「ウニール」の山本知子バリスタ、JBCでチャンピオンに! | SOUQ ZINE スークジン

「ウニール」の山本知子バリスタ、JBCでチャンピオンに!

「ウニール」の山本知子バリスタ、JBCでチャンピオンに!

うめだスークが展開する、イベントや商品企画などをピックアップする「プロジェクトストーリー」。今回は、うめだスークに店を構える「ウニール」の山本知子さんが、バリスタとしての心技体を競う「ジャパン バリスタ チャンピオンシップ(JBC)」で見事日本一に輝きました。これまで3位、準優勝の実績を持つ山本さんが、いかにしてチャンピオンとなったのか? お話をうかがいました。

阪急うめだ本店の9階祝祭広場からの大階段を上がると、正面に「ウニール」があります。クリエイターが集まるうめだスークの中で、貴重なブレイクスポットとなっているここは、コーヒーの味で評価されたスペシャルティコーヒーを世に広める先駆けとなったロースター&コーヒーショップです。

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「ウニール」は京都・長岡天神に本店があるのですが、本店とうめだスーク店を掛け持ち、おいしいコーヒーを淹れてくれるバリスタ・山本知子さん。彼女が2018年に開催されたJBCで優勝、日本一のバリスタとなったのです。

Unir2018年のJBCの大会の模様。

JBCとは、日本スペシャルティコーヒー協会の主催で開催されるコーヒーの競技会。15分の持ち時間の中で、エスプレッソをベースに3種類のドリンクを提供し、その味はもちろん、プレゼンテーションやホスピタルスキルなどを競うものです。山本知子さんは、2014年に準優勝、2015年は第3位と、ここ数年常に上位に進出、ついに念願のチャンピオンとなりました。

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だれにでもわかりやすいコーヒー

「実は、2017年の大会が終わったときに、もう出場するのは終わりにしようと思ったんですよ。私の中で、やることはもうやった。これまでのプレゼンテーションでは、審査員や観客に楽しんでほしいというのもあって、すごい大掛かりな仕掛けをつくったり、他の人がやらないようなことをいろいろとやりつくしましたし」。

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Unirうめだスークの「ウニール」でカプチーノを淹れる山本さん。その手際はおそろしく素早く、あっという間にラテアートも完成。「JBCではスピードも審査基準になるのですか?」という質問には、「いえ。でも早く淹れないと時間がなくなっちゃいます」。

2017年の大会で自分なりの手ごたえを得て、競技としてのバリスタはやり終えたと思ったという山本さん。しかし、2018年の大会が迫り、再び前回大会のビデオを見直したときに、考えが変わったそうです。

「前回大会を見返してみると、ずいぶんとむずかしいことをやってるなと思ったんですよね。豆は2種類使ってるし、15分の中で展開が多すぎて。わかってもらえるだろうとやってましたけど、わかってもらえてなかったかもしれない。だから、もっとわかりやすく、おじいちゃんから子どもまで、だれにでもわかるコーヒーをテーマに、もう一度やってみようと決めました」。

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だれにでもわかりやすく…それは、コーヒー好きの人だけでなく、ふだんあまりコーヒーを飲まない人にも受け入れてもらえる味の追求にもつながりました。

「コーヒーが苦手な人は、酸っぱいのや苦いのがイヤなんですね。だからそれをあまり感じさせずにコーヒーを楽しんでもらうためにはどうしたらいいかか? というところからまず考え始めました」。

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一度凍らせたミルクをコーヒーに

6人のバリスタが競う決勝では、開始直後に画像を映すためのiPadがフリーズするというアクシデントがありましたが、山本さんは「もういい、画像なしでいこう!」と開き直り、プレゼンテーションを続行。JBCで提供するのは「エスプレッソ」、牛乳を使う「ミルクビバレッジ」、創作ドリンクである「シグネチャービバレッジ」の3種類ですが、山本さんは「ミルクビバレッジ」にかなりの高得点がつけられました。

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「ミルクビバレッジは、点数の差がなかなか出にくいドリンクで、3つの中では、どちらかというと力の入れ具合が少なかったりします。でも今回は、コーヒーが苦手な人にも楽しんもらうのがテーマ。ミルクを入れたら、飲みやすくなるじゃないですか。でも、ミルクとコーヒーのバランスがむずかしい。それでコーヒーの風味を損なわずにおいしくするために、一度凍らせたミルクを解凍した凍結還元ミルクを使いました」。

牛乳は、凍結するときには水分と乳脂がいっしょに凍るそうなんですが、解凍するときには、乳脂だけが先に溶け出すそうです。乳脂が65%まで溶けたミルクがエスプレッソに合うということを何度もの試飲で確かめ、「ミルクビバレッジ」で使用しました。

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JBCを戦うためには、なによりもおいしい豆が必須という山本さん。今回は、ふだんからつきあいのあるコスタリカの農園に大会用の豆を依頼しました。 「つくっていただいたのは、エドガーさんっていうんですけど、『知子のためならいいよ』って快く引き受けてくれて。コスタリカは中米の中でも、マイクロミルと言われる小さな農園が多くて、細かいオーダーにも対応してくれる研究熱心な農家さんが多いんですよ」。

優勝を報告すると、自分のことのように喜んでくれたというエドガーさん。スペシャルティコーヒーは、こういう生産者とのつながりが大切なんだなとあらためて思わされます。

Unirプレゼンテーションで使用されたエドガーさんのイラスト

バリスタはクラフトマン

JBCで優勝した山本さんは、日本代表としてただ一人、今年の4月12日からアメリカ・ボストンで開催される「ワールド バリスタ チャンピオンシップ(WBC)」に出場します。ますますの活躍を期待したいですが、最後に、バリスタとしてふだん、どういうことを心がけているか聞いてみました。

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「バリスタはクラフトマンだと思うんです。今は本当にマシンもよくなって、粉詰めてボタンを押したらエスプレッソは簡単にできます。でもただなにも考えずに淹れるのではなく、作品をつくりあげるという意識を持って一杯のコーヒーを淹れたい。それは『ウニール』のみんなとも常々話していることです。うめだスークにもたくさんのお客さんが来られますけど、初めて来てもう次は来られない方もいらっしゃいます。そういう人のためにも、ちゃんとした一杯をつくることがとても大切かなと思います」。

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取材・文/蔵均 写真/桑島薫

■EVENT
「ウニールフェスタ」
2月6日(水)ー2月13日(水)
バレンタインブレンドの豆や、チョコレートを意識したアレンジドリンクも登場。ぜひ日本一のバリスタの味を堪能ください。

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