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『YURTAO』後編 まるで実験のよう!? テキスタイルができるまで

『YURTAO』後編 まるで実験のよう!? テキスタイルができるまで
テキスタイルブランド『YURTAO』のデザイナー・木下桃子さんへのインタビュー後編。前編ではテキスタイルとの出会いについてうかがいましたが、今回は、テキスタイル作りでのこだわり、今後挑戦していきたいことに迫ります。

機屋さんとの強力タッグで
完成するテキスタイル

木下さんの「こういうテキスタイルを作りたい」を実現するのに欠かせない存在がいます。それは兵庫県・西脇市で播州織を行う機屋さん。技法によって他の業者にお願いすることもあるものの、基本的にいつもお願いしているそう。「ずっと前からお願いしていて、こちらの意図を細かいところまで汲み取ってくださるのでありがたいです」と木下さんも絶大な信頼を置いています。

まず、生地の厚みや素材感、作ったテキスタイルをどんな洋服に仕立てたいか、柄の雰囲気はどうするかなどを決めます。その後、機屋さんの生地サンプルから作りたいテキスタイルのイメージにあったものを探し出し、そこにオリジナル要素を加えてサンプルを作ってもらいます。サンプルは、何パターンか作ってもらい、それをもとに改良を加えて完成を目指します。ここで判断を誤ると、後々完成したテキスタイルを使ったアイテムのクオリティーもひびいてくるので、妥協は一切許されません。「全然違うものになったなとなる場合もありますが、ありがたいことにだいたいは『ここをもう少しこうしたらいいな』と思うサンプルが仕上がってくることがほとんどです」 ラメ糸のラメの具合を調整したり、糸の太さを変えてみたり。細かい部分の改良を加え、2回目のサンプルも何パターンか作ってもらうそう。ここまでくるとサンプル同士の差はとても微細なもの。一見同じように見える中で、納得のいく1枚になるようにさらに丁寧に調整していきます。

YURTAO

「2回目でピタッと思い通りのものにハマるときもあれば、『このサンプルとこのサンプルの中間ぐらいがいいな』となることもあります。柄の入り方も生地の質感によって全然違うので、いろいろ考えても結局織ってみないと分からない。サンプル代はかかりますが、そこは妥協せずに織ったものを自分の目で見て、取捨選択していきます」 加工方法にもよるけれど、毎回テキスタイル制作には3、4ヶ月もの時間をかけるそう。試行錯誤を重ね、こだわり抜いた末に世界に一つだけのオリジナルのテキスタイルが完成するのです。

やってみなきゃわからない!
挑戦することをあきらめない姿勢

これまで幾度となくテキスタイルを作ってきた木下さん。 それでも毎回制作するたびに新たな気づきがあるといいます。 「たとえば縦糸が綿で横糸が麻で作ったとき、縦糸が滑りやすいということにアイテムの受注が終わってから気づいたことがあったり。そのときは糸の密度を変えて対処しました」実際に布が出来上がってきてから気づくこともあるとか。 「何回やっても、こういうところを気をつけないといけないんだなと感じさせられます」 その中で自分が作りたい生地にするのはどうしたらいいのかを考え、機屋さんに相談しながら作り続けます。

YURTAO

「しっかりした生地を作りたくて作ってみたら重すぎたり、糸がわしゃわしゃした生地がいいなと思って作ってみたら部屋中が糸ボコりだらけになったり(笑)。二度と作りたくないなと思うくらい大変なことも。でも、『次はどんな生地にしようかな』と思ってワクワクしながら作るのが楽しいんです」 そうやって今までやったことがない技法にも果敢に挑み続ける木下さん。テキスタイルへの情熱は冷めるところを知りません。

今までやってこなかった
植物染めへの新たな挑戦

鎌倉にアトリエを構えるYURTAO。「東京で働いていたときは、せわしなく昼夜がない状態に疲れてしまって...。鎌倉の都会すぎず、田舎すぎずなところが私にはちょうどいいんです」 ブランドを一人でやっていることもあり、無理をしないをモットーに日々制作に励んでいます。

YURTAO

「行きづまったときは、地元の友達とお茶したり、お風呂に入ってのんびりしたり、好きな漫画を読んだり...いたって普通ですね (笑)」 そんなのんびりマイペースな一面を見せたかと思えば、ことテキスタイル作りに対しては新しいことに常に挑戦する攻めの姿勢を忘れません。 「今まで植物染めって化学染料に比べると、色がぼんやりしていてあんまり好きじゃないなって思ったんです。でも大学時代の同級生が藍染め職人になったこともあって、植物染めの美しさ、素晴らしさに気づかされて。今は、藍染めや柿渋染めといった伝統的な技法に取り組んでいます」

YURTAO

さらに、「今後ブランドとして、やっていきたいことは?」とお聞きすると、こんな答えが返ってきました。 「藍染めは、YURTAOのコレクションの一つとしてやっていこうかなと思っています。そして、藍染めや柿渋染め以外の植物染めにも挑戦したいなと。ただ、植物染めは、化学染料で染めるのに比べると時間もかかるので、毎年新しいコレクションを出すというスタイルにこだわらず、ベーシックラインを作るのもいいかなと思っています。YURTAOは、私が作りたいものを作っているブランド。それを気に入って買ってくださるだけでありがたいです。一人でやっているとどうしても宣伝などおざなりになってしまう部分はありますが、丁寧にこだわって作った生地を知ってもらって生地へのこだわりが伝わると嬉しいです」

「ただやりたいことをやっているだけです」と話す木下さん。でも、自分のやりたいことをやりぬくって今の時代意外と難しいし、パワーのいること。テキスタイルに込められた数えきれないこだわりと思い。そんなテキスタイルで作られたアイテムは、持つだけで元気な気分にさせてくれそうな気がします。「よし、私も頑張ろう」と思えるかも。そう、かつて木下さんが大好きな旅を通して出会ったテキスタイルに感じたように。

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YURTAO(ユルタオ)

YURTAO(ユルタオ)

テキスタイルデザイナー木下桃子が主催するアパレルレーベルYURTAO(ユルタオ)です。鎌倉を拠点に少数生産で天然素材を中心にオリジナルのテキスタイルを作り、そこから日常が少し特別になるような衣服を制作しています。

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