うめだスークで、 初の『宇宙兄弟』コラボ企画!

『宇宙兄弟』は、雑誌『モーニング』に連載中で、単行本の累計売上が2,400万部、テレビアニメや映画にもなった作品。これを読んでインスピレーションを得たクリエイターたちの作品を中心に、全80種類の宇宙兄弟グッズが新しく誕生します。イベント直前、プロジェクトを担当するスークカンパニーの石田が、2組の作家を迎え、イベントへの想いと期待を伝えます。
このイベントが開催されるきっかけとなったのが、昨年5月、SOUQ ZINEで公開された佐渡島庸平さんのインタビュー(※1)です。
佐渡島さんは、元講談社で『宇宙兄弟』の初代編集者。作者の小山宙哉さんを世に出した人でもあります。7年前に独立して、作家のエージェントを担う会社・コルクを立ち上げ、現在、小山さんのエージェントも担当しています。
「スークさんは、いろんな作家さんと仕事をしているんですよね? 『宇宙兄弟』をモチーフにした作品を集めたイベントは面白いんじゃないですか」。
インタビュー後の佐渡島さんの一言で始まったコラボイベント構想。折しも昨年は、人類が月に到達して50年の記念すべき年。コルクでも「ムーンランディング50周年アニバーサリープロジェクト」を進めていて、キャンペーンの最後の締めくくりとして「宇宙兄弟×うめだ阪急」のイベントが企画されたのです。
まずは、佐渡島さんとコルクの担当スタッフがうめだ阪急の売場を見てくださり、「ぜひやりましょう!」となり、うめだスーク側からは、このクリエイターなら、『宇宙兄弟』をモチーフにこういう作品ができそうだというイメージをコルクに提案します。
「コルクさんは、本当に発想も対応も柔軟で、面白いものをつくるためには、作家さんのインスピレーションを大切に、自分の作風でつくってくれていいというスタンス。だから、僕らも制作を提案できる作家さんが増えました」と石田。

2組の兄弟の偉業がドッキング
今回の企画に参加してくれた14組のクリエイターの中から、『宇宙兄弟』の熱狂的なファンである、「SIONE」(※2)の松下佳世さんと「PRISM」(※3)の小島瑛美子さんにも話を聞きました。

「『SIONE』は『物語があるうつわ』というテーマで作品をつくっているので、『宇宙兄弟』でもストーリーに合わせてつくりたいと思って。それで、メインテーマである2組の兄弟が月面に着くシーンを豆皿とカップで表現しました」と松下さん。
2組の兄弟とは、主人公である南波六太(ムッタ)と弟の日々人(ヒビト)と、アメリカ人宇宙飛行士のエディとブライアン兄弟のこと。六太と日々人の足跡が月面に並んだシーン(※『宇宙兄弟』30巻)とエディとブライアンの人形が月で並ぶシーン(※『宇宙兄弟』30巻)を重ねています。

「2つのシーンを重ねたら夢が重なる、ロマンチック、ドラマチックな作品になっています。スタッフ全員でキャーキャー言いながらつくりました(笑)。みんな『宇宙兄弟』を好きすぎて」と松下さん。

シャロンの言葉に発想
縛りがなく自由に制作できてよかったと言う松下さんですが、「今回、クリエイターさんたちが、悩みながらもすごく楽しんでつくってくれている感じはありましたね」と石田。「PRISM」は、今回ネックレスとピンブローチを用意してくれましたが、どのような発想で制作されたのでしょうか?
「2つの作品は、どちらもシャロンがムッタに贈る言葉から発想しました」と小島さん。シャロンは、南波兄弟が小さい頃から世話になっている、天文台のある家に住む女性です。「It‘s a piece of cake」(※『宇宙兄弟』13巻)。は、「俺みたいに役に立たない人間を英語でなんというのか?」というムッタの問いかけに、シャロンが答えた言葉。ムッタは、ケーキ一切れぶんの価値しかないと理解しましたが、何年か経ってから実は、「楽勝だよ」という意味だということがわかり、ALSという難病に立ち向かうシャロンに、ムッタが同じ言葉を贈り返します。

『宇宙兄弟』は、石田が「各巻で1回は泣くんですよね」と言うように、名言の宝庫。松下さんも「グッとくるものはありますよね。電車の中で読み返していて、泣きそうになることもありますから」。単なる宇宙冒険ものではなく、誰もが感銘を受けるような人間模様が描かれているので、これだけ多くのファンの心をつかんでいるのでしょう。
小島さんのもう一つの作品も、シャロンの言葉にインスパイアされています。

「迷って頭を悩ませていたムッタにシャロンが言った、『迷った時はね“どっちが正しいか”なんて考えちゃダメよ。あなたのことならあなたの胸が知ってるもんよ。“どっちが楽しいか”で決めなさい』(※『宇宙兄弟』5巻)という言葉が印象深くて。このブローチは、Think hereと書いてあるんですけど、ここで考えようということで、胸のところにつけてほしいんです」。


それぞれの名シーン
自分は六太と同じように迷いやすいから、シャロンの言葉が響くという小島さん。ほかの2人にも心に響いた場面はあったのでしょうか?
松下さんは、「ムッタが宇宙飛行士になるまでの道のりを描いている部分もすごく面白くて。研修中に“唐突に叫び声をあげ、他のメンバーを驚かせなさい”という指令が出て、『ポウ』と叫んだ瞬間(※『宇宙兄弟』単行本4巻)が一番好きなんですよ」。
人間味があふれていて、大事なところを押さえていて、周りがすごく見えてる六太が好きという松下さん。さて、石田が好きなシーンは?
「僕は男同士の関係性がかっこいいなと思っていて、飛行機の操縦を教えてくれたヤン爺に六太が「ありがとうございました」と言って、水を思いきりかけるシーン(※『宇宙兄弟』13巻)が好きです」。

人によってそれぞれ心動かされる場面が違うほど名シーンが多い『宇宙兄弟』。今回のイベントに参加するクリエイターの作品たちもバリエーションに富んでます。
「一番マイナーなのは、革作家の『nomuo(ノムオ)』(※4)げじげじい、どない納豆など、もうどの場面に出てくるのかクイズになりそうな(笑)レベルです」と石田。
会場「うめだスーク」での見どころ
会場では、作家がどのシーンにインスピレーションを得て生まれたのか、作品それぞれにオリジナルのPOPがつきます。

「KIMURA & Co.」(※5)はマトリョーシカ、「PANAMA(パナマ)」(※6)はポーチと、それぞれのブランドの特徴を生かした作品が並びます。
「イベントも盛りだくさんで、3月14日(土)は「HARICOGRAPHY(ハリコグラフィー)」(※7)さんが『宇宙兄弟』の張り子をつくるワークショップを開催します。そのほか、「beanxious(ビーアンキシャス)」(※8)さんは、トートバッグにシルクスクリーンプリントをできるワークショップを。「RBTXCO(アールビーティ)」(※9)さんは、作品として六太と日々人が月に行った日の月の形をトートバッグにしてくれていますが、イベントでは、自分の好きな日の月の形をブローチにしてくれます」と石田さん。

イベントのメインビジュアルには、阪急百貨店の買い物袋を提げた南波父母を採用。しかしながら、「南波父母をモチーフにした作品はないんですよ」という石田の言葉に松下さんは、「おとうさんの決めポーズ“ニャンボ”を作品にすればよかったなあ。今からつくろうかな(笑)…」。
『宇宙兄弟』への3人の熱い想いは、まだまだ溢れ出てきますが、続きは「うめだスーク」中央街区で!
取材・文/蔵均 写真/桑島薫
『宇宙兄弟×うめだ阪急』
阪急うめだ本店 10階『うめだスーク』 中央街区パーク3月11日(水)~3月17日(火)
※催し最終日は午後5時終了
〔阪急うめだ本店 営業時間短縮のお知らせ〕
厚生労働省から発表された『新型コロナウィルス感染症対策の基本指針』などを踏まえ、お客様ならびに従業員の健康と安全に考慮し、阪急うめだ本店の営業時間を短縮させていただきます。
・期間:3月2日(月)~3月17日(火)
・営業時間:全館午前11時~午後7時 ※日程は変更の場合がございます
※1 SOUQ ZINEでインタビュー記事を2019年5月6日~5月27日、4回にわたって公開
※2 SOUQ ZINEでインタビュー記事を2018年11月21日~11月30日、4回にわたって公開
※3 SOUQ ZINEでブランド紹介記事を2020年2月17日公開
※4 SOUQ ZINEでインタビュー記事を2018年8月29日~9月18日、4回にわたって公開
※5 SOUQ ZINEでブランド紹介記事を2019年11月25日公開
※6 SOUQ ZINEでものづくりの現場紹介記事を2019年8月15~8月22日公開
※7 SOUQ ZINEでブランド紹介を2019年12月23日公開