山崎亮 第1回 話したくなるコレクション | SOUQ ZINE スークジン

山崎亮 第1回 話したくなるコレクション

山崎亮 第1回 話したくなるコレクション
さまざまな世界で活躍するクリエイターの中で、時代をリードするキーマンに登場いただくスークインタビュー。今回は、コミュニティデザインという言葉を世に広め、まちづくりを始めとして、教育、医療、福祉などの分野でも活躍する山崎亮さんにお話をうかがいました。インタビュー場所は、最近新たに借りたという芦屋の築51年のアパートです。
SOUQ
こちらの部屋は最近借りはじめたとお聞きしたのですが。
山崎
そうですね。自宅がここから歩いて1分ぐらいのところなんですが、基本的に自分が好きなモノを置いたり、たまには仕事をしたり(笑)。
SOUQ
好きなモノというのは、具体的にはどういうものですか?
山崎
コミュニティデザインの仕事は、地域づくりの仕事も多く、各地に行かせていただくので、旅の気分も含めて欲しくて買ったものが多すぎて。家の中だけでは収まりきらないんですよ。せっかく思い入れがあって買ったのに、この扱いはモノたちに対して申しわけないなと思ってたんです。
SOUQ
この子たちへの愛情が深い…では、山崎さんが愛する一品一品をご紹介ください(笑)。
山崎
はい(笑)。自分の中で一番思い入れが大きいのは、このリャマ。
山崎亮山崎さんが「ギャラリー鈴木」で買ったリャマ(左)。右もアンデス文化のもの。
SOUQ
これリャマなんですね?

デンマークで恋に落ちたアンデスのリャマ

山崎
はい。これを手に入れるようになったきっかけは、デンマークにある、世界で一番美しい美術館と言われているルイジアナ美術館。その中で中南米で発掘されたもののコレクションがあったんです。それに一目惚れしたんですよ。とりあえずスマホで2、3枚写真撮って、家へ帰って半年、1年経ってもこのフォルムが頭から離れなくて。
SOUQ
恋心がますます募ったと。
山崎
こうなったら、アンデスに行って買ってこようかなと思ってネットで調べたら、1980年代にペルーの法律が変わって、文化財は国外持ち出し禁止になったみたいで。
SOUQ
わざわざ行っても買えないというわけですね。
山崎
で、これは自分でつくるしかないなと思って、ルイジアナ美術館で撮った写真を見ながら、素人ながらつくった。そうこうしてるうちに、ついに東京の目白にある「ギャラリー鈴木」という骨董店で本物を見つけて!
山崎亮山崎さん自作のリャマ。
SOUQ
あったんですね!
山崎
はい。勇んで店へ行くと、店主が「よく興味を持ってくれましたね。こんなところに注目する人はあまりいないです」って(笑)、うれしそうに話すんです。だから鈴木さんの人柄も含めて思い入れがあって、何度も眺めています。
SOUQ
そういう話を聞くと、不思議に愛おしく見えてきますね。

魚沼で出会った、珍しい道具

山崎
これも見てくれますか。新潟の南魚沼市の古道具屋で買ったんですが、これ何かわかります?
SOUQ
農具のように見えますが。
山崎
そう! これ自然薯を掘るためだけの道具なんです。自然薯は、普通に掘ると長さがあるからどっかで折れちゃうらしくて。ちょこちょこ掘るのにいいのを地元でつくっていたらしいんですよ。
山崎亮自然薯を掘る道具を愛でる山崎さん
SOUQ
魚沼では自然薯がよく採れたんですかね。
山崎
これが店の外に2、3本置いてあったんで、「これなんですか?」て店主に聞いたら、「えっそれ気になります?」ってすごくうれしそうな顔をして(笑)。自分の手にいちばんフィットするのを買おうとして、いくらですか?って聞いたら、値段とか考えてなかったらしくて、結局800円で買いました。こんな話、聞いてる人は全然おもしろくないと思うんですけど、しゃべってる本人はめっちゃおもしろくて。僕は、こうやってニコニコ笑って語れるようなモノが好きなんですね。
SOUQ
確かにいま山崎さん、めちゃくちゃ楽しそうです。
山崎亮
山崎
僕は先見性なんて全然ないと思いますが、これからは、こういうふうになんだかうれしそうに語ってしまうモノを欲しい人って増えると思うんですよ。それは超一流のものでなくていいし、ちょっとブサイクでクスッと笑えるものでいいんだけど、おもろいっすよねこれって言えるようなもののほうが、名のある高級ブランドのバッグよりも語ることが多いと思っていて。
SOUQ
知らないエピソードを話してもらったら、モノにも興味が湧きますね。
山崎亮山崎さんが、ペルーきっかけで南米に興味を持ち始めて出会った、ブラジルの版画家・ボルゲスの作品。「ブラジルにはコルデルという雑誌があるんですね。口承の民話とか現象、物語を小冊子にして街中で紐に吊るしていっぱい売ってる。挿絵はアマチュアやプロの版画家が作っていて、なかでも抜群に評価されたのがこの人。」
山崎
語っていること自体がおもしろくて。これなんて僕は自然薯を掘るわけじゃないんで使わないし、自己満足かもしれませんが、なんか落ち込んだときとかにこいつを握ったら、自分と手の大きさがおんなじだった人もがんばってたんだろうなあと思って元気が出るみたいな。だからクリエイターは自分がつくったものを、だれも聞いていなくてもいいから楽しく語っていてほしいんですよ。つくり手が楽しく語っているからお客さんも買って帰って家で語る。こういう連鎖が、コミュニティデザインの立場からするとすごく好ましい市場のあり方だなと思うんですよね。金儲けにつながるかどうかは、あまり関係ないと思うんですけど、人生の豊かさにおいては、相当おもろいことになると思うんです。

取材・文/蔵均 写真/桑島薫

新しく借りた部屋に、自分が好きなモノを置けることが本当にうれしそうな山崎さん。次回は、まだまだコレクションを紹介しながら、2020年に向けて進めているプロジェクトについても話をうかがいます。

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