものをつくるという方向に自然に舵を切っちゃいましたね」とすずきさん。

“模様”をデザインするという意味では似たような作品にも見えますが、そのアプローチの仕方はまったく違う「ケイコロール」と「niwa」。これからも「段々」や新しい柄で、「多布」としても幅広く活動していきたいということですので、今後の展開が楽しみです。

多布(タフ)

取材・文/蔵均 写真/岡本佳樹

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