高橋晋平 第1回 おもちゃ作りの「駆け込み寺」を目指して | SOUQ ZINE スークジン

高橋晋平 第1回 おもちゃ作りの「駆け込み寺」を目指して

高橋晋平 第1回 おもちゃ作りの「駆け込み寺」を目指して
「おもちゃ」というジャンルの中で、常に新鮮な作品を生み出しているクリエイター、高橋晋平さん。身近なテーマをベースに展開する彼のおもちゃの数々は、大人も子どもも関係なく人々を夢中にさせ、遊びの中で驚きや発見に出会わせてくれるものばかり。今回のスークインタビューでは、彼のユニークなものづくりへの想いやその手法、発想の礎になっているものなどをお聞きしました。
SOUQ
高橋さんは「おもちゃクリエイター」として、数々のユニークなおもちゃを考案されていますよね。おもちゃ業界には長くいらっしゃるんですか?
高橋
大学を卒業後からずっとおもちゃ作りに携わっていますね。大手玩具メーカーに勤めていて、ジョークトイと呼ばれるアイデアおもちゃやガシャポンのプランニングを担当していたのですが、2014年に独立しました。
SOUQ
「∞(むげん)プチプチ」などヒット商品も企画されていたのに、どうして独立を?
高橋晋平
高橋
いわゆる「おもちゃ」を広義なエンタメと考えるならば、ノベルティーとしてノートを配るみたいにおもちゃを配ることがあってもいいと思いますし、今後、家電や生活雑貨などの必需品にもおもちゃにある〝遊びの要素〟を付けて差別化する可能性はあるのかなと思っていたんですね。そうなると、玩具メーカーではない企業やデザイン会社が、「おもちゃを作りたい」と考えることが増えてくるかもしれません。でも、おもちゃって、工場に出すにも具体的な指示書やデザインプランが必要だし、安全面も考えなくてはならない。作ろうとして簡単に作れるものではないんです。
SOUQ
確かに、子どもが遊ぶ時の安全面などは、とても考えられているものが多いですよね。
高橋
そうそう。でも、おもちゃを作りたいと思った時に、相談できるところってないんですよ。玩具メーカーだと少量で作ることは難しいですし、相談するにも〝気軽に〟とはいかないじゃないですか。だから、自分が気軽に相談できる「駆け込み寺」になれないかなって思って。

お題に燃え、ダメ出しに気づかされる

SOUQ
おもちゃを作るっていうニーズが、玩具メーカー以外にもあることは感じていたんですか?
高橋
いえ、実は、起業した時はニーズがあるかどうかわかりませんでした。でも、そういうことを自分がやりたかったっていう気持ちが大きかったんですね。
高橋晋平
SOUQ
プロジェクトは、基本的に依頼主ありきで進んでいく感じですか?
高橋
依頼主からの相談ではじまるものが多いですが、私の発想から進んでいく個人プロジェクトもあります。依頼主がいる場合は、なにかしらの「お題」があってスタートするんですけど、そういうものがあった方がおもしろみを感じますね。なんでも自由に作っていいよ、と言われる方が困ってしまうかもしれません。
SOUQ
そうすると、個人で進めるプロジェクトはどうやって生まれるのでしょう?
高橋
クライアントワークの企画を考えているときに、おもしろいアイデアを思いついちゃうことがあるんです。でも、提案するにはニッチすぎる。それでも、個人的にはやりたい。そういう時に自分でやるって感じですかね。だから、個人プロジェクトとはいえ、その発想も周りに助けられて生まれているんです。 個人の方では、時代の流れに乗るというより、むしろ逆をいくようなものをやりたいと思っています。でも、もしそれで新しいおもちゃが作れたら、作例にもなるのでクライアントワークの可能性も広がっていくと思います。
高橋晋平
SOUQ
クライアントワークでボツになったアイデアが、個人プロジェクトで復活するっていうことはありますか?
高橋
そういうことは、基本的にはないですね。議論してボツになったっていうのには、もちろんそれなりの理由があるものです。それをお聞きすると、「それはそうだな」って思うものばかりで。それを気づかせてもらえるっていうのは、ありがたいことだと思っています。

ユーザーと楽しさを分かち合いたくて

SOUQ
クライアントワークでは、最終ジャッジを依頼主が下すと思うのですが、個人のプロジェクトだと、「これでいこう!」っていう判断はどういうところでするんでしょうか?
高橋晋平
高橋
1000個売れるかどうか。1000人が「おもしろい!」って言ってくれるかどうか。これが、私の中でのひとつの基準になっています。1000個って、おもちゃの売れる個数としては、決して多くありません。例えば、お店に卸して知らない人に1000個売っただけでは、そのおもちゃを買ってくれた人と偶然会うことは、ほぼ不可能です。でも、1000個って、作ったものを直接自分の手で売って、買ってくれた人とコミュニケーションを取ることができる個数でもあるんです。
SOUQ
手の届く範囲で反応が見えたり感想を聞けたりする数が、1000個
高橋晋平
高橋
そうですね。1000個という数は、私が今までおもちゃを作ってきた実感として見出した数です。それ以上になると、使ってくれたひとの声を聞くことができないような売り方をしなくてはならないんです。直接売ることができると、遊んでくれた人から「すごくおもしろいね!」って感想をいただけたりします。それって、とても幸せなことだなって思っているんです。実際、おもちゃを買ってくれた人と話が盛り上がって、友達になったこともありますよ。
SOUQ
ユーザーと友達に!楽しさやよろこびを共感できたってことですね。
高橋晋平
高橋
はい、そうなんです。とても嬉しいことです。 万人に理解されてめちゃめちゃヒットするよりも、自分がおもしろいと思うニッチなものを作って、それが1000人に「すごいおもしろいね!」って共感してもらう方が、私にとっては価値の高いことです。だから、個人のプロジェクトは特に、「1000人にめっちゃ刺す!」っていう意識でやっています。

取材・文/内海織加 写真/東泰秀

ただヒット商品を出したいというのではなく、ユーザーとそのおもちゃの楽しさを共有したい、という高橋さん。そのものづくりのアイデアは、どんなふうに生まれるのでしょう。次回は、その「発想」にフォーカスを当てお話をうかがいます。

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