『ツボクラユミ』前編 イラスト×プリントから生まれた独自の道 | SOUQ ZINE スークジン

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『ツボクラユミ』前編 イラスト×プリントから生まれた独自の道

『ツボクラユミ』前編 イラスト×プリントから生まれた独自の道
今回のPICK UP CREATORでご紹介するのは、『ツボクラユミ』のクリエイター坪倉由美さん。京都にあるアトリエ兼店舗で、Tシャツやスカート、ワンピース、バッグなどにシルクスクリーンの手法を使ってご自身のイラストをプリントし、オリジナリティあふれる作品を作り続けています。どこか飄々とした雰囲気を持ったイラストや鮮やかな色彩のプリントは、どのように生み出されているのか、お話をうかがいました。

Tシャツにイラストを描いたのが、全てのはじまり。

ツボクラユミ

美術系の短大を卒業してからは、デザイン会社でデザイナーとして広告制作に携わっていたという坪倉さん。その時からイラストを描くのが好きで、「いつかこれが仕事になったらいいな」とぼんやりと考えていたそうです。その会社に3年ほど勤めた後は雑貨店に転職し、そこで転機が訪れました。 「あるときそのお店の常連さんから、お父さまへのプレゼントとして、無地のTシャツにイラストを描いてほしいという依頼を受けたんです。お父さまが自転車店を営んでいるというお話を聞いたので、自転車に乗った男性のイラストを描きました。その作業がものすごく楽しかったんです!完成したTシャツをお客さまにお渡したときもとても喜んでくださって、強く印象に残りましたね」と当時を振り返ります。

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この一枚をきっかけに、その後もTシャツに色々なイラストを描いては、5~6枚お店に置いてもらったのだそう。「そしたら、思いのほかすぐに売れたんですよ。これはもしかしたら、仕事にできるかもしれない…!」そう確信してからは、徐々にTシャツにイラストを描くことに本腰を入れはじめたといいます。

「最初は、洗濯しても落ちない布用のマーカー等を使ってイラストを描いていたのですが、それだとどうしても描ける線の細さに限界があって。 思ったような線が描けなくて困っていたんです」そこで取り入れたのが、現在の制作スタイルに繋がるシルクスクリーン。 四角い枠にメッシュ上の布(スクリーン)を張り、それを通して版の下に置いた素材にインクで刷るプリント手法です。 「しばらくは業者の方にプリントをお願いしていたのですが、実際どんな色味に仕上がるのか、できあがってみないとわからないというのがもやもやしてしまって…」 自分が思った通りの色味にするために、「もう自分でプリントするしかない!」と決意したのだそう。

独学で身につけたシルクスクリーンで、独自路線へ。

ツボクラユミ

シルクスクリーンについては、短大の授業で少し習った程度だったといいます。 「シルクスクリーンの手法自体はシンプルなので、一度覚えてしまえば案外簡単にできるものなんです。もちろん細かな技術の話になると、職人の方でないと難しい部分があるかと思いますが、製版や印刷に必要な道具を中古で揃えて、独学でやり方を覚えていきました。特に手の込んだ手法ではないので、同じようなことをする人が後から出てくるんじゃないかなと内心ビクビクしていたんですよ、、、でも意外とかぶることもなくてよかったです(笑)おかげで、ツボクラユミ独自の路線で制作活動ができています」と、今の制作スタイルに至るまでの正直な気持ちを明かしてくれました。

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そんな風に、“シルクスクリーンは簡単”と話す彼女ですが、実際の制作現場をのぞいてみると、とても真剣なまなざしで作業されていてまさに職人の顔!長年培われてきたプリント技術が、表情からひしひしと伝わってきます。

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「イラストを描くのが好きではじめたことのはずが、気づいたらプリントする作業のほうも大好きになっていました。ただ一心に生地にインクを載せていく時間が、こんなに楽しくていいのかと思うぐらい、とにかく楽しくて。一度刷りはじめると止まらなくなってしまって、ついつい刷り過ぎてしまうこともあります。こんなにのめり込むとは、自分でも驚いていますね」

「私は次から次へと、描きたいものが出てくるというタイプではありません。だからイラストを描く手が止まってしまうこともしばしば。生みの苦しみともいえるかもしれません。そんなときは、外に出かけて気分転換することもありますが、一番いい解消方法が実はプリントなんです。プリントすると、気持ちがすとんと落ち着く感じがして、そこからふっとイラストのアイデアが降りてきたりする。だから、イラストがまだ決まってないのに先にプリントからはじめることもあります」 彼女にとっていまや、シルクスクリーンのプリント工程はなくてはならないものになっているようです。

チカラの抜けたイラストにこそ、チカラを入れる。

ツボクラユミ

ツボクラユミのイラストは、見る人の心を掴んで離さない不思議な魅力があります。そこには彼女ならではのこだわりが隠されているようです。 「いかに、チカラが抜けている線になるかを大切にしています。いかにもささっと描いた線にするために、これでもかというぐらい、たくさんの線を描くんです。そうやってずっと描いているうちに、あ!きた!という瞬間が訪れます」 けれどここで、絶対に油断をしてはいけないといいます。 「このまま描き続けたらもっとよくなるかもと欲張った気持ちをちょっとでも出すと途端にだめになってしまうのが難しいところ。だから、ただひたすら降りてくるのを待つ、まるで修行をしているような感覚になりますね」

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線ひとつに、それほどの熱意を持たれているとは。けれど、今のデザインソフトの技術があれば、線を足したり消したり、他の線と差し替えたりもできそうにも思えます、、、。 「もちろんそういったことはできます。でも一気に描いたものでなく、つぎはぎしながら調整したものを製版してプリントしてみると、やっぱりよくないんですよ。すぐに飽きるというか、どうだきれいだろう!という狙った感が線に出てしまうんです。だから、できるだけ自然な線を描きたいと思っています」

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そうやって何時間もかけて生まれた線から、花やドット、数字やアルファベットなどさまざまなイラストが描かれていきます。 イラストのモチーフは、どのように決めているのでしょうか。

「そのときどきによって描きたいものを自由に描いていますが、数字やアルファベットが好きなので、モチーフにすることが多いです。でも、そこにあまり意味を持たせたくはありません。だから数字も、1からきっちり並ばないようにランダムに配置します。キャラクターを描くときも同じ。買い物かごを持って今から花を買いにいきますといったような設定が決まりきったものではなくて、なぜこんな表情をしているのか、何を考え何をしているのか、見る人にイメージを託したいんです」

さらに、キャラクターのイラストについてはこんな想いも。 「大人も着られるキャラクターにしたいので、にこにこした表情にはしません。ちょっとした憎らしさを感じさせたいんです。愛想はよくないけれど、なぜか憎めない。そんな風に思ってもらえたら」

とことんこだわっているのに、それを前面に出すことなく、逆にチカラを入れていないように見せる。坪倉さんの制作にかける想いがだんだんとわかってきました。 後編では、さらに作品作りのヒミツに迫っていきます。

取材・文/福田あい 写真/桑島薫

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ツボクラユミ

イラストレーター、プリントデザイナー

ツボクラユミ

自身で考案したオリジナルデザインを洋服やTシャツにハンドプリントを施して制作をしています。

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