山崎亮 第3回 コミュニティデザインを始めて | SOUQ ZINE スークジン

山崎亮 第3回 コミュニティデザインを始めて

山崎亮 第3回 コミュニティデザインを始めて
コミュニティデザインという概念を世に広めた山崎さん。もともとは建築業界で活躍されていたのですが、どのようなきっかけでコミュニティデザイナーとなったのでしょうか? スークインタビュー第3回目は、転機について聞いていきます。
SOUQ
それでは、そろそろコミュニティデザインの話をしたいと思うのですが、この新しい発想は、どこから生まれたのでしょうか?
山崎
もともとモノづくりが大好きで、建築設計が好きで、6年間設計事務所に勤めてました。ディテールに神が宿ると思い、細かいところまで詰めていくことで、お客さんにとってすごくいい空間、時間を過ごしてもらえるものだと思っていました。
SOUQ
それは、建築に携わる人の目指すところでしょうね。
山崎亮山崎コレクションの中から、フィンランドのアンヤ・ユーリッカラの鶏の鳥笛。「これがまた人をバカにしたような目がいいなって思って」。
山崎
だけど、毎年毎年新しいデザインを発表していくことは、お客さんに消費させてるだけなんじゃないか、しかも新しく出た99%は名作にならない。長く使ってもらえる名作はたった1%。でも多くのデザイナーは、その1%をつくろうと思って、99%をつくってしまっている。

空間、モノのデザインをいったんやめる

SOUQ
99%は、いずれムダになってしまう。
山崎
こういうことって地球環境に負荷を与えているし、人々を消費へと煽って新しいものを手に入れるために働かせている気がしたんです。家のローンを35年間払わなければならないから仕事をやめるわけにもいかない人を増やしている。自由の国に住んでいるはずなのに、職業選択の自由もない。これに加担してるのがデザイナーだと思うようになってしまった。
SOUQ
消費に追われてる部分はありますね。
山崎亮山崎さんの頭上のランプは、ルイスポールセン社のワークショップランプ。「うちの会社はワークショップをいっぱいやってて、コーポレートカラーがオレンジ。だからこれは買わないと」
山崎
デザイナーって人々を苦しめる職能だったっけ? もっとできることがあるはずだと思って、空間をつくったりモノをデザインすることを一度全部やめました。社会の課題を、デザイナーが人々をつなげることによって解決する、コミュニティとともに未来をデザインする仕事がやりたいですって。
SOUQ
それはすごく勇気がいる決断でしたね。
山崎
大学の先輩には、なにをデザインする人なのかはっきり言ったほうがいい。建築なのか、グラフィックなのか、プロダクトなのか。そうじゃないとなにを頼んだらいいかわからないので、仕事なくなるよと言われました。
SOUQ
その考えもわかる気がします。
山崎
まあ、僕は頑固だったんでしょうね。わかるけどなんか違う気がする。もっと何屋さんかわからない名前をつけて、来るものは全部受けるほうが仕事はもっと増えるんじゃないかと思ってたんです。
山崎亮

“寂しい”が“うれしい”に

SOUQ
結果どうでした?
山崎
独立したら先輩の言う通りで、だれも仕事くれないんですよ。何屋さんかわからないから。でも、なんとかもらった仕事の事例が増えていくと、今度は加速度的に「あれもやってください、これもやって」と頼まれるようになりましたね。
SOUQ
やはり、新しいことをやる人への期待は大きいと思います。
山崎
最初に貧乏する覚悟があるなら、コミュニティデザイナーなどという聞いたことないような言葉で勝負して、ちゃんと情報を発信してたら、そこから先は思ってもみないような仕事がきます。これが建築デザイナーと名乗っていたら、仕事の種類は増えていかなかったかもしれません。
山崎亮
SOUQ
7年ぐらい前に山崎さんが上梓した『コミュニティデザイン』という本を読んで、こんな考え方があるのか! とかなり衝撃を受けました。あれから月日が経ち、今では世に浸透してきたと思うのですが、山崎さん的には、あの頃に比べてどのように変わってきましたか?
山崎
“うれしい”気持ちです。うれしいの反対の言葉は“寂しい”だと思うんですが、当時は寂しかったんですよ。コミュニティデザインとか言って活動していても、周囲には自分以外に取り組んでいる人が見つけられなくて。「それなんや?」と胡散臭がられて。
SOUQ
胡散がられてはないと思いますが(笑)。
山崎
いま、いろんなところで「コミュニニティデザインやってます」と聞いたり、そういう言葉は使わなくても、同じようなやり方でプロジェクトを進めているという人に出会ったりすると、寂しいが消えていったんですよね。いまはすごいうれしい気持ちになっています。

取材・文/蔵均 写真/桑島薫

コミュニティデザインのパイオニアとして、いま大活躍の山崎さん。次回最終回は、うめだスークで活躍する方をはじめ、クリエイターがこれからどのようにコミュニティと関わっていけるかについて話を聞いていきます。

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