山崎亮 第4回 広がるクリエイターの可能性 | SOUQ ZINE スークジン

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山崎亮 第4回 広がるクリエイターの可能性

山崎亮 第4回 広がるクリエイターの可能性
山崎亮さんへのインタビュー最終回は、スークで活躍するクリエイターたちが、コミュニティデザインにどのように関われるか? その可能性についてお話を聞きました。
山崎
スークカンパニーは、いま全国の3,000人のクリエイターさんとつながっていますよね。これはすごいことです。百貨店の中だけでなく、もっとやることはあると思うんですよ。
SOUQ
たとえばどのようなことでしょうか?
山崎
たとえば、どこかの県の教育委員会から依頼されて、ものづくりの魅力を数百人のクリエイターが教えるという社会教育事業をやることもできる。
SOUQ
それはおもしろい発想ですね。
山崎
日本ではだいたい18歳から24歳までで教育が終わって、そこから先はもう学ばない。それっておかしな話で一生涯学ぶことの楽しみとか、新しい情報を得て自分が何か行動を変えることを経験し続ける国民が、たくさんいる国に変わってほしいなあと。
山崎亮部屋の玄関に飾られたジョン・ラスキンとウィリアム・モリスの像。「右のものは美術館で買ったモリス。左は、オネストショップという日本でいうと正直屋みたいなところで7ユーロで買ったラスキン。」と山崎さん。モリスの師匠がラスキンなのだが、胸像の質は弟子のほうが圧倒的に高い!
SOUQ
生涯教育ということですか?

教育や福祉の可能性

山崎
社会人学校とか通信教育というのは、それはそれでいいんですけど、もうそれに興味を持つ人は、ある程度やってしまっている。これからは、何かしょうもないものでも自分が楽しくてやる。僕の場合なら、うまくないけどリャマの焼物をつくったり、アンデスの図録を眺めたり(笑)。学び続けるってことが楽しみにつながった瞬間にお勉強じゃなくなりますよね。
SOUQ
楽しいとやりたくなりますよね。
山崎
こういうことを市町村からの委託で、スークカンパニーが楽しく新しい事業を世の中に喚起するという可能性は大いにある。介護とか福祉の領域にいってもいいと思うんですよね。
山崎亮
SOUQ
介護や福祉ですか。
山崎
そう。たとえば介護度を低くするためのリハビリとして指先を動かすとします。そのときどこかから買ってきた塗り絵ではなく、毎月違うクリエイターが施設を訪れ、入居者の方々といっしょに色をつけていくとか。
SOUQ
それはいいですね。
山崎
100人のおばあちゃんが200個の白い容器に色を塗って、それをクリエイターが持って帰ってストーリーとともに販売するというのも、スークカンパニーだったらできる気がするんですよね。
SOUQ
お話を聞いて、なんだかワクワクしてきました。
山崎亮
山崎
地域にいっぱい困ったことや、こういう風になればいいねという案件は落ちてるのに、それをただ業務的にこなすだけの会社が手がけている場合も多い。そこにクリエイターとのネットワークがあって、それをうまくキュレーションして、この人だったらこっちの事業に向いてるということをコーディネートできるということは、大きな可能性なんじゃないかと思いましたね。

さまざまな分野でのチャレンジ

SOUQ
可能性はどんどん広がりそうですね。
山崎
おじいちゃんとかおばあちゃんに、「これに色塗って」って頼んだら、手が震えて曲がる。「いや曲がるのがいいんですよ」って。このおばあちゃん、いつも左に曲がってるねえというのでいいじゃないですか。
SOUQ
はい。それでいいですね。
山崎亮
山崎
お客さんに語ることができる要素をもっとモノやマーケットの中に盛り込んでいけますよね。それは既製品を大量に仕入れて販売して利益を大きくするという商業のモデルとまったく違っているので、おもしろいんじゃないかな。コミュニティデザインの現場でも、何かいっしょにできるようなことはあるような気がします。
SOUQ
語れるモノづくりですね。
山崎
私も、コミュニティデザインを始めたころは全然想像してなかったですけど、いまは医療、福祉、教育、公園、デパート、まちづくり、駅舎など、さまざまな仕事をしています。今まではデザイン分野じゃないと思われていた世界からも、コミュニティデザインでなんとかしてくれと声がかかるようになって。クリエイターにも、そうやってオファーが来る日は近いんじゃないですかね。

取材・文/蔵均 写真/桑島薫

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